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アンプも電源次第 (出川邸訪問記) [オーディオ]

立体音場再生には、まず電源が重要ということで盛り上がっていたところでしたので、出川さん宅を訪問できたのは実にタイムリーでした。

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出川さんは、あの出川式電源で知られるA&Rラボの主宰。

整流ダイオードは正負逆転する一瞬(毎サイクル2回、約950μ秒)は電流が流れないので10%は音が欠落しているという。それを補間的な回生回路で遮断時間を解消するという独自のデバイスを案出されている。理屈はともかくその効果は聴いてみるとすぐわかります。

この回生回路の原理は、回路内の配線のインダクタンスによって発生する逆起電圧にも適用できる。私のアンプはすべてバッテリーによるDC電源だけれでも、出川式モジュールで強化しています。この回路はACアダプター内に発生する高周波ノイズにもノイズフィルターとしても機能するのです。

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今回は、真空管アンプのチョークインプット電源を出川式で改造強化しているものが聴けるとのことで、従来型との比較試聴を期待して訪問したのですが、もはや、そういう切り換え比較はやめてしまったと破顔大笑。

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真空管アンプの試聴はそこそこに、「デジタルアンプもいい音するよ」と取り出したのが、いわゆる中華デジアン(Fosi Audio TB10D)。

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これが、(失礼ながら)真空管アンプ顔負けの素晴らしいサウンド。

しかし、これはあくまでも電源次第。

試しにと、付属のACアダプター(32V)にすると、たちまちショボい音になる。

とはいえ、最初にいきなり出川式電源で聴いていたからそう感じるだけで、1万円ちょっとの手のひらサイズのアンプの出音とは信じられないパワーと高音質であることには呆れてしまうほど。

このACアダプターに、出川式のFIXコネクタ(欠落電流補填回路&高周波ノイズ回生回路)をつなぐと、ぐっと音の品格が上がる。

持参した窒化ガリウム(GaN)アダプタにすると、ほぼ出川式のリニア電源に匹敵する。これは持参した自分としては、してやったりの気分。さらにFIXコネクタを通すとやはりグレードが上がった感じがすることも同じ。スイッチング電源というのは窒化ガリウムといえども、入り口はダイオード整流だから10%欠落は免れないからだそうです。

しかも、このアダプターはPC用に使っていたもので、電流容量も小さく、そもそも19V用。やはり、このデジアン(電源min18-max48V)のポテンシャルを最大限に発揮するのは、出力電圧の高い出川式のリニア電源なのかもしれません。

それにしても、デジアンは電源次第ということを痛いほど実感します。

そのまま、このデジアンでプリアンプの比較試聴をしました。

この日のデフォルトのプリアンプは、アース配線はまだ未完でバラ配線のままという出来たてのほやほやのもの。

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比較したのは、ヘッドアンプ初段が私の金田式バッテリーアンプと同じSONY 2SK97のもの。イコライザアンプはオペアンプMUSES 02(旧・新日本無線→現・日清紡マイクロデバイス)で組んであります。やっぱりなかなか良い音です。それにしてもデフォルトのプリアンプは、明らかに頭が抜けている。こちらのヘッドアンプは、2SK97よりずっと以前のメタルキャンタイプのデュアルFETのようです。EQアンプもディスクリート構成。

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けれども聴いてみると、音の質を圧倒的に支配しているのは電源部のようです。

図抜けているデフォルトのプリアンプの電源は、別筐体で立派なカニトランスを備えた大変な力作。

使われている出川式第2世代電源モジュールや回生回路もモジュールの容量はパワーアンプ並み。定電圧回路も、ノイズを撒き散らす3端子レギュレーターではなくてしっかりとパワートランジスタを使用したデスクリートで構成されています。そして、件の真空管パワーアンプのチョークインプット電源強化に使用されているライン・コントロール・モジュール(LCM)で構成されているコンデンサには、なんと0.1μFの大容量マイカコンデンサが使われています。なかなかこれに敵う電源はないでしょう。

電源というものの重要性をまた改めて実感させていただきました。

アナログアンプも、やっぱり電源次第ということなのです。
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アリストPhile(川辺 博)

いつも面白い記事をありがとうございます。大阪の元英語教師です。

半年前に、本体3,000円のアンプ(Nobsound NS-01G Pro)をAmazonで買ったところ、あまりの高音質に驚き、Luxmanの最上級プリメインL-590を売ってしまいました。

今までどのアンプにも満足できなくて、初めて感動したのが安い中華アンプだったことにも驚きました。

ただ、こんなことをしている人は見たことも聞いたこともありません。加齢によって自分の耳が壊れている可能性もあります。

そんなところにベルウッドさんの記事を読んで安心しました。やっぱりアンプは電源なんですね。

この感動はAmazonのカスタマーレビュー「オーディオの未来は中華アンプか」として書きましたが、投稿すべきカテゴリーが違ったかもしれません。


Philewebが終了したためか、ベルウッドさんのオーディオ関連記事も随分減った印象があります。
これからもご健闘を!


by アリストPhile(川辺 博) (2024-08-01 13:32) 

Bellwood

アリストPhile(川辺 博)さん

コメントありがとうございます。

デジタルアンプは、OlasonicのNANO A1などスグレものがあったのですが、相も変わらぬ日本のマニアの重厚長大嗜好。ついに居場所を見つけることなく消えてしまったのは残念です。それでも、当時、電源で容貌が一変するのに驚いたという記憶があります。

ブログ頑張ります。今後ともご支援よろしくお願いします。
by Bellwood (2024-08-02 12:19) 

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