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オールホーンの音作り(Tさん宅訪問)前編 [オーディオ]

Tさん宅をお訪ねしました。

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Tさんは、オールホーン・システム。大変なオーディオ遍歴を重ねられてきた方で、その果てにこのシステムがあります。古典的なユニットに真空管アンプで、アナログオンリー。とにかくハンドメイドの独自の世界観があるオーディオです。

そもそもは、私が「立体音場再生」と題して投稿した記事へのレスのやり取りです。Tさんが「オールホーンのマルチウェイでも立体再生はできる」「リアルサウンドでステージを実現できている」というので、それでは是非聴かせてください…となったわけです。

…というわけで、訪問のテーマはあくまでも「立体音場再生」。

到着までに一波乱。

励磁スピーカーの電源のひとつが壊れてしまったとのこと。予熱を入念にと準備中に物が落下して電源に当たってしまったそうです。車で旧知のショップで応急修理。私が駅に到着するまでに間に合いましたが、その重い電源を車内に積んでのお出迎え。

オーディオルームに入ってからも、いろいろとお取り込み。午前中からの入念な準備と十分な予熱という思惑は大ハズレ。アンプ類も励磁電源も全て到着してからの点灯というわけです。もうお気の毒と言ってよいほどのドタバタです。

案の定、最初はなかなか安定しません。言い出せばキリが無いほど気になる点が満載なのです。Tさんも最低でも2時間はかかると仰います。

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しかし…

最初からおや?…と思いました。先入観として持っていたホーンのマルチウェイのイメージとは違う。確かに、音の拡がりとナチュラルなハーモニーとステージ感があります。

私の耳慣れた音源ということで、持参したレコードを優先して聴かせていただきました。上述のような暖機不足ですのでいろいろと思うところはありましたが、次第にこちらの耳も慣れてきて、このオールホーン・システムの本質が見えてきました。


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最初にかけていただいたショルティ/シカゴのワグナー。

国内廉価盤なのですが、これがこういうハイクラスのオーディオにはけっこう鬼門。やっぱりそうかとちょっと落胆はしたのですが、ホルンやトロンボーンなどには気がつかなかったリアリティ。このLPは、暖機の進捗にともなって何回かかけ直しました。そのたびにこのシステムの素晴らしい素性を感じさせるようになっていきました。

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次にかけたのは中本マリのボーカル。

Tさんは、低音の量感を求めないと公言しています。低域であってもあくまでも弾むような溌剌としたリアリティを追求。ユニット2本のショートホーンは巨大なもので、多少のご謙遜はあるとは思いますが、確かにとてもタイトで低域の遅れが音に被ってしまうことが皆無。ただし、周波数の加減なのか、このLPはかなり低音が気になりました。東芝音工の力作プロユース・シリーズ――洒脱なボーカルと原田政長の弾むようなウッドベース、ビッグバンドのパワフルなサウンドが魅力ですが、気になったのはキックドラム。ガツンと甲高い衝撃になってしまって低音にならない。――この原因は最後の最後に、低音ユニットの励磁電源の電圧が上がっていなかったことと判明しました。

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驚いたのは、シャルランレコードが見事に鳴ったこと。

たいがいのシステムには鬼門のはずのこのレーベルが見事に鳴りました。ヴィヴァルディの四季ですが、これほどアンサンブルがほぐれて輝かしい弦楽器の蠱惑的な音色が立体的に再生されたのはあまり聴いたことがありません。この演奏にはコントラバスが含まれていないので、バランス上、前述のウーファーが悪さしなかったということもあったのかもしれません。

4way10ユニットのオールホーンをこれだけマネージするというのは大変なこと。しかも、アンプやプレーヤーもかなりの年代物です。その大変さの一端をはからずも目撃することになりましたが、大変さを苦労とせずに嬉々としてやっておられる。これこそ趣味のオーディオ。

(続く)

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