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途切れない才能 (山中惇史-名曲リサイタル・サロン) [コンサート]

この日は、ピアノリサイタルとはいいながら、ひとつもピアノ曲がない。

というのも、全てピアノ以外の楽器のために作曲された曲を、ピアノ用に編曲したもの。いわゆる〈トランスクリプション〉。

最初にヘンデル。〈アフェットゥーソ〉はヴァイオリン・ソナタが原曲ですが、2曲目の〈パッサカリア〉は、もともとはチェンバロ曲なのでそのまま弾いているのかと思いきや、始めにごく短い序奏がついている。だから、これはどちらかといえば〈トランスクリプション〉というより〈アレンジ〉に近いのかな。

山中さんは、1990年生まれ。CDソロ・デビューは昨年だそうだから、すでに三十代半ばの遅いデビュー。もともとは作曲科の出身でマルチタレント。作曲/編曲、音楽プロデュースとすでにいろいろ活躍していて、ピアノ演奏が本業だとは限らない。名曲リサイタル・サロンのシリーズでも、異色の才能の登場です。

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写真は、ご覧の通りなかなかのイケメン。ところが、登場したらちょっとヘアスタイルが変わっていて、ちょっとチャラ男風で軽い。トークも面白くて、とにかく話題が豊富。カッコイイというよりとても親しみが持てるお兄ちゃんという感じ。

ヘンデルとの出会いのエピソード、バッハ/ブゾーニ〈シャコンヌ〉の感動……などなどを、延々と雄弁に語って止むことがない。面白かったのは、この名曲リサイタル・サロン恒例の〈食べ物〉質問。料理への興味は本格的だそうで、その縁からあの平野レミさんのイベントに参加。それをきっかけに平野(和田)家とは家族ぐるみのお付き合い。毎月29日(「ニクの日」)には肉料理のご馳走をご一緒するのだとか。

演奏も、ごくごく弱音の序奏から、最後の残音を長く響かせるロングトーンまでずっと途切れることがない。

感心したのは、ナビゲーターの八塩さん。山中さんの話しを決して遮らず、ぎりぎりの時間をマネージしてしまう。本当に聞き上手で賢い女性だと改めて感心してしまいました。

時間超過にもかかわらず、アンコール。この〈子犬のワルツパラフレーズ〉が山中さんの本領――途切れない才能――を、一番よく表徴していたという気がします。



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芸劇ブランチコンサート
名曲リサイタル・サロン
第31回 山中惇史
2024年7月17日(水) 11:00~
東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
(1階K列22番)

山中惇史 (ピアノ)

八塩圭子(ナビゲーター)

《ピアノ・トランスクリプションの魔法》
ヘンデル〈山中惇史編〉:アフェットゥーソ
ヘンデル:パッサカリア ト短調
J.S.バッハ〈山中惇史編〉:ラルゴ(無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番より)
J.S.バッハ〈ブゾーニ編〉:シャコンヌ
ショパン〈バックハウス編〉:ロマンス(ピアノ協奏曲第1番より)
山中惇史:わらべうたによるパラフレーズ

(アンコール)
山中惇史:ショパン/子犬のワルツによるパラフレーズ

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