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篠崎史紀ヴァイオリン・リサイタル (浜離宮ランチタイムコンサート)

篠崎さんは、つい二日前のN響定期でコンサートマスターで出演していてお見かけしたばかり。翌日は、N響が同じプログラムでの大阪公演のはず。今の演奏家というのは、こんなハードスケジュールを苦もなくこなしているのですね。すごいなぁ。

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前半は、北欧の音楽。

シベリウス、グリーグと、おなじみの名曲。

篠崎さんの演奏は、とてもわかりやすくなじみやすい。そういうところは合間のスピーチに現れていて、スピーチも名人。グリーグは小学校時代からのおなじみの作曲家だそうだ。つまり、朝な夕なに学校放送で流れていた音楽がグリーグだったそうだ。

そのグリーグのソナタが飛びきりの力演。

グリーグは、かつては、それこそピアノ協奏曲や「ペール・ギュント」組曲などがとてもポピュラーでしたけど、近年はピアノ曲も人気で多くのピアニストが取り上げています。それに較べて、ヴァイオリン・ソナタは、隠れた名曲といったところでしょうか、コンサートプログラムとしては地味で渋い演目ということかもしれません。私も、デュメイとピレシュの名盤を持っていますが、じっくりと聴いたとは言えないかも知れません。

Grieg Violin Sonata Dumay&Pires_1.jpg

それが、とても情熱的で素晴らしい曲なのです。思わず、家に帰ってから何度もそのCDを繰り返し聴いてしまいました。こういうところが、やはり、生演奏の力なんでしょうね。

後半は、ロシアへ。

「白鳥の湖」は、実は、オーケストラのコンサートマスター入団試験用の楽譜なんだそうです。それを聞いて客席は爆笑。確かに、オーケストラ曲には、そこかしこにヴァイオリンのソロがあります。それを担当するのはコンサートマスターの大事な仕事。とはいえ、ピアノとのデュオで披露しようとすると適当な編曲が無い。そこで、はたと気づいたのが入団試験用の楽譜だったのだとか。

Tchaikovsky Ballet Suites01_1.jpg

「シーン」は、カラヤン/ウィーン・フィルの歴史的名盤があって、よく聴いています。今から60年前のものとは信じられないようなデッカの名録音で、当時はまだ若手だったヨーゼフ・シヴォーのヴァイオリンが聴けます。こういう若手の抜擢にもカラヤンの才覚が感じられます。

入江一雄.jpg

ピアニストの入江さんは留学経験もあるバリバリのロシア派なんだとか。続くストラヴィンスキーやプロコフィエフでは、そういうロシア仕込みのピアノが炸裂。素晴らしかったのは、ソロで弾いたラフマニノフ。もともとは歌曲で、入江さんの大好きな曲。それをピアノソロで演奏したいと思ったけれど、なかなかこれはというものがなくてとうとう今回、ご自分で編曲したとのこと。「春の流れ」とは、雪解けの水のこと。ロシアには、夏と冬しかない。雪が溶け出すと、辺り一面、流れや泥濘となって水があふれ出す。そういう溢れかえる雪解け水にロシア人の喜びが爆発する。そのピアノはまさにそういう音楽でした。

こういう演奏家がひとつひとつの曲に持つ、思い出とか思いを直に語ってもらえるのも、このランチタイムコンサートの楽しみになっています。





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浜離宮ランチタイムコンサートvol.208
篠崎史紀ヴァイオリン・リサイタル
2021年11月26日(金) 11:30~
東京・築地 浜離宮朝日ホール
(1階15列16番)

トリオ・アコード
篠崎史紀 (ヴァイオリン)
入江一雄 (ピアノ)

シベリウス:悲しきワルツ
グリーグ:ソルヴェイグの歌
グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ短調 Op.45

チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」より 「パ・ド・ドゥ」「ロシアの踊り」
ストラヴィンスキー:バレエ「火の鳥」より 子守唄
プロコフィエフ:バレエ「ロメオとジュリエット」より モンタギュー家とキャピュレット家
ラフマニノフ(入江一雄 編):春の流れ

(アンコール)
ラフマニノフ/クライスラー:祈り
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