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ハンマー・マジック (岡山秋の音会 その3) [オーディオ]

岡山・秋の音会への遠征記の続きです。 IMG_1723_1.JPG 今回は、岡山だけではなく私にとっては久しぶりの2Hさん邸訪問です。瀬戸大橋のルートは本州四国連絡橋の中でも最短のルートですが、橋梁部は尾道・今治ルートとほぼ同じ。陸上部が短いだけにかえって豪快な眺め。 IMG_1730_1.JPG 香川県側に上陸したところで、昼食。2Hさんの案内で、さっそく評判の讃岐うどん屋さんへ。美味しかった! 2Hさんのオーディオルームは、14畳分の二間続きを合わせた大空間のオーディオ専用スペース。マジコのハイエンドスピーカーを長手方向のほぼ真ん中に据えた配置は独特の空間感覚です。機器類は、ラックを使わずすべてスピーカーの後方の平土間に展開しているというのも独特で、そういうシステムの基本は、やはり変わっていません。 まず最初は、Blu-rayによるAV再生で絢香のライブ。 IMG_1732_1.JPG はっとしたのは、ディスプレイがスピーカーよりはるか後方に置かれているのに、音の奥行き位置と映像とがまったく違和感がないことです。4年前は空間感覚があまりにも研ぎ澄まされていて、聴いていてそのテンションの高さにちょっと疲れてしまうところとか、リスポジやソフトによって音場や音像定位が極端に変わってしまうところがあったのですが、これはとてもナチュラル。音像輪郭も線ではなく前後の曲面を感じさせる自然な3D立体感です。 スピーカーは以前に比べると少しだけ前方(リスポジ側)に移動したとのこと。アンプの配置なども変更があるようです。音響パネルやフロアに敷いたモジュールマットなども無くなって、全体にシンプルになりました。電源関連も変更があったようですが詳しい説明は伺っていません。とにかくそこかしこに2Hさんの細かいこだわりがうかがい知れるのです。しかも、そういう細かい変更なのに、大幅な進境ぶりなのです。 とにかくステージ全体の奥行き感(Ensemble Depth)と個々の奥行き(Individual Depth)が半端ない。音像定位が明快で、その安定度は抜群。特に奥行きの表現が素晴らしいのです。立体感覚に無頓着なセッティングでは金魚鉢や水族館の水槽を眺めているような再生になってしまいがちで、どこかに面が生じたり屈折率の歪みようなものがあるのですが、2Hさんは部屋ごと音楽会場にワープしたかのような空間共有感があります。 その意味で、このソフトは2Hさんの独壇場という感じでした。 IMG_1746_1.JPG 雷鳴には、ほんとうにドキリとさせられました。2chのピュアオーディオにもかかわらずサラウンド・パンニングでは、ほぼ円を描きます。さすがに真後ろでは頭に近めの後ろを横に移動する感覚になりますが、これは5.1chのサラウンドでも傾向は同じだと思います。 それが、ゴムプラスチック・ハンマーでスピーカー・ベースをコツンと一撃すると、なんと音像や空間がバラバラと崩れてしまいます。これにはびっくり仰天しました。スピーカーセッティングは、まさにコンマ1ミリのフォーカス。自分のシステムも含めて、数々の平行法セッティングを体験していますが、ここまで繊細なものは初めての体験でした。ほんの少し戻すとほぼ元に戻りますが、直前までの立体フォーカスまでに戻すにはかなり時間をかけて調整する必要がありそうです。まさにマジック。とにかく驚きました。 音色や質感の向上にも目を瞠るものがありました。 Karajan.jpg カラヤンの第九リハーサルをかける2Hさん。第四楽章では、カラヤンは楽章初めの低音弦パートを執拗に繰り返させて、音の強弱やアウフタクト、アクセント、音の区切りなど、こと細かに指示を出します。その度にみるみる音楽に生気を帯びていく。2Hさんは、本番よりもこのリハーサルの方が低音の量感や質感がよく捉えられているというのです。それは、自分のシステムの低音に自信を得たからだということなのでしょうね。 helicatsさんが、この日に持ち回ってかけたハイレゾ音源。 Izutsu Kanae.jpg 残念ながら、唯一、ディスク派の2Hさん宅ではうまくセッティングができませんでした。でもCDなら持ってますよということで再生してみましたが、helicatsさんはハイレゾ再生に未練が残ったようです。面白かったのは、ハイレゾでは2曲(カナリア~500マイル)が1トラックでつながっているのに、CDでは別トラックになっていること。それで最初は、ちょっと混乱。こんなこともあるのですね。 helicatsさんのお目当ては、「500マイル」冒頭のベースのアルコ。ほんの10秒程度のところ(笑)。でもこの新譜は、井筒香奈江のボーカリズムの原点回帰みたいなところもあってなかなかの録音。このほか、スイートサウンドさんご紹介の森恵、とりさんのUruなど、さすが女性ボーカル・フリークの岡山・音会の面々らしいソフトに耳を奪われました。 モノクローム (Special Edition).jpg Uruは、かなり録音レベルが高くて音量設定に戸惑うところがありましたが、音会の皆さんのサウンドをお聴かせいただいた後で自宅で聴いてみると、拙宅システムでのこれらのソフトの再生にはちょっときつさも感じる部分もあって、まだまだだなぁと痛感させられました。 最後に、例の余興です。 IMG_1738trm_1.jpg 2Hさんは、実はEDさんと同じアイソレーショントランスをお使いです。このトランスは、Soulnoteのパワーアンプ(デジタル(PWM)パワーアンプ)だけに使っています。そこで、スイートサウンドさん持参のノイズカットトランスはCDプレーヤー(Esoteric K-01)につないで、ここだけでの有無の比較となりました。 直列カスケードほどではなく違いはわずかですが、ほぼ同じ傾向だと感じました。 Uru.jpg Uruでは特にわかりやすかったかもしれません。《有り》だと、音像が引き締まり、“よりオーディオ的になる”印象があります。一瞬、お?いいかも!とも思いますが、《無し》に戻すとと、ボーカルにわずかにピッチを変えた音声がかすかに重ねられていることがわかったり、エコーがよく聞こえるなど音楽的な情報量が多いことが感知できます。 帰りは、丸亀駅まで送っていただき、JRで帰宅の途につきました。 IMG_1767_1.JPG 初めて鉄道で渡る瀬戸大橋から観る夕景が素晴らしかった。車内は立ち客が出るほどの混雑でした。 音会の皆さん、2日間、楽しくも充実したオーディオ旅でした。大変お世話になり、ありがとうございました。 (終わり)

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