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幸せになれないオーディオ (マイ・オーディオ 2019年の回顧と2020の展望) [オーディオ]

今年もあとのこりわずかとなりました。

その年のマイ・オーディオを振り返ってみて、一昨年は、GRANDIOSO K1の導入、昨年はMFPCの導入と再生の中核の刷新が続きましたが、今年はどういう年だったのかと考えてみると、その習熟と周辺調整に明け暮れた年だったと言えるのかもしれません。

現代は「幸せになれない時代」だということが言われています。

物質的にも経済的にも豊かになったはずなのに、なぜか幸福感に乏しい。日本は、経済大国でモノも豊富で、しかも、税や社会保障などの国民負担率は4割程度。6~7割に達する北欧諸国は、実際に使えるお金は少ないのに「幸福度」ランキングは、上位を独占しているのに対して、日本は先進国で最下位です。

オーディオにも、ちょっと共通するところがあります。

かつて高度成長期の頃には、所有するだけで幸せになれるオーディオ機器がたくさんありました。いまでもそういう懐かしい名機を持つとなぜか幸せな気分になれます。あるいは、かつては憧れだったJBLやタンノイなどの海外高級ブランドや国内外のプロ用機器も今は中古で手の届く価格で入手も可能です。現代のハイエンド機器は、これらの名機に較べれば、はるかにスペックは優秀なのに、なぜか幸せになりきれない。それどころかスペックやグレードを上げても上げても幸せになれない。

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そこには、モノやカネに振り回される古い価値観のままのライフスタイルがあると言われています。モノをたくさん欲しいとか、いい車に乗り換えたいとかいった欲求です。アメリカで起こったサブプライムローン問題はそういう価値観の崩壊そのものでした。それまでのアメリカでは住宅のサイズが10年ごとに20%ずつ拡大を続ける『スペンド・シフト』というものが起こっていました。それはローン(借り入れ)による幸せであって、内実はカツカツの生活で、資産価値が値上がりし続けるという虚構のもとでの自転車操業に過ぎなかったのです。

そういう「幸福になれない」感覚で、今年のオーディオは明け暮れたような気がしています。そこからどう脱却するかという一年でした。ファイルプレーヤーやDACという上流機器の性能が格段にスペックアップしたことで、かえって音に翻弄され始めてしまったのです。

まず、最初は、アナログアンプの電源強化でした。

従来から気になっていた電源強化でしたが、上流のスペックアップにいよいよついていけなくなったのではないかという疑心暗鬼がどうしても拭えなくなったからです。

私は、理想の電源はバッテリーだと思っています。交流変換するのではなく、直接、DCで供給します。二次電池によるDC供給こそ、ノイズ・ゼロの理想電源だと言えます。とはいえ、バッテリー駆動が完璧な理想の電源というわけではありません。その足かせが、内部抵抗の問題でした。

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そこでバッテリー駆動の金田式プリアンプへの《LCM+キャパシタ回路》の導入です。これは全体の音質アップにつながりました。そこでパワーアンプにも導入を図りましたが、突入電流のためにずいぶんと苦戦を強いられました。

その成果は歴然としていました。リニア電源に較べるとどうしても少しひ弱に感じたバッテリー駆動でしたが、エネルギー感が増しました。特に高域にはきちんと真っ直ぐな芯が入りよく伸びるようになりました。最終的にはオーディオPC用のバッテリー電源にも導入しました。

そんなこんなで半年は過ぎてゆきましたが、「幸せになれない」感覚は、解消されないどころか、かえって執拗にまとわりつくようになりました。電源が強化されるとかえってノイズが気になるのです。ノイズというのはフロアが下がれば下がるほど、かえってノイズに敏感になるところがあります。

ストレージをポータブルHDDから、電源自給の外付けHDDに換えました。その過程でバッテリーの電源電圧の切り替えミスでHDDを飛ばしたり、電源ケーブルを自作したりと悪戦苦闘。ネット分散、バッファー式でプロセスカットのPCは、再起動等に手間と時間がかかり、しかも、ノイズ過敏症からは脱却できずフラストレーションはたまる一方です。

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《音楽に集中できない》《じっとしていられない》《衝動的》という、ADHDに似た、典型的な「幸せになれない」オーディオ症候群に陥りました。

そこから活路を見いだしたのが、まず振動対策です。

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きっかけは、プリアンプの天板のフロートがかえってあだになっていることに気づいたことでした。そこを考えあぐねているところで、fo.Qというずっと引き出しに眠っていたアクセサリーグッズの再ブレークが始まりました。

次に訪れたのが、金属たわしの『仮想アース』のブームです。

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家庭用の金属たわしを使っての『仮想アース』の自作は、いたって質素で安価なものです。しかも、回路や電源などに近接して分散して接続できます。そのアースラインは終端となっていますので独立していて、共通インピーダンスを生ずることがありません。ネットワークのように相互作用がない、いわば花びらのような発散型なので数が多くなっても、実際、はとてもシンプルなのです。

『仮想アース』は、フレームグラウンドやシャーシグラウンドの強化処理という風に理解できます。結果的に、回路の基準電位を安定させ独立性を高めてくれますので、ノーマルモードとコモンモードの両方のノイズに有効です。シャーシグラウンドの強化は、シールド性を高め、すなわち放射ノイズにも有効ということになります。やっていることは、とても、ローカルなものでシンプルです。

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金属たわしの原理は、要するに放電抵抗値の極小化です。大地アースも同じですが、並行接続の抵抗の数を無限大にすることで抵抗値をゼロにしていることになります。並列の合成抵抗値は、逆数の総和の逆数ですから、数を無限大に増やせば限りなくゼロに近づきます。金属たわしの繊維状の部分が絡んで並列状に接触することで抵抗固体の数を増やし、同時にニクロム線のようにジュール熱を発生して放電しているということになります。接触はミクロ的には振動するので、素材特性や応力によって微妙な聴感上の差異や持効性を持つと言うことなのでしょう。導体の特性は電気的なものと力学的なものがあって相互に影響しますので、いろいろオカルト的な面白さもあるとは思いますが、よりランダムにするほうが安定するのだと予測します。

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この質素でシンプルな対策は、ようやく、「幸せになれない」オーディオからの脱却に見通しをつけてくれました。いくつかのやり残しはありますが、これで落ち着いて音楽そのものを楽しむことができそうです。

ということで、来年は、オーディオ的には静かにじっくりと取り組み、音楽に集中することを優先するというライフスタイルに立ち戻りたいと思っています。

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皆さん、どうぞ、よいお年をお迎えください。また、来年も引き続き楽しい交流をよろしくお願いいたします。
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