久しぶりに出川さんのお宅を訪問しました。




最新の21世紀電源搭載の真空管アンプを聴かせていただくため。


実はこのKT-90ppアンプは、Harubaruさんのアンプとほぼ同じもの。先日のHarubaru邸訪問では、もっぱらバベルにスポットライトが当たってしまい、あまりアンプの話題になりませんでした。そこで改めて本家本元の出川邸をお伺いしてみようということになりました。


まずは、21世紀電源搭載の有無の比較。


20世紀整流回路のSONY CDP-502ES。CD初期のリファランス機です。ふつうによい音がします。




21世紀電源搭載のSONY CDP-555ESD。比較の502ESよりDACなどが強化されましたがほぼ同じ時代のCDP。その違いは歴然としています。とにかくSNが違う。《静か》というより、むしろ《うるさくない》。それでいてエネルギー感があります。


同じく21世紀電源DENON DCD-1650G Ltd.。90年代、いよいよCD全盛期を迎えた時代にロングランを続けた中堅普及モデルです。プロセッサのデジタル技術が一層洗練されDACはデュアルパラでアナログ部は差動増幅となっています。さすが名器と思わせるバランスですが、電源改造のおかげで中堅クラスとは思えぬ情報量。


同じ21世紀電源ですが、このDENON DCD-CS10 III。AL24Processing搭載の上位機種。いよいよ時代は21世紀を迎えます。上記と違うのは、クロック精度。1ppmクラスに対してこちらは0.01ppmという高精度。ちなみに私のGRANDIOSO K1のクロックは0.5ppmです。


クロックの違いは正直言ってあまり感じませんでした。とはいえ、新しい世代のCS10 IIIに一日の長はあります。以降、このCDPで再生ということに。




本日の主役である21世紀電源KT-90ppアンプは沼口工房とのコラボ。21世紀電源、大電流CPM+シルバーマイカ、LCMに加え、独自のチョークレス整流回路となっています。つい先日の妙高オーディオ倶楽部発表会でも圧倒的な高評価を得たそうです。


聴かせていただくと、立ち上がり立ち下がりのスピードと動と静のコントラスト、立ち下がりの音の減衰の鮮明さが、どれもが抜き出た違いとなって体感されます。




前回訪問時と違って、プリアンプはトランス入力の単段真空管アンプです。この違いもあるのか励磁式のシングルスピーカーから驚くほどのエネルギーと情報量を引き出していました。


同じ構成の電源回路で、出力管の違うアンプとの比較も聴かせていただきました。




感嘆させられたのはウェスタンVT-52。改めてウェスタン管の音の良さには驚かされました。雰囲気があって音に深みを感じさせ、シングルなのにエネルギー感はPPと遜色がありません。




一方、ロシア管GM-70はいかにも鈍重で粗い。それもこれも電源回路によって赤裸々に浮き彫りにされてしまうということなのでしょう。


そのことは、音源についても同じ。


ほとんどが録音同好会によるジャズコンボの生録。ほぼワンポイント録音で、レコーダーやマイクアンプなどにはすべて出川式電源が使用されているもの。その生々しさは半端ではありません。


一方で、巷のオーディオファンがよく取り上げる某国内レーベルのディスクは、一聴したとたんに商業的な臭みがぷんぷんとしてきて聴くに堪えません。演奏がどうのというのではなくて、生録の一発録り無編集の潔さとその空間の透明さに対して、あまりに余分な何かを感じてしまうのです。そもそもSNが良くない。何かが音にまとわりつく感じがします。


Harubaruさん宅でかけていただいて鮮烈な印象を受けたディスク。




ちょうど、Harubaruさんから返却、戻ってきたとのことでかけていただきました。全く同じディスクです。


かなり印象が違います。Harubaruさん宅での再生はかなりハイファイ優等生。こちらはもう汗のしぶきが飛んできそうなエネルギッシュな再生。あえて言えば粗暴なほど。この違いには驚かされました。パワーアンプは共通なので、スピーカーの違いが大きいのでしょう。




このソフトは、後日、我が家でも聴いてみましたが、あまりに違うので腰が抜けるほど。そのことは、また、後日レポートすることにいたします。


帰りには、出川さんの家庭菜園の朝どり枝豆やミニトマトをどっさりいただきました。猛暑の一日の遠征でしたが、帰宅後は冷たいビールでさっそくゆでたての枝豆をいただきました。美味でした。