SSブログ

「新鋭とベテラン」 (清水和音の名曲ラウンジ) [コンサート]

このシリーズの楽しみは、そのフレッシュな顔ぶれと、昼前の1時間という気楽さにもかかわらずそうそうたるメンバーによる本気の演奏。

flyer_trm.jpg

今回は、そういう新鋭とベテランによるコンビネーション。

Mio_Ishikawa.jpg

ヴァイオリンの石川未央さんは、桐朋学園の特待生4年生。実は、ヴァイオリンとピアノの両刀遣いで、ピアノの方は本科生で清水和音さんの生徒さんなんだとか。ピアノレッスンにはヴァイオリン持参で、ヒマさえあればこちょこちょとそっちを弄ってばかりだとは先生の清水さんの弁。

クライスラーの3曲は、それぞれのキャラクターを弾き分ける。小柄ながらもなかなかに力強い。

メインは、ブラームスのピアノ五重奏曲。

383bf888c63599b578b7c186f1e39140-400x600.jpg

第一ヴァイオリンは、大江肇さん。新鋭と言っても、昨年、神奈川フィルのコンサートマスターに就任。大人気の首席ソロ・コンサートマスターの石田泰尚さんと、堂々とタッグを組むというわけだから、こちらは厳然たるプロ。

石川さんは、重鎮のの佐々木亮さん、辻本玲さんにはさまれるようにして、ちょっと窮屈そう。それでものびのびと、ブラームスの交響的掛け合いに積極的に参加。ブラームスの労作とはいえ、吉田秀和をして「通俗的なくらいに有名な作品」と言わしめた室内合奏曲。ブラームスの重々しい重奏のなかに押し込められるので、どうしても石川さんのヴァイオリンは埋没してしまいがち。

才能に恵まれて、場慣れしているようでも、クライスラーやトークでもちょっと緊張している様子。子供の頃から並外れた才能を発揮し、ヴァイオリンもピアノも弾けるマルチタレントというのは、若いうちだからこそのちょっと出来過ぎの部分もあって、それだけに慣れた振る舞いを装えば装うほど印象が薄まりがち。クライスラーのポピュラー名曲というありきたりのお披露目もちょっと何だかなぁ…という感じ。

フレッシュな若手をどんどんと押し出したいという清水さんの趣意には大いに賛同するけれど、リラックスした雰囲気作りも大事だし、もう少しご本人のキャラを引き出すようなステージやプログラムの工夫があってもよいかなと思いました。

flyer.jpg

芸劇ブランチコンサート
清水和音の名曲ラウンジ
第46回「新鋭とベテラン」
2024年2月7日(水) 11:00~
東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
(1階M列18番)

クライスラー:「美しきロスマリン」「愛の悲しみ」「愛の喜び」
石川未央(Vn) 清水和音(Pf)

ブラームス:ピアノ五重奏曲 ヘ短調作品34
大江馨(Vn) 石川未央(Vn)佐々木亮(Va) 辻本玲(Vc) 清水和音(Pf)

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。