やっぱり真ちゅうがいい (アルゲリッチのト長調コンチェルト) [オーディオ]
やっぱりアナログは真ちゅうがいいですね。
ステンレスの高域の伸びとか溌剌としたエネルギー感の魅力も捨てがたいと思っていたのですが、ずっと聴き込んでいると、どうも高域が元気過ぎる…というか目立ちすぎて帯域バランスが少し不自然です。
思い切って、スレンレスを真ちゅうに換えてみました。
問題はスピーカーのサテライトアースなのですが、何しろ、マルチウェイでアンプ直結のユニットが4つ、そのひとつずつに、たわし8個が入ったサテライトアースをつけているので32個の真ちゅうたわしが必要です。スレンレスと真ちゅうをミックスするハイブリッドもうまくいきませんでしたので、総入れ替えということになります。いくら、たわしが消耗品とはいえ、いっぺんにこれだけの数を買う人はあまりいないでしょう。
私が使用しているのは、ホームセンターの自社ブランド品。
このお店(ビバホーム)、なぜか我が家の周辺にはたくさんあって、車で20分程度の範囲に3店舗もあります。さすがに32個ともなると、2日がかりで3店舗全部回って買い集めました。各店、棚はからっぽになりました(笑)。
さて、入れ換えてみると…
ピンポ~ンでした。
やはり高域のクセ(ハイ上がり?)は、ステンレスのせいでした。真ちゅうに換えるとほとんど収まりバランスがよくなったのです。システムやソースによっては、それがエネルギー感としてプラスに感じることもあるのですが、クラシックではやや過剰に感じてしまう。そういう点で、真ちゅうには中庸の良さがあります。
これで、もう一度、アルゲリッチのラベル・ピアノ協奏曲の新旧を聴き較べてみました。
旧盤は、「アルゲリッチとポリーニ」(本間ひろむ)のベスト20にも上げられていたもの。1967年の録音でもちろんアナログ録音です。
一方、新盤というのは同じアバドと組んだ1984年録音。
先ずは、アナログ時代の古い録音の優秀さにのけぞってしまいます。これこそが、金属たわしアースの真骨頂。これが60年代の録音ということが信じられないほど。アバドが30歳台前半、アルゲリッチに至ってはまだ20代でした。そういう若さがはちきれんばかりの演奏。この時代、ラベルのこの曲はまだまだ現代音楽の部類に属していて、テクニックもスタイルもキンキンに尖った曲に響いていました。それを若い二人が演奏するのですから、もうそれだけでも鮮度感あふれる超優秀録音盤でした。
一方の新盤も、旧盤に続けてかけてみると、これまたその録音の良さにのけぞってしまいます。デジタル初期の録音ですが、その当時、どんな評価を受けていたのでしょうか。これだけの音が入っていたとは、これもまた驚きです。
ここまで来ると、アナログとデジタルというフォーマットの違いはほとんど意識することはありません。
違いはもちろんあるのですが、それはフォーマットの違いというよりは録音技法の違いというべきもの。旧盤はマルチマイク時代のものですから、音の奥行きは不足気味で、木管のソロは明らかに人為的にクローズアップされていて、距離感がやや不自然。録音エンジニアがピアノを弾くようにフェーダーを自在に繰るシーンが目に浮かぶようです。一方で、新盤は音場の立体感が素晴らしい。冒頭のムチなどの打楽器や管楽器の余韻や残響にはやや人工的なところもありますが、音場感の演出として申し分ない。
演奏そのものは、やはり、旧盤の方が鮮烈。あの頃の古い記憶がそうさせている部分もあるのでしょうが、二人の若さに煽られて聴いている方も自分自身が新しい挑戦をしているかのような気分で胸がわくわくしてきます。新しい時代の到来を告げたという点で、やはり、歴史的名盤ということなんだと思います。
実際、新旧の演奏時間を比較すると、第1楽章では、がぜん旧盤のほうが速い。凄まじいほどに尖っています。若さ…とはそういうものなのでしょう。そこに感動を覚えます。
旧盤
I. 8:00
II. 8:55
III. 3:56
新盤
I. 8:38
II. 9:31
III. 3:51
第2楽章もテンポの違いは同じで、新盤の方がねっとりと遅い。濃密なリリシズムと熟女の体臭が匂いたつようです。その点、旧盤は複リズム的な巧妙さが粒立っている一方で、今ひとつ融和性に不足すると感じさせるのは、これまた若さなのではないでしょうか。
かなり違うと感じるのはオーケストラで、旧盤にはラテン的な活気と洒脱さが不足していて、アゴーギグも生真面目。いかにも現代音楽を演奏しているというような生硬さがあります。オーケストラの技量の差とか、ベルリンとロンドンの風土気質の違いというよりは、17年の歳月がもたらした時代の差なのだと思います。それだけに新盤の方に、演奏解釈の成熟度、深みという点で一日の長があります。
さて…
アナログがいいとか、デジタルが優れているとか、そういう上下を競うようなことは、どうでもよいと思えるようになってきます。
金属たわしアースの効果が冴えてくると、むしろ、互いにその良さを認め合って、双方が歩み寄るような感覚がわいてきます。アナログは音に厚みとふくよかさがあってイイですね、それならデジタルも頑張ってその良さを出してみせます。デジタルは広帯域で、音がクリア、鮮度が高いですね。いいや、アナログだって頑張ればその良さは出せますよ…という風に
