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LANケーブルはシールドタイプの太くて曲げにくいものほど音が良い [オーディオ]

さて、本題に入る前に…

《音切れ》問題の続き。

まことに、浜の真砂は尽きぬとも 世に《音切れ》の種は尽きまじ…です。

落ち着いたと思っていたら、また、再発…の繰り返し。

あらゆる対策を講じました。

その極めつきは、スイッチングハブのDC電源入力ジャックの直結化。

IMG_5628trm_1.jpg

汎用品の悲しさでDC入力ジャックが基板直付け、とてもお粗末なのです。ともかく、ここも銅箔テープやfo.Qで振動対策。そのたびに改善するのですが、それでも完全に《音切れ》解消とはならないので、ケーブルを直付けにしました。ハンダ付けは、究極の接点対策です。

これで《音切れ》解消…と思いきや、完璧とまではいきません。

なぜかDSD256だけに起こり、DSD128や64、PCMの再生には何の支障もないのですから不思議です。こういうことがデジタル、ネットワークというものなのだと思います。とはいえ、あらゆる対策を講じた結果、PCMなど下位フォーマットでは超安定。プラセボかもしれませんが、音がより鮮明に高解像度になったような気がします。

それにしてもスイッチングハブ、恐るべしです。



さて、これからが本題です。

スイッチングハブがそこそこ安定したことを機会に、LANケーブルを再見直しました。以前、使用していた自作LANケーブルを復活させたのです。


しばらく、そのケーブル比較で躍起になっていましたが、結局、CAT6Aが最も音が良いとの結論となりました。


ただし、CAT6Aならどのケーブルでも同じかというとそうではありません。結論をまとめると以下のようになります。

実際に比較したのは、次表の4種類のケーブルです。

LANケーブル比較表.jpg

結論は、

(A)>(B)≫(C)>(D)

ということで(A)の自作ケーブルの圧勝でした。

その要点をまとめると

1.ノイズシールドの効果が大きい
2.導体は単線が良く、線径が太ければ太いほど良い
3.十字介在(セパレーター)は必須
4.ジャック側のアースが取られていなくともシールド効果は有効


ひと言で言えば、LANケーブルはシールドタイプの太くて曲げにくいものほど音が良いということになります。

(B)パンドウィットは線径も細く曲げやすく扱いやすいのですが、音としては(A)自作ケーブルに劣ります。

同じCAT6Aでも、ケーブル構造に違いがあります。この違いが、規格性能は同じであっても、どういうわけかオーディオ用途では聴感が違ってきてしまうのです。

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CAT6ケーブルは、CAT7の(各ペア線がシールドされている)STPではなく基本的にはUTPですが、クロストーク対策として4対のペア線を分離させる十字介在が施されています。さらにCAT6Aでは、F/UTP 仕様となっています。F は、アウターフォイルシールドを示しています。ケーブルの外被がアルミフォイルで被覆されていてノイズに強いのです。

アウターフォイルシールドには、接地線(ドレイン線)があり両端のRJ45ジャックの金属ケースを介して機器のフレームグランドにつながることが前提となっています。こうしたフォイルやドレイン線、また、内部導体の線径などからケーブルサイズが大きくなってしまい扱いにくいのです。

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パンドウィットは、こうした制約を解決するために“AXテープ”というものを開発しました。ランダム長の非連続性のメタルフォイルでシールド性能を飛躍的に高めています。

高性能なんだからそっちの方がいいじゃないか…と言われそうですが、そういうわけにはいかないのです。というのも、性能アップは、ケーブルそのものの性能アップが目的ではなく、あくまでもケーブルサイズを小さく扱いやすくするためのものだからです。つまり線径を細く柔らかく(曲げ半径の極小化)するために使われています。内部導体の線径は細くでき、単線よりもノイズ耐性は劣るけれども曲げやすい撚り線が使われています。このおかげで、一般家庭用でも10ギガのCAT6Aが普及し出したのです。

