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こわいもの三題(カーボン、マグネシウム、エージング) [オーディオ]

これは、以前の日記記事についてのフォローアップですが、ほぼ前言撤回ともいうべき訂正記事です。

その日記とは「カーボンブラックラビオリ効果あり」との記事のことです。

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金属たわしアースに装入するマグネシウム粒を凝集固定するためのラップに炭素繊維の平織布を使って好結果が得られるとの趣旨でしたが、案に相違して音が劣化してしまったという失敗談になります。

ようやくそのことに気がついたのは、ひさびさに聴いたジャズボーカル。

どうもソフィー・ミルマンの声がひどくハスキーに聞こえるのです。1トラックのパーカッションでも、妙にシンバルの響きが派手に粉っぽい。金属的なキレのある“ピシッ”とならずに“バシャーン”とだらしなく拡がってしまいます。特に声質に違和感を覚えたのは、9トラックとか11トラック。本来、ドスのきいた低めのアルトが魅力ですが、声の色合いが白濁して軽くなってしまっています。低域も痩せて力を失っています。

ここで、はっと気がつきました。

サテライトアースを試しに外してみると、やはり音が変わります。最も音に変化を感じたのはDAC(CDP)のデジタル信号のグランドにつないだステンレスたわしと組み合わせたアース。さっそくカーボンブラックラビオリを外してみると、やはり、このせいでした。

ひとつひとつ詰めていくと、次はDirettaTargetPCのシャシーグランド(SUS)。続けて、roonCorePCのシャシーグランド(SUS)。それでもマグネシウム臭さが残るので、DACのシグナルアース(BRASS)、ついには、プリアンプにつないであるメインアース(BRASS)と、次々とカーボンを置き換えて元に戻し、そして、ついには、全廃ということになってしまったのです。

ここのところ、どうも思うようなサウンドに思えず落ち着かない日々でしたが、ようやくMFPC-Diretta導入直後の感動がよみがえってきました。

出音は、まさに、マグネシウムの悪夢だったのです。

一聴するとSNが上がり、高域が繊細で際立ってきて、いかにもハイファイになったように聞こえますが、色彩濃度が落ちて粉っぽい付帯音や白濁した響きがのってしまいます。私は、これを「マグネシウムによる白化現象」と呼んでいます。

金属たわしアースへのマグネシウム粒を合わせること自体は悪くないので、粒を包むということ、その包装に使ったカーボンとの組み合わせがさらに悪かったようです。包むことはアルミフォイルでもNGでした。餃子もラビオリもダメということです。マグネシウム粒の有無も再確認しましたが、やはり有った方がよいので、以前と同じようにバラスト状で入れ直しています。




カーボン  (オーディオでこわいもの その1)

これまで、スパイク受けや各種インシュレーターなどを使ってみて、ドライカーボン(CFRP成形品)の音がよくないことはわかっていました。けれどもそれは、どちらかといえば樹脂の固有音だと思っていました。今回の試みは、カーボン布を生で使用するもので、うまくいけばいろいろ発展性もあると期待しただけに、その結果はショックでした。やはり、それは炭素繊維そのものの制振吸音機能によるものなのだと考え直しました。実際、その振動減衰はマグネシウムをも上回る減衰速度で、かなり強烈です。

もちろん何事も使いようですので、やりようによっては良い結果を生むのかもしれませんが、制振、吸音系の素材はかなり毒性が強いので量は控えめに、そして、かなり繊細な工夫を要すると思います。現在、使用しているのはスピーカーキャビネットの吸音材として、天然ウールと合わせているカーボンウールのみです。ウーファの整音に若干ブレンドされています。

インシュレーター以外にも、トーンアームや電源プラグなどに使用されていて意匠的には良いように見えますが、正直言って見るだけでもぞっとします。



マグネシウム  (オーディオでこわいもの その2)

これも他人の家も含めて各種経験してきましたが、ひとつもよいことがありませんでした。金属たわしアースに合わせるというアイデアは、唯一の例外でした。それが、カーボンファイバーとの組み合わせで一気に毒が吹き出てきました。アースですので、電気的な効果のはずなのに、出音がまさにインシュレーターなどの振動効果と同じであることには驚きました。

アース効果としては、その導通特性など電気的な特性が良結果を生んでいるのでしょう。しかし、カーボン布に包んだことで両者の相乗効果で振動特性が大きく前面に現れたのだと思います。量が過剰になると同じような傾向があります。仮想アースはかくも振動の影響を受けるのです。



エージング  (オーディオでこわいもの その3)

エージングというのは、必ずしも良いものとは限りません。

客観的に意訳すれば、経時変化ということでしょう。それを安定化ととらえれば良い意味ですが、老化、劣化ととらえれば悪い意味です。オーディオでは、それをさらに主観的に《熟成》などと言い換えるので、その恐ろしさがわからないのです。

今回のように、最初の音の変化が軽度で好感の持てるものであっても、時間とともに特性が顕著となってくると過剰感や副作用が顕在化することもあり得ます。もちろん劣化ということもあるでしょう。最初の印象(ハロー効果)があって、暫時、その変化が進行していってもその副作用や劣化に気がつきにくく、良いものだとの思い込みが続いてしまうのは、オーディオにありがちのようです。



(結論)

金属たわしアースへのマグネシウム粒合わせそのものは良い効果を生むという評価は変わりません。ただし、ラップ(包む)したりセパレーターを入れずに、そのままバラスト状態で使うことがベストです。

アナログ系の真ちゅうたわしアースは、マグネシウム・ナゲットがなじみがよく、エージングもほとんどなく安定的です。安心して使用できるのでオススメですが、ただし、良いのはサンシャインの新品スパイク受けだけです。(中古品はクエン酸での酸洗研磨が必要です。)

デジタル系のステンレスたわしは、ケースが小さいこともあってナゲットは使いにくいしコスト高なので、従来通りバラストを底部に敷き詰めるようにしています。これはエージングと量の過剰に注意が必要です。当初は高域が粗く感じて、安定するまでに最短で3日はかかります。当初は、多少、多めに入れて、3~4日経ってから減らす方向で調整します。かなり根気よく調整することが必要です。

最後に頼れるのは自分の耳だけです。

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