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GND(グラウンド)アンカーという考え方 [オーディオ]

SOULENOTEの開発者・加藤秀樹が、新しくリリースされたプリアンプP-3についていろいろと説明されています。その中で、P-3の高音質のウリのひとつとして《GND分離》の話しをされています。

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筐体がひとつの製品は、必ずGNDをシャーシに接地する必要があるために、必ず1箇所でGND(FGND)されています。このことは「完全ツインモノ構成」とか、電源左右独立とかをうたっている製品であっても筐体がひとつである以上は同じです。

回路をグラウンドから浮かすと、出力に必ずハムがのります。回路は、必ずグラウンドすることが必要です。P-3は、左右chのみならずコントロール用のマイコン系も含めて3つの回路のグラウンドを完全に分離しているというのです。

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いったいどうやって分離しているのかというと、P-3は、3つの金属ケースに分かれていて、それぞれがファインセラミック製のスペーサーで電気的に分離されているのです。この金属ケースに、Lch、Rch、マイコン系の3つが搭載されている。ケースといっても箱ではなく、左右前後のアルミパネルのことで、これらが独立したグラウンドを形成している。いわば、かなりの質量を持った金属塊でできた電子容量の大きな仮想アースともいうべきものなのです。

一般論としてオーディオ機器は、金属ケースでできていて、その中に電気回路が納められています。電気回路には電圧の基準となるGND(シグナルグラウンド/SGND)があって、最終的にはこのSGNDラインが金属製の箱(シャーシ)に接続されます。これがフレームグラウンド(FGND)というものです。

SGNDとひと言で言いますが、内実は、プリントパターンや配線材にはインピーダンスやインダクタンスが存在するために、厳密には電位は同じではありません。しかもグラウンドと言っても、このラインは決して一方通行ではなく交流信号の戻り道にもなります。静電容量や電磁波磁束により飛びついたり、一定の時定数を持って結合したりすることもあるわけです。どのようにパーツを配置しパターンを描くかによってノイズや音質に大きな影響を与えます。

しかも、回路といっても、入力端子、デジタル系回路、アナログ系回路入り口、アナログ系回路出口、デジタル系電源、アナログ系電源、マイコン系回路、保護回路、出力端子などなど、多岐にわたります。その回路のGNDのどこからFGNDにどう落とすかは、回路性能や安定性、そして音質にも決定的な影響を与えるわけです。


さて…

加藤氏は、このフレームに落とす接続ポイントのことを「GNDアンカー」と呼んでいます。

アンカーとは、錨(anchor)のことですね。つまり、固定する、支えるという意味合いです。電源など基準となる電位をがっちりと固定して、能動回路に加えられる変動の反動でこうした基準電位が揺れないように支えてやる。オーディオ回路では、とても大事な機能です。

ひとつのシャシーに落とす引き回し方でも、ポイントを決めるのは大変なのに、3つものFGNDのベストなポイント組み合わせを決めるのは並大抵のことではなかったそうです。ヘタな場所につなぐと、一発で音は死んでしまうと加藤氏は言っています。

そういう苦心のなかで、加藤氏はひとつの法則を見つけたとか。

それは、電源固定の法則。

回路基板は物理的ににフリーにするのが音質的に好ましく、それはGNDも同じ。電源回路はトランスも含めて物理的に固定した方が音質的に好ましく、それはGNDも同じ…ということなのだそうです。GNDアンカーを回路側に使うと、まるで基板を物理的に固定したかのように音を萎縮させてしまう。逆にGNDアンカーを電源側に使うと、音はエネルギー感に満ちて躍動する…というのです。



この《GNDアンカー》を《仮想アース》と置き換えると、そのまま私の体験に合致するのです。

私の場合、アンプなどのアナログ回路系には仮想アースはつないでいません。機器間はケーブルのアースですべてつながっています。私の場合はアンバランスですので、同軸ケーブルのシールドもしくは2線ケーブルのコールド側がそれぞれの機器内の回路GNDにつながっています。これを片側であれ、両端であれカットすることはしません。左右ch独立ではないのでループも生じますが、それでも一切カットしません。機器間の電位をそろえることが重要であって、アースループは無害でさえあればそのままでよいのです。その回路GNDはプリアンプのシャシーアースの一点で、大地アース(E)に落としています。

CDPは、シャシーアースを補強する意味合いでアース端子に仮想アースをつないでいます。パンダPCなどデジタル系もUSBコネクターのケースを経由してシャシーアースから仮想アースにつないでいます。信号回路のGNDには仮想アースをつなぎません。音がかえって悪くなったからです。回路のどこからシャシーアースに落とすかというFGNDのことは回路設計者に任せるべきだと思うようになりました。

そもそも加藤氏は、空き端子にショートピンや仮想アースをつなぐことを推奨していません。つなぐと、音が萎縮したり開放感を失ってしまうことが多いというのです。P-3では、セレクターに高音質のリレーを入れて選択していない機器はGNDごと切り離しています。あたかもコネクターを抜いてしまったような状態にしているとのこと。多数のソース機器がつながっているとGNDループやノイズ混入の問題があるからです。

一方、パワーアンプの電源にはかなりの仮想アースを投入しました。その接続ポイントはまさに電源の中点――すなわち、±の中点で上下のコンデンサーの接続点から落としています。さらに、スピーカーのマイナス端子にも仮想アースをつないでます。ここは、アンプ内部のGNDラインで電源中点とつながっています。アンプの出力動作は、シングルエンドで接地基準に対して信号増幅出力をしています。まさに、この接地基準にアンカーを入れてがっちりと固定するという考え方です。仮想アースはそれぞれが独立していますので、それぞれの能動回路に近い部分で基準を支えることが効果的なのです。


以上、私なりに「GNDアンカー」という概念を咀嚼して受け止めたことを、基本ルールとして簡単にまとめてみると、次のようになります。


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1.仮想アースは、GNDアンカーであり、回路の基準点を固定する

2.仮想アースは、電源に入れると効果的で音はエネルギー感に満ちて躍動する

   接続点は、電源トランス出側の中点(0V)ラインとする

3.デジタル/アナログ系いずれも、回路系では仮想アースはシャシーアースにつなぐ

   接続点は、機器のアース端子
   アース端子がない場合は、RCA端子のコールド、USB端子のコネクタケース
   信号回路には直接つながない(ショートピン等にはつながない)

4.機器間の信号ケーブルのGNDライン(シールド等)はカットしない

   信号ケーブルのGNDライン以外には、ループGNDを作らない

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今後は、上記のルールに従って、現状のサテライトアースの見直しや、増強等を検討していくことで考えています。

タグ:仮想アース
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