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どうもこれがオーディオ用途ではよろしくない。

しばらく(B)で聴いていましたが、久々に(A)に戻してがく然としました。情報量ではよい勝負なのですが、空間描写力、音場の前後の立体感、左右の広がり、音色色彩の鮮度では圧倒的に(A)が良いのです。(B)は聴いているうちに必ず飽きがきます。エネルギー感というのか、音楽の感動が薄い。それは、やっぱり径が細めの撚り線の限界だという気がします。

(C)は、CAT6AにもかかわらずUTPで、成端済みのプラグは樹脂製でアースが完全に浮いているという不思議な規格ケーブルで、機器側がCAT6Aに対応していなければこれで十分だと思い、部分的に使用してみましたが、(A)に換えてみるとやっぱり音が良くなります。それでも(D)よりは多少増しなのは十字セパレーターの効果なのでしょうか。

(A)自作ケーブルの日本製線CAT6A F/UTP(NSGDT6-10G-S)は、曲げにくくて少々扱いが大変ですが、内部導体の線径が太い方が音が良いというわけです。特に単線はやっぱり音が良いようで、しっかりとしたエネルギー感を感じさせます。アルミ箔+ドレイン線もしっかりしたものが使われていてノイズ遮蔽性は図抜けています。パンドウィットのAXテープ技術は、通信興業や冨士電線など日本のメーカーにもライセンス供与されていますので、日本製線のこの扱いにくいケーブルは少数派となっています。ありがちな話ですが、時代遅れのローテクほど音がよいというわけです。

ところが、このケーブルは自作するしかない。しかも、けっこう敷居が高い。

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というのも、このケーブルに合う自作用のRJ45プラグは、テレガートナーMFP8ぐらいしかないからです。特にケーブル外径7.5cmというのが意外にネックになります。このプラグは、専用工具も要らないという、一見、理想のスグレものですが、とにかく成端に問題が多い。結線作業そのものはやりやすいのですが専用工具を使わないためにかえって成功率が低く、完成後も不安定なのです。

成端は、ある程度の習熟が必要で、最初はムダ覚悟で何回か練習してみてコツをつかむ必要があります。それにしてはテレガートナーは一個3千円近くして高価です。ケーブルは両端ありますから、いったんNGとなれば、その瞬間に約6千円が屑籠行きとなります。しかも成端の成功率が8割としても両端あるので、その成功率はせいぜい6~7割。作業に慣れないうちは、片側5割程度の成功率で、そうなると3割以下の成功率。約7割が失敗、その度に6千円ドブに捨てるという悲惨なことになってしまいます。しかも、導通テストにいったん合格しても使用しているうちに不安定となり導通を再度確認してみるとNGということもあります。

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やはり、コネクタハウジングのカシメ作業には、プライヤーレンチがあった方が、圧倒的に確実性が増します。プライヤーレンチは、定評のあるドイツ製のKNIPEXが良い。これは、結局は専用工具なみの価格なので、自作コストがまたまた上がってしまいますが、他の用途に使えますから持っていてもよい工具です。

いったん完成すれば、このテレガートナーは造りも立派過ぎるほど立派なシロモノです。質量の大きい金属製なので、端子接合部のシールドがしっかりしているというだけではなく、これがミニ・仮想アースということにもなるようです。だから、機器側がフレームグランド(FGND)されていなくともシールドの効果があるということなのではないでしょうか。音質面でこのMFP8が貢献していることは間違いありません。

なお、CAT7などの上位規格は試していません。比較していない以上、厳密なことは言えませんが、前述のように伝送性能と実用性を両立させるためには、結局、線径や曲げ半径などの施工性も確保する必要があって、帯域や速度など伝送性能そのものの高度化は必要のないオーディオ用としては、音質面での改善はほとんど無いというのが現実なんだと思っています。

オーディオ用は、ローテクが良い…というのが私の結論です。

…ということで、結局、苦心惨憺のテレガートナーを半ば恨みつつLANケーブルを悶々としながら自作しています。
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