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検聴役、相勤めますのは…  (そねさん邸訪問記) [オーディオ]

そねさんのお宅を訪ねるのは、本当に久しぶり。

思い返すと、そねさんとリアルにお会いするのも1年前に拙宅にお出でいただ時以来です。お怪我をされたり、少し体調を悪くされたり、そういう事情が重なって、ちょっと遠慮気味だったせいもあります。

その間も、そねさん宅はいろいろと手を加えておられたそうで、基本構成は変わらないものの上流の刷新など細部の変化はかなりのものだとか。そういうことで、今回は、そういう成果を実際に聴かせていただこうというもの。

とはいえ、1年ぶりの再訪、聴感やサウンドの印象には確かな記憶などあるはずもなく、いわゆる「自社比較」のようなものは無理。個人的に持っているイメージとか思い込みのようなものばかりのオーディオオフ会日記であること、まずは、最初にお断りさせていただきます。

今回の試聴のポイントは以下の3点です。

1.新規導入したroon/Direttaの音 ―以前のMFPCとの比較―
2.TIDAL音源とリッピング音源との比較
3.リッピング方法の違い ―リッピング専用PANDA v.s. my PC ―
4.音響パネル(音快速・極烈)の効果


そねさんのシステムの真骨頂は、すっきりとした清冽なまでにクリーンで情報密度の高いサウンド。そういうサウンドは、メインの交差法配置のビエガであっても、サブ的存在の小型スピーカー+サイドプレススタンドであっても、まったく変わりません。やはりここはオーナーの一貫したこだわりなんだと思います。

今回は、もっぱら小型スピーカーのほうで聴かせていただきました。

まず、ざっと聴かせていただくと、やはり、そねさんサウンドのクリーンなサウンドはそのままです。平行法の小型スピーカーは、スピーカー後方に奥まった音場が展開します。交差法のビエガはスピーカー前方に音場が出てきます。結果としてどちらも同じところに音場が展開するので、最初はどちらが鳴っているのかわからないほど。


1.roon/Direttaの音

最初に聴いたそのものの印象はどうか?ということになります。

以前は、昨年の1月に訪問した時のことになります。当時は、foobar/TriplePCを導入直後のことになります。そねさんは根っからのPCオーディオ派で、もともと大型PCで聴かれていましたので、当時もそれ以前と比較してもびっくりするような大変化はなくて、弩級のMSB DACを通じて、PCの良さを存分に活かしたクリーンな音味です。面白かったのは、間に入れたセイデンのアッテネーターの有無やUSBケーブルの音の違いでした。

ちょっと驚いたのは、ディスプレイの電源の影響。

そねさんが「あ、忘れてた!」と、途中で電源を切り換えたとたんに音がよくなりました。当初はACアダプター電源で、マジ聴きの時はバッテリー電源なのですが、それを切り換えるのをうっかりされていたのです。それにしてもディスプレイの電源でこれだけ音が違うのかと驚いてしまいました。

もうひとつ驚いたのは、PCやネットワークの接続の複雑さです。

詳細の説明は避けますが、ハブが二段階あって、ControlPCやContorol-BufferPCと親ルーターの間にLANのスイッチングハブがあって、さらにCorePCとTargetPCの間にはもうひとつUSBハブが入り、そのUSB出力をUSB/LAN変換でわざわざLANに戻してTargetPCに注入。さらにTargetPCのUSB出力は(DACのUSB機器認識のせいで)さらにDDCでUSB/SPDIF変換されて、ようやくDACに入るとのこと。LANではなくUSBハブを使うのは、その方が音が良いからだそうです。

ただでさえプロセスカットでガリガリに削ってますから、案の定、このシステムはいかにも扱いにくそうで、この日の午前中は原因不明のトラブルで音が出なくなりその復旧までに定刻ギリギリまでかかりっきりだったそうです。再起動をあれこれ繰り返し何とか間に合ったそうですが、原因はわからないそうです。

さて、そのサウンドに変化は…?

クリーンな音の印象は同じです。ただ、以前の部屋いっぱいに空気が広がるような音場感の鮮烈な印象があまり感じられません。音場もスピーカーの間に展開して外に広がっていきません。幸田浩子さんのアヴェ・マリアでもボーカルがかなり奥まってしまうことが気になります。上流のデジタルでのノイズ低減はむしろ音の拡がりがよくなり、前に出るものは出てきて音像の前後感が深まるのですが、印象としてはそうなってくれてません。一方で、イタリア合奏団のヴィヴァルディの協奏曲は、このソフトの持つクリアでキレキレの美音が心地よく再現されていました。

頭の中のレファレンスは、自宅の音や、その間の試聴体験などで絶えず変わっていくものですから、やはり、二年近いギャップをまたいでの「自社比較」は無理のようです。正直申し上げて、よくわからないというのが結論です。



