王子と言えば、狐が有名です。

落語「王子の狐」も有名ですが、その伝承のみなもとは「王子の狐火」。



東国三十三国の狐火が集まったということなんだそうです。そういう「王子の狐」は、実は王子神社のことではなく、そのすぐ近くにある王子稲荷のこと。



王子神社の裏手、音無親水公園からJRの線路に沿って東十条方向に少し行くとその稲荷神社があります。



やはり台地の端にあってここだけうっそうとした緑に囲まれています。



この一帯には中央工学校の校舎がいくつも建っています。



創立は明治42年と古く、折からの工業立国政策に呼応して、建築や機械工学、土木、電設などの実学を学ぶ工業専門学校で、夜学も開設しました。



その卒業生に庶民宰相・田中角栄がいます。田中はよく小学校しか出ていない(高等小学校卒)と思われていますが、実は、最終学歴はこの中央工学校卒となっています。昭和9年に上京して、当時、神田にあったここの夜学に通い、建築士の資格も得ています。彼は根っからの土建屋でした。




ここから再び坂道を上り十条台から埼京線の踏切を抜けていくと、十条銀座の商店街があります。

日本全国に「〇〇銀座」というのは300以上あるのだそうですが、ここは、戸越銀座、砂町銀座と並ぶ東京の三大銀座のひとつ。アーケードが無くなる先は富士見銀座となりますが、これが環七とぶつかる交差点までひとつながりとすれば600m以上の長さ。



こういう地域の商店街は、なかなか接触8割減というわけにはいかないようです。