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ヴァイオリニストのそろい踏み (芸劇ブランチコンサート) [コンサート]

5ヶ月ぶりのコンサート。

1時間だけのコンサートでしたが、久しぶりの生の音に接して至福の時を過ごしました。しかも、元N響コンサートマスターお二人を始め、日本のヴィオリン界の重鎮から旬の若手までがそろい踏み、それぞれの音色や持ち味の違いも鮮やかで、充実した1時間でした。

もともとは4月に予定されていた公演。このシリーズにとってもコロナ対策に万全を期しての振り替え公演でした。席は、1席を空けてのソーシャルディスタンス。前売りチケットは受け付けで座席を振り直して再発券。

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そもそも2千席の大ホールでささやかにスタートしたピアニストの清水和音さんとの室内楽シリーズでしたので、こういうことが可能だったのでしょう。だいたいは1階席中央ブロック中心で2階席はほぼ空席でしたが、今回は2階席も使いつつ広々と着席というわけです。

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私の席は、1階席後方の壁際の右端で、ふだんならちょっとがっかりの席なのですが、空席が多いせいかライブな音響で音もよく届き、不思議なほどに心地よいサウンドです。ステージもソリストお二人だけなので、ピアノのセッティングもソリストの立ち位置も見かけ上何ら変わりませんでした。

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お久しぶりの徳永二男さんは満面に笑みをたたえながらの荘重なシャコンヌ。そのずっしりと中身が充実した音色は壮健そのもの。聴き手の感受性が存分に充電される思いがしました。

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大江肇さんは仙台市出身。おそらく出演者のなかでは最若手ではないでしょうか。私も初めて。何とも言えないほどに美音でみずみずしい音色で歌い上げるドヴォルザークの旋律美に幸福な陶酔感を感じました。使用楽器はヴィヨーム。

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松田理奈さんは、ヴィジュアル系といってもよいほどの美人ヴァイオリニストですが大変な実力派。長いドレスの裾から裸足のお御足がのぞきます。そのせいなのか、残響が長く尾を引くのでびっくり。前半の無伴奏部分のG線ばかりでなく、ピアノが加わった後半でもこうした反射残響の響きが豊かなのは、5人の出演者のなかでも出色だったのです。ロマの妖しい濃厚さとはちょっと違う、真っ直ぐな色気は松田さんならでは。

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周防亮介さんは、7年ぶり。まだ高校生だったあの頃にすでに片鱗があったオネエさんっぼさが今や満開。肩まで伸びた黒髪姿は知らずに見たら女性ヴァイオリニストと勘違いされかねない。イザイの手になるサン=サーンス原曲のラプソディは、超絶技巧が炸裂。パガニーニもかくやと思わせる黒づくめのスーツですが、そのヴァイオリンの馥郁と色めき立つ薫りは、まさに両性具有の美。楽器は1678年製のニコロ・アマティなのだそうですが、古代蓮のように生き生きと力強く清廉に響くのは意外に思えるほどでした。

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掉尾を飾るのは、再び、元N響コンサートマスターの堀正文さん。エルガー、クライスラーのおなじみのアンコールピースの数々なのですが、その洒脱でしかも洗練されたエスプリに満ちたフレージングはお見事としか言いようがありません。大オーケストラのアンサンブル奏者というのはこういう曲であってもこれほどに上手いのかと、ちょっと失礼な感想まで抱いてしまいました。

大ホールのホワイエは、コンサートがはねて人々が一斉に退出しても人数が少なく、よけいにがらんとしていました。外は相変わらずの梅雨空ですが、音楽の充実した後味で気持ちは晴れ晴れとしていました。





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芸劇ブランチコンサート
清水和音の名曲ラウンジ
第24回「ブラームスはお好き?」
2020年7月22日(水) 11:00~
東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
(1階O列33番)

徳永二男:
ヴィターリ/シャコンヌ

大江馨:
ドヴォルザーク/ユーモレスク、母が教え給いし歌

松田理奈
ラヴェル/ツィガーヌ

周防亮介:
サン=サーンス/「ワルツ形式の練習曲」による奇想曲(イザイ編)

堀正文:
エルガー/愛の挨拶
クライスラー/愛の三部作「美しきロスマリン」「愛の悲しみ」「愛の喜び」

清水和音(ピアノ)
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