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本村睦幸のバロック音楽サロン Vol.3 [コンサート]

ごく普通の駅前の区民文化センターなのにとてもよい響きのサルビアホール。

100席ほどの小さいホールですが、いや、それだからこそ実現できた響きなのでしょう。その音の良さは、ここで開催される弦楽四重奏シリーズで体感してきましたが、なるほど古楽アンサンブルでもなおのこと響きの良さを堪能できるかもしれないと、本村睦幸のリコーダーを中心としたバロックアンサンブルのコンサートに足を運びました。

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実は、ちょっとしたハプニングが…

もともとは、リコーダーとバロック・ヴァイオリンと通奏低音のアンサンブルの予定だったのですが、ヴィオラ・ダ・ガンバの折口未桜さんが直前の急な発熱のため出演できなくなってしまいました。通奏低音は、チェンバロの上羽剛史さんお一人ということに。いわば四重奏が三重奏になってしまったのです。

プログラムは急遽差し替えに。

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予定した最後のテレマンの「パリ・カルテット」は演奏不能。同じテレマンのトリオ・ソナタに差し替えとなり、順番も変更となりました。トリオ・ソナタというのは、ヴァイオリンやフルートなど2つの旋律楽器と通奏低音という3つの声部から成り立っています。ヴィオラ・ダ・ガンバは、作曲者が指定したチェンバロの左手の基音を補強する役割。これが欠けると音色バランスが変わってしまいますが、かえって軽く運動性の高い、すっきりとした響きになりました。

チェンバロの上羽さんによれば、ガンバの低域の支えが無くなる分、一生懸命左手をしっかりと弾くことにされたそうです。その分、右手の装飾とかアドリブは控えめにする。リゴドン風の舞曲などは、ガンバが太鼓を模したような同音の繰り返しを響かせてくれるのですが、それをチェンバロの左手で目一杯頑張る。かえって打楽器らしい響きが強調される。全体に、音調がより古典派へ近づいて、この日のプログラムのように18世紀中葉の音楽をよりそれらしく響かせてくれたような気がします。

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楽しかったのは、本村さんが何種類ものリコーダーで演奏してくれたこと。最初はいきなりソプラニーノ。珍しいヴォイスフルートというd'管のものも披露。これはパリカルテットの目玉だったのでちょっと残念。

びっくりしたのは、バスリコーダー。ちょっと面くらいましたが、立奏のためのエンドピンがつけられていたこと。池田梨枝子さんは、ここではヴィオラに持ち替え。ぐっと低音寄りになったトリオ・ソナタの響きで動きまわるわけですから、ちょっとアクロバチックな名人芸があってなかなかスリリングでした。

サルビアホールの魅力をまたひとつ発見した思いがしました。



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本村睦幸のバロック音楽サロン Vol.3
2023年9月7日(月) 14:00
横浜市鶴見 鶴見区民文化センター サルビアホール

本村睦幸(リコーダー)
池田梨枝子(バロック・ヴァイオリン、バロック・ヴィオラ)
上羽剛史(チェンバロ)


ジャン=マリ・ルクレール:
 ヴァイオリン・ソナタ 作品9の3
ヨハン・クリスティアン・ヘルテル:
 ソプラニーノリコーダーとヴァイオリン、通奏低音のためのパルティータ ヘ長調
ゲオルグ・フィリップ・テレマン:
 トリオ・ソナタ ト長調 TWV:42G1

カール・フィリップ・エマニュエル・バッハ:
 バスリコーダーとヴィオラ、通奏低音のためのトリオ ヘ長調 H588
ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデル:
 リコーダーとヴァイオリン、通奏低音のためのトリオ ハ短調 HWV386a1



(写真の一部は、主催されたヴィア・ガレリア代表の岡田薫さんのfbから借用しました。)

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