2.TIDAL音源とリッピング音源

これは、はっきり差が感じとれました。

よいことか悪いことかわかりませんが、TIDALは、リッピング音源よりも明らかに音質が劣っていました。

例えば、ケルテスの「新世界」。先日、asoyajiさんのところでCDを聴かせてもらって、改めて鮮烈な印象を受けたばかりの名演名録音。そういう鮮烈さはなくて、ただの古いデジタルリマスター音源としか聴けません。これがTIDALのストリーミングだと明かされて、なあんだと思ったほど。

あるいは、ファウストのバッハ無伴奏。これはシステム次第のところがあって難しい音源ですが、倍音が立ち過ぎて基音がなかなか聴き取れません。響きが目立って音像がぼけるのはノイズでバランスを崩している明らかな兆候です。

センターリスポジから離れて聴いてみると、リッピング音源ではどこから聴いてもセンター音像は両スピーカー中央に安定して立体的に定位しますが、TIDAL音源はそれが崩れてしまいます。いかなるソフトをかけても、リッピングは“どこでもセンター”なのに、TIDAL音源は音像が近い方のスピーカーに貼り付いてしまいます。

残念なのは、ガチンコで勝負することができなかったことです。

そういう意味では、厳密に「比較」とは言えませんが、雑ぱくな印象論でさえ勝負はあったと言えます。とくにセンターリスポジ外しの実験は例外なしに成立しました。TIDALは、ハイファイストリーミングがウリになっているわけですが、ここで聴く限りはそうはなりません。roonは、TIDAL/MQAにも対応していて、確か96K/24bitまではハイレゾに対応しているはずですが、果たして定額ストリーミング以上のメリットがあるのかは、この場では、疑問が残ることになってしまいました。


3.リッピング方法の違い

これも正直申し上げて、差は感じませんでした。

あるとしても「気のせいかな」という程度で、おそらくブラインドテストでやったらわけがわからなくなるでしょう。そもそも私にはリッピング機器によってファイル音源品質には差が出るわけがないと思っているので、その差を認めたくないというバイアスがあるかもしれません。ですので、聴かせてもらった範囲では、よくわからない…というのが結論です。



4.音響パネル(音快速・極烈)の効果

これは、実は、飛び入りともいうべきイベントでした。

そねさんはグルマンさんの日記に大いに触発されて、これに飛びついたそうです。というのも、もともと定在波に悩んでおられたからとのこと。70Hz辺りにピークがあって、特定のソフトではそれが気になるそうです。実際に、その一例となるソフトを聴かせていただくと、なるほどベースが特定の音でぼあーっと膨らみます。

ところが、この音響パネルを設置してはみたものの、定在波はとれなかったとのこと。部屋の外に放置状態になっていました。

それでは試しに聴かせてくださいということになり、部屋に再び招じ入れて聴いてみました。実は、使いこなしにはコツがありますよ、ということで思いつくままにあれこれと場所を変えて聴いてもらいました。

その結果は…?

聴いてみると、私には明らかによくなったと感じます。そねさんは不思議そうな顔をされています。もしかしたら、もっとよい置き方があるかもしれないと試してみたのは、右手のパネルだけはスペースがうまく空いていたのでスピーカー手前横のフロアにぺたんと仰向けに置いてみました。最終的にはこれがベストだと感じました。

このパネルのセッティングについては、以下のことを申し上げました。

1.定在波は無くならない
2.対称形に配置することにこだわらない
3.メーカーの薦めた置き方に従う必要はない

定在波というのは、部屋の形と寸法で決まってしまう宿命みたいなもの。人間の性格みたいなもので、持って生まれたものだから直らないのです。イコライザーなどでアクティブに働きかけないかぎり、部屋の帯域音響分布は変わりません。けれども、馬子にも衣装ではないですが、壁面の材質や形状の変更、音響パネルの追加などでアコースティックは変わります。

音快速は、大型の機材でなけれが補正が効かない低域にも有効で、しかも、帯域を狙い撃ちで作用するところが画期的です。帯域特性は変わりませんが、定在波による音溜まりの残存残響を取り除いてくれるのです。その結果、音の流速があがるという感覚があって、中高音の明瞭度は改善します。低域の音の遅れや立ち下がりの停滞によって、マスキングされていたのです。フロアに置いたのは、そねさんが定在波は床と天井との間に発生していると仰ったからです。

そねさんは首を傾げておられましたが、そねさんは、定在波は70Hz辺りだと仰っていたので、125Hz以下用のKP-02に交換してもらうのも手だと申し上げました。やはり、アクセサリーというのは適材適所が肝心です。

さて果たして、そねさんの音快速パネルは復活を遂げたでしょうか?
タグ:音快速 Roon Tidal
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