SSブログ

快音レコード!持ち寄りオフ会〈前編〉 (横浜のMさん邸訪問記 その1) [オーディオ]

ほんとうに久しぶりの訪問でした。

ひょんなことからメッセージのやりとりが始まって、しばらくご無沙汰をしてしまった横浜のMさんの会心の音をお聴かせくださいとお願いしたら快諾。それでは「快音レコード!持ち寄りオフ会」をやりましょうというご提案になりました。これが、マニアックななかにも賑やかで実に楽しい会になりました。

地下鉄・元町中華街の駅で待ち合わせ。集まったのは、Lotus Rootsさん、いたちょうさん、UNICORNさん、それと私を加えて四人。それぞれが思い思いのLPレコードを持って集合です。

IMG_5158_1.JPG

Mさんのサロンルームは大きくて広い。その一角にマッキントッシュの巨大なスピーカーとパワーアンプを中心にしたシステムが大きな外窓の前に構えています。弩級システムですが、それが部屋の傍らに納まっています。スピーカーは背丈を超えるツィタータワーですが、それを超える天井の高さがあって堂々としていてしかも余裕のあるセッティング。

IMG_5172_1.JPG

プレーヤーシステムは、最新の光カートリッジとテクニクスのDDターンテーブルを特注の黒檀のケースに納めています。その贅沢さには圧倒されますが、鏡面仕上げの美しい木目を見るとその美麗で優雅な姿に不思議と心が和みます。

光電型カートリッジというのは昔からあったのですが、昨今の光センサー素子や発光ダイオードの技術的躍進もあって最近になって脚光を浴びているようです。原理は変わっておらず、赤外線LEDの光をカンチレバーに直結した遮光板を通して受光センサーが受ける。遮光板の振動によって光の強度が変わる。受けたその光の強弱に応じて、センサー(光ダイオード)が発電するというもの。デジタルと混同誤解されがちですが、まったくのアナログです。

通常のMM型やMC型は電磁誘導を原理としていて、振動の速度変化に応じて発電する《速度型》ですが、光電式は針先の変位(無信号時の位置からのずれ)に比例して起電力を生じる《変位型》です。原理が違うのでレコードに刻まれた溝に対する周波数特性が違ってきて、全く別のフォノイコライザーが必要になります。このことも光カートリッジが普及しなかったひとつの要因になりました。

速度型のカートリッジの出力電圧の周波数特性をフラットにするには、針先の振動速度の周波数特性がフラット(等速度録音)になるようにすればいいわけです。ところが等速度にすると高域の振幅は極めて小さくなりノイズに埋もれてしまうし、低域では逆に大きくなり過ぎてカートリッジが耐えられない。そこで高域と低域は、変位を周波数に関係なく一定(等変位録音)にすればよい。これがRIAAを始めとする録音再生規格の原理になっています。つまり、録音特性は1kHzを中心として等速度と等変位の折衷になっているというわけです。

というわけで、RIAAは速度型に真ん中(1KHz)を合わせた規格なわけですが、変位型の光カートリッジは立場が逆転してしまいます。それで別の特別なフォノアンプが必要になってしまうわけです。

IMG_5176_1.JPG

一方、スピーカーの方ですが、こちらにはアクティブ・イコライザー・ユニットが付属しています。かなり独特のユニット構成を持った巨大なスピーカーシステムなので部屋の影響も大きいということでシステムの一部としてイコライザーが入っているのだそうです。といっても特殊なものではないようで、5ポイント(70Hz、150Hz、300Hz、600Hz、1.2kHz)でそれぞれをブースト/カットするというものだそうです。

IMG_5173adj_1.jpg

改めてMさんのシステム構成をご紹介すると、光カートリッジ→専用イコライザーアンプ→マランツ#7(ライン入力)→マッキントッシュパワーアンプ→アクティブイコライザー→マッキントッシュ(XRT26)スピーカー、ということになります。

IMG_5174_1.JPG

まずは邂逅を祝して乾杯。

互いの自己紹介や近況報告などをしているうちに話しが盛り上がり、いささか年寄りじみた病気自慢まで始まってしまいなかなか試聴ステージに進みません(笑)。ようやく思い出したように、せっかく持ち寄ったのだから聴きましょうということになりました。ところが誰もが遠慮して譲り合い。そこはやはりご主人からということで、Mさんが笑いながら「それでは模範演技ということで失礼いたします」と。いつもながら、どこまでも謙虚なMさんらしい。

持ち出したのは、どれもがレジェンド的名盤・名録音。

その再生音には圧倒されます。

かなりの音量ですが、いわゆる爆音ではありません。アコースティックな生演奏と同じでリスニングポジションで、平均で80dB台。ピークでも100dBを超えることはありません。それでいて、音が抜けるように鮮明で明快。低域も音程やリズムが明瞭でくぐもらず、立ち上がり立ち下がりのスピードが速い。リズムセクションも大迫力で、床は石造りのしっかりしたものでびくともしないのに、振動が身体にじかに伝わってくる。目も醒めるようなスーパーサウンドです。

51Dj26xb4LL._AC_.jpg

このディスクには、思わずのけぞるほどの衝撃を受けました。。

いかにもヨーロ・ジャズともいうべき、クリーンな空間表現と個々の楽器の鮮烈で生々しい音像はとても60年代初めの録音とは思えません。特にアルトサックスの肉感はたまりません。リズムセクションの刻むビートもリアルで渋い光沢の甲冑のような重量感があります。

…ところが、ジャズ通のUNICORNさんから意外なダメ出しが…!!


(続く)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