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横須賀のtraneshepp会さん宅をお訪ねしました [オーディオ]

横須賀のtraneshepp会さん宅をお訪ねしました。

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ヴィンテージ機器を、入念にリファインされたセッティングとラインアップで現代的なサウンドで鳴らしておられる。その朗々たる鳴りっぷりは見事としか言いようがありません。

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中でも目を引くのが、50年代の名器パトリシアン。

聴かせていただいのが、ジョージ・セル/クリーヴランド管の名録音・名演奏であるコダーイ「ハーリ・ヤーノシュ」。

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これを取り出したのは、CBS/SONYが標榜した“SX68SOUND”盤だったから。 当時の最新鋭のノイマン製のカッティングヘッドを使用していて、レコード会社として創業まもないSONYは、その技術力を誇示していました。そういうスペックを争ういわゆるオーディオ時代の幕開けでした。

五味康祐は「このノイマンSX68が音をきたなくした。これを褒めるやからは舌をかんで、死ね」とどこかで書いているのだそうです。この話しを蒸し返したら、これまた某氏から“SX68”のことを散々に言われてしまいました。「舌を噛めとまでは言わないが、米国コロンビア盤に較べると酷すぎる。即刻、処分した」との言い分。

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それで、このパトリシアンを見てふつふつと血が騒ぎ、勇んで取り出してかけていただいたというわけですが、聴いてみると目も醒めんばかりの、広帯域、広ダイナミックレンジ。さすがにアナログの充実期の録音だと感嘆するばかりです。

何よりもヴァイオリンの強奏の高音が容赦なく、かつ、伸びやかに捉えられている。これは実にアメリカならではのオーケストラであって、シカゴ響と双璧。1800席の大ホールで強力な金管楽器軍団と渡り合える筋肉質の弦パートの真骨頂。ffのユニゾンでメロディを奏でるところの純音の美しさは、残響にまみれた1000席ほどのホールに甘やかされたヨーロッパの楽団には到底到達不可能の技術的境地でした。

巷間言われるような「高域寄り」ではまったくなく、冒頭の「大くしゃみ」の後の、ティンパニとピアノ低音のトレモロに低弦が加わるppの部分などローエンドにも凄味があります。

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このグランカッサが床を揺るがすのにたじろいだのか、TさんがあわててSOULENOTEのローカットのスイッチをON。まさかとは思うけど希少なユニットを壊されてはたまらん…とTさんが苦笑します。

「ウィーンの音楽時計」のチューブラーベルやシンバルなどの鳴り物の胸のすくようなキレのあるパーカッションは壮絶ともいうべきサウンド。 一番の聴きどころは、第5曲の「間奏曲」でしょう。とにかく土臭く濃密な弦楽合奏と民俗楽器のツィンバロムの絡みには胸をかきむしられるような郷愁を感じます。弦の濃厚な響きの中にツィンバロムのオリエンタルな響きが決して埋もれることもない。しかも決して音量バランスに誇張や強調がないところが凄い。この時代には考えられなかった分解能の高さです。

カッティングアンプは、SX68MARK-IIになって、SONY得意の半導体の低歪率・大出力アンプになりました。このCBS-EPIC録音チーム高音質マスターを得て、SONYのカッティングエンジニアたちは快哉を叫んだのではないでしょうか。

そういう創業間もない頃のCBS/SONYの技術的に尖っていた部分は、次第に丸くなっていき、レーベルが青白ではなくなって“SX68”“SX72”“360°SOUND”といったキャッチが消え失せると、すっかりおとなしくなってしまったのは残念です。

だから"SX68"といったロゴとそのサウンドこそが、この時代の心意気そのものなのです。 鳴らすもので鳴らせば、がぜん本領を発揮する。

それこそ「これを貶すやからは舌をかんで、死ね」です(笑)。

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