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SDAP サウンドフィデリティ試聴室訪問 [オーディオ]

池上駅にほど近いEMT(サウンド・フィデリティ)の試聴室を訪ねた。



お目当ては、SDAP(スーパー・デジタル・オーディオ・プレイヤー)と称する、ネットワーク配信による高品位音源に対応した再生機器である。


あらかじめメールで予約していたので、加藤社長にさっそく試聴室に案内していただいた。目に飛び込んできたのは、アルテック515Cのダブルウーファーをベースとするオールアルテックのスピーカーシステム。プリアンプはマランツ#7、パワーはマッキントッシュMC240と真空管の古典的名器によるラインナップ。その堂々たる風格は最新のデジタル技術との組合せとしてはとても意外で、豪奢なコンビネーションだ。


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まずは、SDAPのご説明を伺う。ネットワークオーディオ(PCオーディオ)には、大まかにいえば、PC、DAC、ストレージの三要素が必要。LINNのDSは、いわば無線LANでネットワーク化したDACと言ってよい。それ以外のユーザーは、ほとんどがPCにDACを接続している。このSDAPは、オーディオ専用PCでありDACと大容量ストレージが一体になっている。デザインも、ディスプレイやキーボードがなければ純然たるオーディオ機器に見える。


いよいよ音出し。


スケールとリアリティが両立した品格のあるハイエンドの音がする。すっかり魅了されてしまったが、何だかアルテックの音を聴きにきてしまった気分になる。大合唱では音が団子気味になり高音の抜けが悪く低域が重い。典型的な真空管アンプの音がする。そこで、さっきから気になっていた中央のデジタルドメインのB1aに換えてもらった。プリは相変わらず#7なので高域にお化粧がのっているが、分解能があがった。合唱のハーモニーは事前にブレンドされるのではなく空間でブレンドされる感じが出てきた。低域もほどよくタイトさを増した。


氏はジャズファンだとのことで、この基本システムには長年の愛着と時間をかけて綿密に詰めてきたこだわりがあるらしい。


そこに木に竹を接いだようなSDAPという構成が面白い。


操作もどこかマニアチック。ソフトはプロユースの編集ソフトを応用したものだそうだ。スマートフォンをリモコンに使うリンのような洗練さはない。オーディオ専用とするためCPUの発熱を抑えファンを一掃。振動対策を徹底した。電源はスイッチング電源だが医療用の高品位なものを使用しておりノイズは抑えてあるとのこと


ネットワークオーディオの楽しみ方は、いまのところ機能重視がほとんど。iPodやiTuneとの連携や、CDをリッピングしてアーカイブを構築、あるいはPCにつないだニアフィールド的な小型卓上システムが一気に高音質になるという楽しみ方もある。


とはいえ、機能主義だからなかなか高品位ということにはどこかこだわりや徹底を欠いている。PCやDACなどデジタル技術にはどうしてもアッセンブルという安直さから抜け出ないところがある。それでいてコストは理不尽に高い。


この日、最も印象的だったのはベルリン・フィルのデジタルコンサート。ラトルと内田光子の「皇帝」。アルテックの音はバランスも良くコンサートライブの雰囲気もたっぷり。パソコンのFDPなのに、内田光子が眉をひそめる恍惚の表情もなかなかで、これで十分に楽しめた。


CDというハードメディアはいずれ滅びるだろうとわかっている。それなのに自分にはネットワークオーディオをどう構成したらいいかがなかなかわからない。迷走は続き、焦燥感がつのる。

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