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ミュージアム・コンサート [コンサート]

春爛漫の上野の森も、穏やかな晴天に恵まれいつまでも続くかと思われましたが、さすがにその花影もしだいに薄くなってきました。

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東京・春・音楽祭もいよいよ終盤。例年楽しみにしてきた西洋美術館講堂でのミュージアム・コンサートに足を運びました。

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ふだんなかなか触れる機会の少ない古楽アンサンブル。なかでも太田光子さんのリコーダーがその満面の笑顔とともに聴けるのはとても楽しみ。今回は、ヴィオラ・ダ・ガンバの櫻井さんも加わってのトリオ。テーマは、特別展のジャック・カローのエッチングにちなんで「メディチ家統治下のフィレンツェゆかりの音楽」です。

ルネッサンス真っ盛りのフィレンツェの活気と自由な雰囲気は、バッハのドイツや、ファン・エイクのオランダなどともずいぶんと違います。

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太田さんは、この日は、バロック時代ではなくルネッサンスモデルの楽器を使用。写真一番右の一番小さいソプラノの形が私たちにはなじみ深いバロックモデル。真ん中のテナーと左のソプラノの2本がルネッサンスモデルです。最大の違いは、管道の形で、バロックは先細りになっていて音が柔らかく、ルネッサンスは直道で先端の径が大きくその分大らかで直截な音がするそうです。この日は、ちょっと響きがデッドかなと思いましたが、それが本来の音色のようです。



チェンバロのソロも披露してくれた戸崎さんのお話しでは、チェンバロは爪で弦をひっかくのが原理。同じ鍵盤楽器でも、ハンマーで叩くピアノとは違って、指先で感触を確かめながら音色や強弱を繊細にコントロールするそうです。

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楽しかったのは櫻井さんのヴィオラ・ダ・ガンバの紹介でした。

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ヴァイオリン族との違いは、弦の数が多いことと指板にフレットがあることで、その点ではむしろギターに近いそうです。そういいながら抱えるようにしてギターのように弾かれたのにはびっくり。チェロよりもはるかに演奏が容易で、特に重和音が自在に弾けるのはそういう理由。最大の特徴は…「易しいこと!」との一声に会場は爆笑。「みなさん、ぜひ、アマチュアとして参加してください」との櫻井さんのPRには皆さん半信半疑でただ苦笑するばかり。

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会場には、オーディオマニアにはおなじみのものが何台か並んでいます。写真は開場直後のもので、実際の演奏時の配置は変わります。その効果は私にはよくわかりません。本来、この講堂の響きはチェンバロや古楽アンサンブルには不思議とマッチしていて、昨年から導入されたこの調音グッズは、音を整え、やや大人しくし過ぎにするようにも感じています。

1時間ほどのミニ・コンサートですが、特別展の入場券込みで1400円、キュレーターの中田さんの展示内容の解説も聞けてとてもお得でした。



ミュージアム・コンサート
「ジャック・カロ ー リアリズムと奇想の劇場」展 記念コンサート
vol.1 花ひらく調べ
~メディチ家統治下のフィレンツェゆかりの音楽

2014年4月8日(火) 11:00
東京・上野 国立西洋美術館 講堂


リコーダー:太田光子
チェンバロ:戸﨑廣乃
ヴィオラ・ダ・ガンバ:櫻井 茂
お話:中田明日佳(国立西洋美術館 研究員)

フレスコバルディ:カンツォン 第19番「ラ・カプリオラ」
ウッチェッリーニ:シンフォニア 第1番「アマリッリ」
フィリップス:ローマ人ジュリオ(・カッチーニ)によるアマリッリ
(《フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック》より)
ガリレイ:サルタレッロ
フレスコバルディ:カンツォン 第2番「ラ・ベルナルディーナ」
ファルコニエーリ:
 ラ・クエッラ
 甘き旋律
 メーロのブランド
 アウエッリーナ(《コレンテ集》より)
デ・ローレ:「何度も別れたい」の主題によるディミニューション
ヴィヴィアーニ:ソナタ 第2番
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