バベルの恩寵 (M1おんちゃんさん本宅訪問記 仙台オーディオ探訪 その3) [オーディオ]
仙台オーディオ探訪の旅。ウェルデルタ導入の成果に驚喜されたM1おんちゃんさんが、さらに検討されているのは…というお話の続きです。
それは、ウェルフロートの最新のバベル。
M1さんは、その貸出しを受けたので、実際にすでに導入されているHarubaruさんのアドバイスをいただきながら、私、さらに同好のEさんも交えて四人で聴き較べをしてみようというのが、今回のメインイベントなのです。
Harubaruさんのアドバイスで、最も効果がありそうな外部クロックとCDP本体をバベルの上に置くことで比較することにしました。バベルは一台しかないので両方に挿入するというわけにはいきませんが、それでも4通りの比較となります。さらに、私の提案で、外部クロック無し(内部クロック)での試聴も加えてもらいました。
ソフトは、結局、私も聴き慣れたこれ。Harubaru邸でも果てしなく繰り返したことがあるおなじみのCDです。ボーカルやストリングスもあり、ベースのピッツィカートもあって皆さんにも聴きやすいソフトです。
このソフトの、比較試聴のチェックポイントについては、以前にHarubaruさんのところでのオフ会日記に書いたことがあります。そちらからそのまま引用します。
↓
①(00:01~)弦楽オーケストラの立体感、チェロ序奏とコントラバスの定位
②(00:37~)ボーカルの定位・前後の立ち位置
③(01:14~)コントラバスのピッチカートの響き
④(01:50~)バックの弦楽オーケストラの各パートの分離、折り重なる音色と響き
⑤(02:28~)ボーカルの高音フォルテの声色、透明感、抜けや伸び(そのⅠ)
⑥(03:00~)弦楽オーケストラのヴァイオリンパートの音艶、響き、各パートの分離
⑦(04:18~)ボーカルの高音フォルテの声色、透明感、抜けや伸び(そのⅡ)
さて…
(以下は私の個人的な印象です。)
(1)外部クロック
(2)内部クロック(外部クロックを外す)
(1)と(2)の対決ですが、これは面白いことになりました。(2)内部クロックのほうが、わずかながらですが良いと感じるのです。よりナチュラルで定位も少々ほぐれてきて好ましい。外部クロックが必ずしも良いとは限らないのです。
(3)内部クロック(本体+バベル)
さらに良くなりました。高弦が落ち着き、ボーカルの透明感が増します。やはりバベルの効果は顕著に現れます。
(4)外部クロック(本体+バベル)
これには驚かされました。外部クロックの効果がここで現れました。つまり、(4)は単に(3)に外部クロックをつなぎ切り換えただけなのですが、特にボーカルの透明感が増してきたのです。幸田さんの伸びやかなソプラノが心地よい。弦楽オーケストラの定位がさらにほぐれてきてアンサンブルの中の個々の楽器の美しい線も見えてきます。
(5)外部クロック(外部クロック+バベル)
ここでバベルを本体から、外部クロックの下に敷きました。もともと外部クロックはフロアにベタ置きでした。この変更はとても大きかった。間違いなくこれがベスト。ボーカルの高音フォルテのところにどうしてもつきまとっていたビビリ、いきりのようなところが顕著に減じてきました。
もっと驚いたのは、弦楽器群の各パートの定位や存在感。特に序奏部でのチェロとコントラバスが中央にべったりと凝集してしまっていたのが(5)になって劇的に是正されました。以前は、こういう定位や空間表現はもっぱらスピーカーのセッティング(焦点合わせ)だと思っていました。いわゆる“トントン”です。しかし上流の対策によっても変わります。今回もスピーカーには一切手を触れていません。
結論を言えば、バベルはクロックに最も顕著な効果がある、ということです。比較したケースでは、外部クロックにバベルを入れるのがベスト。当初の比較では外部クロックそのものの効果にかなり疑問符がつきました。つまりは、外部クロックは万全の振動対策をしてこそ初めて本領を発揮するということです。
これだけ改善すると、聞こえているサウンドの世界が変わってきます。
当然、まだまだバベルをどこにどのようにセッティングするかは、今後も引き続き検討されるでしょうし、複数導入することもあり得るわけですし、ラック内部などスペースが限られる場所では、ウェルフロートボードの追加などもあり得るわけです。そういう検討のステージでも聞こえているクォリティが上がると、今までになかった気づきもあり、耳の感応度も上がり、問題箇所の発見も容易になっていくのだと思います。
すぐに気づくこととしては、スピーカーのウェルデルタの底部にフェルトを貼ること。AVとの入れ替えなどには床も傷つけないし、とにかく音のクウォリティがさらに上がります。バベルで持ち上がる場合、エソテリックの脚(ピンポイント脚)の受け側になるフットスタンドが宙に浮いた状態になり振動するので、フットスタンドを全て外してしまうことなどです。
M1さんは、リスニングルームを大幅に改修されることを考えておられるとか。どのような構想をお持ちなのかお聞きしませんでしたが、とにかくバベルでレベルアップされた聞こえ方で、様々な気づきとアイデアが浮かぶと思います。オーディオはよく泥沼などと言われますが、そういうスパイラルアップがあるから、これまた楽しいのです。
その後、場所を変えてのバベル実験は続きます。M1さんは、蔵王のほうに別荘をお持ちで、そちらでもまた違ったステレオセットを複数お持ちなのです。長くなりましたので、そのお話は、また、続編ということで。
(続く)
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