「ヨーロッパ音楽の歴史」(金澤正剛著)読了 [読書]
『キリスト教と音楽』『古楽のすすめ』がとても面白かったので、これも読んでみました。
昨年の新刊ですので、すでに90歳近いご高齢の著者にとっての最新刊ということになります。
音楽史の俯瞰として最後に触れられているのは、1980年に作曲された武満徹の《遠い呼び声の彼方に!》となります。著者のあとがきによれば、それ以後については「歴史」とみなすには時期尚早ということ。
それだけ長大な時間を見渡すヨーロッパ音楽史ということになります。一般向けの音楽史としてはもっともまとまった通史と言えるのではないでしょうか。それだけに、もらさず網羅することが優先されているようなちょっと教科書的なところがあります。作曲者名と代表曲を羅列するだけの駆け足の記述にちょっと退屈させられます。大バッハなどであってもあっという間に通り過ぎてしまうあっけなさもあります。
時代区分など最新の研究成果も取り入れているところはありますが、前著の二冊とも内容的には重複します。そういう意味では、三冊とも読まなければならないということはあまり感じませんでした。どれか一冊を…と問われても、最新刊ということでの本書なのかどうかにちょっと迷いを感じてしまいます。
個人的には、著者の専門性が活かされた内容であり、他の西洋音楽史の類書からも独自の視点に教えられることが多くて面白かったということで、『キリスト教と音楽』を一冊として選びます。
本書は、音楽史の流れを追いながら、作曲家と代表曲の便利な字引として書棚に置いておくにはもってこいの本だと思います。
ヨーロッパ音楽の歴史
金澤 正剛 (著)
音楽之友社
昨年の新刊ですので、すでに90歳近いご高齢の著者にとっての最新刊ということになります。
音楽史の俯瞰として最後に触れられているのは、1980年に作曲された武満徹の《遠い呼び声の彼方に!》となります。著者のあとがきによれば、それ以後については「歴史」とみなすには時期尚早ということ。
それだけ長大な時間を見渡すヨーロッパ音楽史ということになります。一般向けの音楽史としてはもっともまとまった通史と言えるのではないでしょうか。それだけに、もらさず網羅することが優先されているようなちょっと教科書的なところがあります。作曲者名と代表曲を羅列するだけの駆け足の記述にちょっと退屈させられます。大バッハなどであってもあっという間に通り過ぎてしまうあっけなさもあります。
時代区分など最新の研究成果も取り入れているところはありますが、前著の二冊とも内容的には重複します。そういう意味では、三冊とも読まなければならないということはあまり感じませんでした。どれか一冊を…と問われても、最新刊ということでの本書なのかどうかにちょっと迷いを感じてしまいます。
個人的には、著者の専門性が活かされた内容であり、他の西洋音楽史の類書からも独自の視点に教えられることが多くて面白かったということで、『キリスト教と音楽』を一冊として選びます。
本書は、音楽史の流れを追いながら、作曲家と代表曲の便利な字引として書棚に置いておくにはもってこいの本だと思います。
ヨーロッパ音楽の歴史
金澤 正剛 (著)
音楽之友社
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