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ブラス!  (アジアン・コネクション~金管五重奏) [コンサート]

金管楽器奏者というのは、ネアカで前向きな性格だと相場が決まっています。

なおかつ、失敗を怖れない思い切りの良いギャンブラーみたいなところがあります。そういう前向きな性格も現下の状況にちょっと元気が足りなかったかなという印象でした。

日経ホールで定期的に開催されている“日経ミューズサロン”。

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会場の日経ホールというのは、東京都心の大手町にある日本経済新聞社東京本社のビル(日経ビル)の3~5階にある多目的ホール。

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ちなみにこの日経ビルは、JAビル、経団連会館ビルに隣接している。もともとは大手町合同庁舎があった場所で、国有地が払い下げられ都市再生機構の施行による区画整理事業により10年ほど前に再開発され、近隣にあった上記の3団体の社屋が移設・新築されたもの。隣接しているといっても、外見はひとつの高層ビルとしかみえず、実際のところは内部の通路やエスカレーターもつながっていていささかややこしい。

610席ほどのコンサートホールとしては中規模のホールですが、総会や講演会などの会場となる多機能ホールなのでかなり広く感じます。大講義室のように一直線の座席が列を成すように並び、各座席には収納型のテーブルや手元ライトもありますが、もちろんコンサートでは使えません。

ホールの側壁は、木の柱が林立して森の木立のよう。ライトアップで木々の梢から漏れる陽光のような意匠になっています。オーディオ好きならどこかで見かけたようなデザインですが、実際、このホールでも壁面の一次反射を抑えるようになっているようです。ステージからの直接音が聞きやすく、そのことは講演会などには向いていますが、音楽ホールとしては残響が乏しく功罪は相半ばするようです。

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アジアン・コネクションは、NYを拠点に活躍したヒロ・ノグチの呼びかけで、読響や日フィル、大フィルなど日本を代表するオーケストラのメンバーで結成されたブラス・クィンテット。

プログラムは、バロックからコンテンポラリー、あるいはミュージカル・ナンバーまで多種多様。金管楽器の魅力いっぱいの楽しいものでした。

編成は、金管五重奏としてはオーソドックスな、トランペット2、ホルン、トロンボーン、チューバという編成。二人のトランペットは、途中でフリューゲルホーンに持ち替えてその音色の違いも楽しませてくれました。アクロバチックなホルンの技法や、信じられないほどの運動量のチューバなど、ふだんのオーケストラでは聴けない技巧の高さも満載です。

ちょっと残念だったのは、客席がかなり空いていたこと。昼の部だったせいと、感染症対策ということもあったのでしょう。前列に集中し、後方は中央もほとんど空席。そのことで、ただでさえ反射残響効果の乏しいこのホールと金管アンサンブルの相性の悪さが目立ってしまいました。

ウェスト・サイドストーリーは、「ロミオとジュリエット」の翻案で原作と同じくとても悲しい結末となります。プログラム最後の一節となった「サムホエア」は、主人公のマリアが恋人トニーが自分の兄を殺したと知って打ちひしがれマリア像に祈っていると、そのトニーが現れるというシーンで歌われます。悲劇に引き裂かれた二人が「どこかに僕たちの居場所があるはず」と歌われます。この一節は、最後にトニーがマリアの腕の中で息を引き取る場面でも息絶え絶えと歌われます。プログラム最後の曲としてはちょっと寂し過ぎました。

ただでさえ拍手のタイミングが難しい曲が続いていましたので、最後の曲としては、もう少しアレンジや曲順などに工夫があってもよかったのかなと思いました。リーダーのノグチさんは、数多くのミュージカルのアンサンブルやスタジオミュージシャン、ビッグバンド等でも活躍しているとか。こんなご時世だけに、ブラスアンサンブルらしく大きなホールをもっと大胆に立体的に使い、プログラムもミュージカルやスタンダードでもっと遠慮なく盛り上げてもらってもよかったのになぁというのが最後の感想です。




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第505回日経ミューズサロン
アジアン・コネクション(金管五重奏)

2021年1月21日(木)15:00~演
東京・大手町 日経ホール
(H列4番)


アジアン・コネクション (金管五重奏団)
ヒロ・ノグチ(トランペット)
オッタビアーノ・クリストーフォリ(トランペット)
高橋将純(ホルン)
葛西修平(トロンボーン)
次田心平(テューバ)

作者不詳/ソナタ(大道芸人の歌より)
J.S.バッハ/コントラプンクトゥス 第1番、第4番(フーガの技法BWV.1080より)
エヴァルド/金管五重奏曲 第2番
レンウィック:ダンス

ドビュッシー/サラバンド(ピアノのためにより)
バード/主よ怒りたもうことなく
バーンスタイン(ゲイル編曲):ウエスト・サイド・ストーリー

(アンコール)
L.ポラック:ザッツ・ア・プレンティ
タグ:金管五重奏
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