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開花宣言 (小林沙羅。三浦友理枝-名曲リサイタル・サロン)

前日の14日には、東京は全国に先駆けて開花宣言。

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この日も、まだ空気に冷たさを感じましたが陽光あふれる春の陽気。池袋グローバルリンクの噴水では、卒業式の帰りなのでしょうか子供たちがびしょ濡れになってはしゃいでいました。

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その陽気にふさわしい小林沙羅さんのソプラノの今日のテーマは、まさに「春」づくし。ピアノの三浦友理枝さんとはずっとコンビを組んでいる大の仲良しなのに、コロナ禍で公演が中止となって以来の久しぶりの共演なのだとか。まさに春が来たという気分がステージ上から薫りたつようです。

ステージににこやかに登場した小林さんのドレスは爽やかな桜色。さっそく滝廉太郎の「花」。そして、同じ加藤周一の詩に中田喜直、別宮貞雄の二人が曲をつけたそれぞれの「さくら横町」。

日本の《春》は、やっぱり桜。それも、うららかな陽光あふれるの中で爛漫と咲き乱れる桜。日本の四季が一番輝くひととき。

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ステージには司会役の八塩圭子さんも加わって、とてもにぎやか。インタビューに答える小林さんは、すっかりおきゃんぶりを発揮。おしゃべりにはいささかの屈託もなく、八塩さんもひと言ふたことフリをつけるだけで、後は小林さんのほとばしるようなお話しにニコニコとうなずくばかり。

日本のしっとりとした春と違って、ヨーロッパの春は、長く冷たい冬のあとに一瞬にして訪れる。そういう小林さんのお話はまったくその通り。イタリア人のティリンディッリは、その春を崇め奉るように歌い上げる。パリのサロンで活躍したハーンは一瞬の春の輝きを歌い上げ、ドイツのシューマンは長い冬に閉ざされた子供たちの屈託を思いやることで春を歌う。ロシア人のラフマニノフは雪解けの微かな水音から感情を抑えきれないという風な爆発的な春。そういうお国柄豊かな「春」の歌がとってもチャーミング。

三浦さんが、北欧の春ということで澄んだ響きのグリークをソロでご披露すると、その数分の間に衣装替えをした小林さんが、こんどは淡い明るい緑青色のドレスで再登場。そう、欧米の春は、むしろ、新緑の緑がイメージでしたね。

八塩さんの恒例の質問――「コンサート前の食べ物は?」に対して、小林さんの答えはなんと「納豆ご飯」。ヨーロッパ公演でも炊飯器を持ち歩き、イタリアのお米もけっこう美味しいとかで、納豆は冷凍も入手できるし、最近は現地産もあるのだとか。これに卵があればサイコーで、生の卵がご法度の海外から帰国するとさっそくTKGということになるのだとか。

そういう話題の後は、小林さんの歌唱はいっそうパワーをつけててきます。ドビュッシーに続いてグノーの「ファウスト」からの有名なアリアで最後を盛り上げてくれました。やっぱり、歌というのにはオペラのアリアを聴いてほしい…とは小林さんの気持ちなんだそうです。





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芸劇ブランチコンサート
名曲リサイタル・サロン
第23回 小林沙羅(ソプラノ)
2023年3月15日(水) 11:00~
東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
(1階M列18番)

小林沙羅(ソプラノ)
三浦友理枝(ピアノ)

八塩圭子(ナビゲーター)

滝廉太郎:花
中田喜直:さくら横ちょう
別宮貞雄:さくら横ちょう
ティリンディッリ:おお、春よ!
R.アーン:春
シューマン:春が来た!
ラフマニノフ:春の流れ
ドビュッシー:リラ グリーン 美しい夕暮れ 星の夜
グノー :「ファウスト」より 宝石の歌

(アンコール)
R.アーン:「クローリスへ」
フォーレ:「夢のあとに」
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