SSブログ

あの素晴らしい愛をもう一度 (ニッキー邸訪問記) [オーディオ]

ニッキーさんのお宅を訪問するのはまる2年ぶり。コロナ禍で完全に断絶されてしまいました。新規感染者数が減少している今の機会にと足を運びました。今回もいたちょうさんとご一緒です。

1L.jpg

前回は、テクニクスのSL-1000RとモニターオーディオのスピーカーPL-300Ⅱのお披露目でした。今回の目玉は何と言っても、SoulnoteのプリアンプP-3とCDプレーヤーS-3の導入。すでに導入されていたフォノイコライザーアンプE-2とともに、Soulnoteのハイエンド機がずらりと並ぶラックは壮観です。

さっそくお披露目試聴です。

Folder.jpg

いたちょうさんが、次々と女性ボーカルを中心にかけていきます。「う~ん、やっぱりこれはいい録音だなぁ」と唸っておられます。その後ろで聴いていた私は少々心おだやかではありません。実は、このCD、我が家では気持ちよく滑らかに鳴ってくれないのでヤキモキしていたからです。インストルメントのキレとボーカルの滑らかさがほどよくバランスしている。そこがうらやましい。

私のリファレンスであるパッヘルベルのカノン。

Orpheus Albinoni Adagio.jpg

一聴して…びっくりするやら、嬉しいやら。三声部のカノンがホールトーンの響きとよく融合しながら左、中央、右と気持ちよく定位します。右手の通奏低音のバスも品良く響く。押し過ぎず、痩せず、ふっくらと柔らかく、しかも存在感のある低音。左右の定位感とふわっと拡がるアコースティックの心地よさ。一発でここまで鳴らしている方はなかなかいないでしょう。

IMG_1831_1.JPG

一見したところでは、スピーカーの風景は変わっていませんが、あえて問い詰めてみるとスピーカーのセッティングはずいぶんと細かく弄ったとのこと。そうでしょうねぇ、この完成度はなかなかのもので、機器の入れ換えだけでは一朝一夕に実現できるものではないと思いました。

こうなると、ベルウッドのレファレンス・シリーズが始まってしまいます。

幸田浩子カリヨン.jpg

こちらもボーカルが奥に引っ込んでしまいがちですが、気持ちよく前へ出てくる。取り囲むようなストリングオーケストラの響きや音色もとても品位が高い。関所のひとつである、バスのピッチカートもとてもバランス良く響きます。チェロとバスのメロディラインの分離もよく質感もリアル。こういう低域の品位の高さは、もしかしてモニターオーディオとの相性抜群ということなのかもしれません。

改めて見渡してみると、セッティングはとてもさっぱりとなりました。

なるほど、ご本人が豪語するだけあって、その“シンプル・イズ・ベスト”はかなり徹底しています。すぐに目につくのは音響パネルが無くなっていること。確かあのパネルは一戸建て時代からあったはずですから、それを一掃してしまったのはちょっとした事件です。

ある程度予測していたのは、アイソレーショントランスの撤廃。

というのも、Soulnoteは電源が半端ない。プリアンプといってもP-3では左右独立のトロイダルトランス2台など総計600VAだし、フォノアンプのE-2でさえ400VA。MRIなどの医療機器の開発に携わったというベテランオーディオマニアの話しを人づてに聞いたところでは、アイソレーショントランスは、オーディオ機器内蔵のトランス容量の8倍ぐらいなければデメリットが大きいのだとか。ニッキーさんが、たかだか0.2KVAのトランスではお門違いだと見切ったのはとても理に適っています。

他にもいろいろあるようですが、とにかく機器のポテンシャルが各段に上がると、こういうアクセサリーの徹底した再吟味も必要です。無い方がよいというものが次から次へと出てくるのは、まさに機器のポテンシャルの高さの証しだともいえます。

アナログLPも聴かせていただきました。

前回までは、必ずしもプレーヤーやフォノアンプなどの入れ換えの成果を感じにくいところがあったのですが、今回は様相一変。リベンジ成就です。やはりプリアンプを入れ換えた成果ではないでしょうか。

印象的だったのは、SL-1200G+AUDIO-TECHNICA VM750SH。VM型ってこんなに音が良かったっけと感服してしまいました。失礼ながら、これがメインで十分なのではないでしょうか。音質も、聞き耳を立てればわずかにナローですが、バランスはとてもよい。トレースもとても安定している。

メインのSL-1000R+AT-ART9のほうに戻し、ちょっとだけ針圧を微調整。そういうこともダブルシステムの競い合わせのメリットだと思います。これでクラシック系もじっくりと聴かせていただきました。


またまた、参りました。

Tchaikovsky Ballet Suites02_1.jpg

我が家ではいまいちと感じていたディスクです。デジタルリマスターのCDの方がずっと良い音だと感じてきた録音です。かけていただくと、またまた、こんなに良い音だったけ?とタジタジ。後日、我が家で聴き直してほっとはしましたが、一聴したときには、過去のイメージを一新させるような再生だとさえ感じたのです。

実は、このディスクを持参したのは、もしかするとEQカーブが違うのかもしれないと思っていたからです。E-2なら、EQカーブの違いを試してみることができます。

このディスクは、DECCAですが西ドイツ・プレス盤。中古レコード店でみつけて喜び勇んで買ったものでしたが、あるベテラン氏に、同じオリジナルのデッカでも西ドイツデッカは音が悪いとくさされて、がっくり。確かに、ちょっと音がぼけています。録音年代からすればEQカーブはRIAAのはずですが、もしかしたらffrrかもしれないと思っていたものです。

IMG_1820_1_decca.jpg

E-2には、各レーベルの年代別のカーブ一覧が取説の別冊としてついているそうで、見せてもらうと…、CCIRの可能性があるようです。CCIRは、テープ録音の規格で米国のNABに対応する欧州規格としてよく耳にしますがレコードのEQカーブにもあったのでしょうか。そんなこともあるとは知りませんでした。それにしても、この一覧表の詳しさには感服しました。

IMG_1823_1.JPG

いざ、聴いてみると…

確かに、CCIRにするとRIAAでは地味だった音調がぐっとハイファイ調になります。ただ、CDを聴き慣れた耳には若干ハイ上がりにも聞こえます。ディスクには、“Telefunken-Decca”ともあるのでTelefunkenも試してみましたが、こちらはかなりドンシャリになりました。こういう旧EQカーブと現代標準カーブと即座に切り換え可能。面白い体験で、やはりE-2にはそういう楽しさがあります。

ここまでSoulnoteでそろえると、パワーアンプが気になってきます。「どう思いますか?」と聞かれたので、「正直言ってここまでの音がするとは思わなかった。このままでもいいんじゃない?」と率直に申し上げました。音はブランドの見てくれとは違うのです。

IMG_1826_1masked.jpg

実は、ONKYO M-5000Rは、以前のバイアンプ接続ではなくてBTL接続に変更しているとのこと。それもアンバランスを内部回路で位相反転させるとかの「なんちゃってBTL」ではなくて、P-3の純正バランス出力からそのままXLRで接続してのBTL。つまり、プレーヤーからプリ~パワー~スピーカーまで全段ディファレンシャル伝送増幅が実現している。さすが、硬派ONKYOの最後を飾るパワーアンプ。だからこれだけのクォリティだったのかと改めて見直した次第。ニッキーさんのソウルノウト魂も筋金入りだし、オンキヨー教も決して転んでいるわけではない。

何にしても目出度い。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。