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上野のさくら [コンサート]

上野に足を運んだお目当ては、国立西洋美術館でのミュージアム・コンサート。

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太田さんは笑顔の素敵な女性で、リコーダーでは日本の第一人者のひとりといってよいでしょう。私にとっては3年前の栃木市での「蔵の街音楽祭」以来です。浅井愛さんとのデュオ、あるいは戸崎廣乃さんのチェンバロとの3人のジョイントリサイタル。

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ファン・エイクの「笛の楽園」は、リコーダーのソロやデュオの曲集です。17世紀当時に流行った流行歌や賛美歌などのメロディとその変奏曲からなっています。そこからの幾つかの曲を縦軸に、もとになった同じメロディの別のバージョンを、チェンバロのソロや3人でのアンサンブルで紡いでいきます。

例えば、最初の「この美しい人魚が」を太田さんのソロで吹かれた後、そのまま、G.G.ガストルディによる同じ曲が3人のアンサンブルで演奏されるという風に。ソロの素朴な味わいの音色のメロディと技巧を凝らした変奏、アンサンブルの美しく溶け合ったハーモニーへと、そのあでやかなコントラストに心奪われます。

特に、「美しい羊飼いの娘フィリス」の別バージョンであるシャンシー「虚しく私の身を隠し」には胸がきゅんとしてちょっと涙が出ました。3・11以来、ちょっと涙もろくなっているのかもしれません。

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チェンバロは、ブロンシェモデルといわれるフレンチタイプのレプリカ。当時、流行ったシノワズリー(中国趣味)にならった蒔絵装飾が美しい。デザインのもとにしたのは個人所蔵の屏風絵だそうです。

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製作者は安達正浩さんという方でこの日の調律も兼ねていました。

演奏の前に、上席キュレーターの幸福輝さんから、レンブラントのレクチャーがありました。

もちろん、コンサートの後は、レンブラント鑑賞。同じ版画のステートの違いや、17世紀にオランダ船で日本から運ばれた『和紙』を使った刷り上がりの深みのある味わいなどなど、を満喫しました。

一枚で二度おいしい、というチケットでした。
(ただし、常設展は節電で閉鎖。閉館は16時です。)

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3・11以来、心が鬱ぐことも多かったのですが、音楽と美術、そして清らかに晴れた青空の下に満開の桜で、とても気持が安らぎました。





ミュージアム・コンサート
「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」記念コンサート
vol.2 ファン・エイクの《笛の楽園》~リコーダー三昧

4.5 [火] 14:00

■出演
リコーダー:太田光子、浅井 愛
チェンバロ:戸﨑廣乃

■曲目
ヤコブ・ファン・エイク:《笛の楽園》より
「この美しい人魚が」
  G.G.ガストルディ:「この美しい人魚が」
「イギリスのナイチンゲール」
  作者不詳《エリザベス・ロジャース・ヴァージナル・ブック》より「ナイチンゲール」
「美しい羊飼の娘フィリス」
  F.de.シャンシー:エール・ド・クール「虚しく私の身を隠し」
「道化師」
「麗しのアマリッリ」
  P.フィリップス:「麗しのアマリッリ」
「詩篇134篇」
「ロベルト殿下のマスク」
  J.プレイフォード:「ルパート殿下のマーチ」
「モア・パラティーノ」
  J.P.スヴェーリング「モア・パラティーノ」
  作者不詳:エール・ド・クール「私が戻っている間に」


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