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前田侯爵邸 [旅日記]

東京・駒場の前田侯爵邸を見学しました。

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この洋館は、旧加賀藩前田家16代当主・前田利為侯爵一家の住居として使われていました。

加賀藩の江戸上屋敷は、今の東京大学本郷にありましたが明治維新後にほとんどが政府に収公され官有地となりました。ところが収公後も前田家はそのまま東大の校地に隣接する本郷弥生町(向ヶ丘 )に広大な敷地と邸宅を構えていたのです。

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駒場に移転したのは、関東大震災の復興整理でした。東大は、そのまま本郷地区の整備拡張の途を選び、前田家の敷地と駒場にあった農学部農地と交換することになります。それがこの駒場の前田邸であり、一方が本郷弥生地区の現・農学部ということになります。

なお、今の東大駒場は旧制一高にあたりますが、これも1935年に農学部の残りの土地との交換の形で駒場に移転したもの。

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旧前田家本邸は、昭和4年に竣工。高祖前田利家以来の武人としての家格にならい利為は軍人としてのキャリアを踏むことになりますが、同時に駐英武官なども歴任した開明派で外国賓客をこの本邸や和館で大いにもてなしました。陸士同期には東条英機がいますが、利為は東条のことを「頭が悪く、先の見えない男」と批評し、東条が首相になってからは「宰相の器ではない。あれでは国を滅ぼす」と危ぶんでいたといいます。対して東條のほうは利為を「世間知らずのお殿様」と揶揄していたのだとか。

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そういう利為の人柄を反映するように、邸宅内の造りは英国の貴族の館風で意外に質実で飾り気はあまりないのですが、実に大きく堂々としていて圧倒されます。さすが大大名の家柄。明治期に財を成した御用商人や実業家たちの邸とは違うと実感しました。
タグ:東京の洋館
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