ステンレスの高域の伸びとか溌剌としたエネルギー感の魅力も捨てがたいと思っていたのですが、ずっと聴き込んでいると、どうも高域が元気過ぎる…というか目立ちすぎて帯域バランスが少し不自然です。
思い切って、スレンレスを真ちゅうに換えてみました。
問題はスピーカーのサテライトアースなのですが、何しろ、マルチウェイでアンプ直結のユニットが4つ、そのひとつずつに、たわし8個が入ったサテライトアースをつけているので32個の真ちゅうたわしが必要です。スレンレスと真ちゅうをミックスするハイブリッドもうまくいきませんでしたので、総入れ替えということになります。いくら、たわしが消耗品とはいえ、いっぺんにこれだけの数を買う人はあまりいないでしょう。
私が使用しているのは、ホームセンターの自社ブランド品。
このお店(ビバホーム)、なぜか我が家の周辺にはたくさんあって、車で20分程度の範囲に3店舗もあります。さすがに32個ともなると、2日がかりで3店舗全部回って買い集めました。各店、棚はからっぽになりました(笑)。
さて、入れ換えてみると…
ピンポ~ンでした。
やはり高域のクセ(ハイ上がり?)は、ステンレスのせいでした。真ちゅうに換えるとほとんど収まりバランスがよくなったのです。システムやソースによっては、それがエネルギー感としてプラスに感じることもあるのですが、クラシックではやや過剰に感じてしまう。そういう点で、真ちゅうには中庸の良さがあります。
これで、もう一度、アルゲリッチのラベル・ピアノ協奏曲の新旧を聴き較べてみました。
旧盤は、「アルゲリッチとポリーニ」(本間ひろむ)のベスト20にも上げられていたもの。1967年の録音でもちろんアナログ録音です。
一方、新盤というのは同じアバドと組んだ1984年録音。
先ずは、アナログ時代の古い録音の優秀さにのけぞってしまいます。これこそが、金属たわしアースの真骨頂。これが60年代の録音ということが信じられないほど。アバドが30歳台前半、アルゲリッチに至ってはまだ20代でした。そういう若さがはちきれんばかりの演奏。この時代、ラベルのこの曲はまだまだ現代音楽の部類に属していて、テクニックもスタイルもキンキンに尖った曲に響いていました。それを若い二人が演奏するのですから、もうそれだけでも鮮度感あふれる超優秀録音盤でした。
一方の新盤も、旧盤に続けてかけてみると、これまたその録音の良さにのけぞってしまいます。デジタル初期の録音ですが、その当時、どんな評価を受けていたのでしょうか。これだけの音が入っていたとは、これもまた驚きです。
ここまで来ると、アナログとデジタルというフォーマットの違いはほとんど意識することはありません。
違いはもちろんあるのですが、それはフォーマットの違いというよりは録音技法の違いというべきもの。旧盤はマルチマイク時代のものですから、音の奥行きは不足気味で、木管のソロは明らかに人為的にクローズアップされていて、距離感がやや不自然。録音エンジニアがピアノを弾くようにフェーダーを自在に繰るシーンが目に浮かぶようです。一方で、新盤は音場の立体感が素晴らしい。冒頭のムチなどの打楽器や管楽器の余韻や残響にはやや人工的なところもありますが、音場感の演出として申し分ない。
演奏そのものは、やはり、旧盤の方が鮮烈。あの頃の古い記憶がそうさせている部分もあるのでしょうが、二人の若さに煽られて聴いている方も自分自身が新しい挑戦をしているかのような気分で胸がわくわくしてきます。新しい時代の到来を告げたという点で、やはり、歴史的名盤ということなんだと思います。
実際、新旧の演奏時間を比較すると、第1楽章では、がぜん旧盤のほうが速い。凄まじいほどに尖っています。若さ…とはそういうものなのでしょう。そこに感動を覚えます。
旧盤
I. 8:00
II. 8:55
III. 3:56
新盤
I. 8:38
II. 9:31
III. 3:51
第2楽章もテンポの違いは同じで、新盤の方がねっとりと遅い。濃密なリリシズムと熟女の体臭が匂いたつようです。その点、旧盤は複リズム的な巧妙さが粒立っている一方で、今ひとつ融和性に不足すると感じさせるのは、これまた若さなのではないでしょうか。
かなり違うと感じるのはオーケストラで、旧盤にはラテン的な活気と洒脱さが不足していて、アゴーギグも生真面目。いかにも現代音楽を演奏しているというような生硬さがあります。オーケストラの技量の差とか、ベルリンとロンドンの風土気質の違いというよりは、17年の歳月がもたらした時代の差なのだと思います。それだけに新盤の方に、演奏解釈の成熟度、深みという点で一日の長があります。
さて…
アナログがいいとか、デジタルが優れているとか、そういう上下を競うようなことは、どうでもよいと思えるようになってきます。
金属たわしアースの効果が冴えてくると、むしろ、互いにその良さを認め合って、双方が歩み寄るような感覚がわいてきます。アナログは音に厚みとふくよかさがあってイイですね、それならデジタルも頑張ってその良さを出してみせます。デジタルは広帯域で、音がクリア、鮮度が高いですね。いいや、アナログだって頑張ればその良さは出せますよ…という風に
2020-04-22 00:00
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