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2019 今年のマイベストCDs [オーディオ]

昨年にも増してソフトの渉猟ということでは乏しかった一年でした。オーディオ面でファイル再生が主になったということ、そのファイル再生にずいぶんと振り回されたという事情もあったとは思います。そういうこともあって、なかなか新譜には手が出ず、あるいは既発の音源であってもハイレゾ音源が入手可能であれば、新規購入はファイル配信ということになってしまいました。CDは、ほぼ中古品の購入に限っています。

ということで、今年は、ついに、すべてファイル配信のハイレゾ音源ばかりを取り上げることになってしまいました。

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1.Dynastie - Bach Family Concertos
  J.S.バッハとその息子たちの手による「チェンバロ協奏曲」集
  ジャン・ロンドー(Jean Rondeau)
  2016年9月6-9日、 ル・タップ -ポワティエ・オーディトリアム劇場
  flac 96kHz/24bit Erato/Warner Classics

ジャン・ロンドーは、1991年パリ生まれで、パリ国立高等音楽院でチェンバロを学んだ俊英。たまたま観たNHKBSの早朝に放送されている「クラシック倶楽部」で彼のリサイタルが放映され、そこでのインタビューでの彼の言葉「音楽は音のないところに生まれる」とともに、その演奏に感銘を受けてさっそく買い求めました。これがC.P.E.バッハの再発見にもつながりました。もちろん父バッハのコンチェルトにも新しい感覚を感じさせてくれます。


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2.Temperaments
  C.P.E. バッハとモーツァルト作品集
  シャニ・ディルカ(Shani Diluka)
  パリ室内管弦楽団(l’Orchestre de chambre de Paris)
  ベン・グラスバーグ(Ben Glassberg)
  2018年7月、パリ Salle Colonne / 8月、ロワイヨモン修道院
  flac 96kHz/24bit Erato/Warner Classics Mirare

シャニ・ディルカは、スリランカ人の両親のもとでモナコで生まれ育った新進の女流ピアニスト。コミュでの紹介で知りながら、ちょっと尻込みしていましたが、そのプロモーション・ビデオをYou-Tubeで観てすっかり魅了されて飛びついてしまいました。今年のベストに、これまたC.P.E.バッハの連続登場です。モーツァルトの疾走感の原点は、ハイドンの疾風怒涛とともに、C.P.E.にあったのだと、今さらながらの再発見です。いままでC.P.E.は、ヨハン・セバスチャンの息子という感覚にとらわれていましたが、むしろ、モーツァルトに大きな影響を与えた古典主義の先覚者だったのだと気がつきました。ここでシャニ・デュルカは、C.P.E.のコンチェルトで、その疾走感と透明な哀感を鮮烈なまでに現出し、さらには、ヒストリカルのフォルテピアノ(レプリカ)を使用してモーツァルトの原点を色彩豊かに照らし出しています。

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3.Vaughan Williams: Fantasia on a Theme by Thomas Tallis
  LSOライブ ヴォーン・ウィリアムズ トマス・タリスの主題による幻想曲ほか
  LSO String Ensemble & Roman Simovic
  2016年2月3日、ロンドン バービカン
  DSD64 LSO Live



紀尾井ホール室内管で取り上げられたヴォーン・ウィリアムズの曲の予習用ということでダウンロードした演奏。ストリングス・オーケストラは、オーディオチェック用としても厳しい音源で、その意味では、チューニングが仕上がるたびに聴き込んだ音源です。オーディオというのは不思議なもので、スペックが上がるほど、それまでBGM的に再生されていた心地よいはずの弦楽オーケストラ曲に対してことさらに牙を向けるようです。それがうまくいけば確実に寝落ちできる音源。CDフォーマットの「パッヘルベルのカノン」とともにDSDフォーマットとして今年一番再生された音源のひとつとなりました。




最後に、今年、亡くなったマリス・ヤンソンスを追悼しての一枚。

一枚だけ選べということになると、いろいろと迷ってしまいます。トップオーケストラから引っ張りだこの名指揮者だっただけにロイヤルコンセルトヘボウやバイエルン放送響など一流どころに数々のライブ盤がリリースされていて、いずれも名演となっています。最後まで迷ったのは、五嶋みどりと共演したベルリン・フィルハーモニー管とのメンデルスゾーン/ブルッフの忘れがたい名盤。ですが、このソニーの録音が今ひとつ好きになれません。結局は、昨年、マイベストでご紹介したソフトを再登場ということでご紹介します。実演で聴いて、つくづく感じたのですが、ヤンソンスとバイエルン放送響のコンビは、実に民族色を描き出すのが上手い。特にスラブ系、東欧の民族色を描かせたら絶品。もちろん、ブルックナーなど中欧正統音楽にも深みのある演奏を残していますが、あのミューザ川崎で聴いたアンコールでのドヴォルザーク「スラブ舞曲」が忘れがたい。ということで、この選択となったというわけです。

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(番外)
RHAPSODY 
  マリス・ヤンソンス指揮/バイエルン放送響/デニス・マツーエフ(ピアノ)

2015年10月、ミュンヘン ヘルクレスザールでのライブ収録。民俗風味たっぷりの「狂詩曲」5曲を、ヤンソンスが世界トップクラスのヴィルトゥオーソ・オーケストラのバイエルン放送響の熱狂を呼び覚ました熱い熱いライブ録音。こちらはPCM 48KHz/24bit。ファイル再生のチューニングで、これが一番よくかかったソフトということでもありました。


来年は、じっくりと、手持ちの音源で未聴のものの掘り起こしを中心にもっと音楽そのものに耳を傾けてみたいと思っています。その意味で、来年は、相変わらず新譜はファイル配信、あるいは、既発の発掘ということになりそうです。

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