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ベルリン国立歌劇場 「ファウスト」 (ドイツ音楽三昧 その9-最終回) [海外音楽旅行]

ついにドイツ音楽三昧の旅も最終章。最後の夜となったのは、ベルリン国立歌劇場による大作「ファウスト」です。

残念なのは、ウンター・デン・リンデンの本来の歌劇場(リンデン・オーパー)は改修中だということ。2010年に3年の計画で改修工事が始められましたが、2015年末になってもいまだに完成せずいまのところ竣工見通しは2017年とのことです。

ベルリン国立歌劇場は、東西分断の時代には東ベルリン側にありました。ベルリンの音楽芸術のチャンピオンは、オーケストラが西側へ、オペラは東側へ、と分断する結果となったのです。西側では市立歌劇場であったベルリン・ドイツ・オペラを対抗馬として押し立て盛り上げます。1963年ベームらに率いられたベルリン・ドイツ・オペラの初来日は、カラヤン率いるベルリン・フィルの来日とともに日本の戦後音楽史を飾る大イベントでした。

そのいわば東西ベルリンのオペラの両雄が、いまやビスマルク通りをはさんでご近所同志というわけです。ベルリン国立歌劇場のオーケストラやスタッフには東ベルリン出身者が多いのでいささか不本意でしょう。しかも仮住まいも5年も経ってしまうと本拠地のことを全く知らない団員も増えているとのことです。

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シラー劇場は、ごくふつうの劇場で、NYのブロードウェイの大きめのミュージカル・シアターといったところです。席数は900席ほどでしょうか。オペラ上演会場としてはいかにも小さい。

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プロセニアムも小さいので、スペクタルには不向きと言わざるを得ません。古典的な歌劇場も意外に小さなものですが、ドレスデンやライプツィヒでは、さらに客席にも演出上の舞台を広げて空間を目一杯立体的・ダイナミックに使う工夫がされていましたが、ここでは客席そのものも小さく1階と2階だけの映画館のような構造なのでなかなかそうも行かないようでした。

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それでも物事には、一長一短の両面があるものです。

私たちは例によって、最前列の正面席に陣取って、かぶりつきの観劇です。歌手陣の生々しい演技や、その艶やかな声量豊かな美声を身体いっぱいに浴びるような感覚に気持ちが奮い立つ思いがしました。

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若返ったファウストを演じるブレスリクがとても新鮮で瑞々しい歌唱と演技で、いわば自分の野心や上昇志向と、良心と悔悛の情との板挟みに思い悩む青年を活き活きと演じています。「ファウスト」というのは、悪魔に魂を売って若返るという伝説説話というふうに単純にとらえていましたが、そういう伝説を元にしながらも決して荒唐無稽なものではなく、社会的成功と倫理との矛盾と相克という現代に通ずる普遍の深みを感じます。

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やはり、メフィストフェレス役のルネ・パーぺが巧くて、この歌劇全体を支配しているという感じでした。『悪役』というのは劇全体を引き締める重要な役どころだと痛感させられます。彼のメフィストは、決して悪魔的なものではなく、どちらかといえば運命とか宿命とか、そういうものを皮肉な形で示してくれる父性的な演技。後悔の念にかられた本心とはうらはらに、マルグリートの兄との決闘に勝利し彼を殺してしまう。ファウストの背後にまとわりつく、そういう抗うことのできな宿命とか不条理のもつ《日常性》を象徴するような演技です。

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そのマルグリートのタチアナ・リスリックもとてもフレッシュ。ファウストとの不倫、子殺しの罪に問われ、ついには気が狂ってしまうという悲惨このうえないマルグリートなのですが、あくまでも清純無垢で清々しく、廃墟のなかに咲く一輪の花のような《救済》を清らかに演じきっていました。

何といっても素晴らしかったのは、シモーネ・ヤングの熱っぽい指揮ぶりです。

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最前列中央なので、彼女の熱気がほんとうにじかに伝わります。もちろん、オーケストラピットが深いので彼女の頭と肩より上しか見えませんが、ちょっとふり返ると舞台そでに据えられたモニターで彼女の指揮ぶりがよく見えるのです。これほど身体を大きく動かして、体全体でオーケストラを動かしていくその熱い指揮ぶりにほんとうに感動してしまいました。ブレスリクも、パーぺも、抑制の効いた理知的な歌唱なのですが、それでも歌劇全体に大きな悲劇性と感情の起伏があるのは、ヤングの熱いサウンドがあったからだと思います。

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もし、このオペラがリンデン・オーパーで行われていたら…と、ちょっぴり未練はありましたが、今回の音楽三昧の掉尾を飾るにふさわしいすばらしいオペラ体験でした。








ベルリン国立歌劇場 グノー「ファウスト」
2015年12月20日(日) 20:00
ベルリン シラー劇場

シモーネ・ヤング指揮
ベルリン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ベルリン)

ファウスト:パヴォル・ブレスリク
メフィストフェレス:ルネ・パーペ
マルグリート:タチアナ・リスニック ほか




Faust
Opera by Charles Gounod

Conductor Simone Young
Director Karsten Wiegand
Set Design Barbl Hohmann
Costume Design Ilse Welter

Choreography (Act 1 + 2) Otto Pichler
Choreography (Act 3 + 4) Kathlyn Pope

Light Design Olaf Freese
Chorus Master Martin Wright


Faust nach der Verjungung
Pavol Breslik

Mephistopheles
Rene Pape

Valentin
Alfredo Daza

Marguerite
Tatiana Lisnic

Siebel
Marina Prudenskaya

Marthe Schwerdtlein
Constance Heller

Faust vor der Verjungung
Stephan Rugamer


20. Dec 2015 | 19:00 H
Staatsoper im Schiller Theater

Staatskapelle Berlin
Staatsopernchor

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イエス・キリスト教会 (ドイツ音楽三昧 その8) [海外音楽旅行]

私たちの怒濤のドイツ音楽旅行も、いよいよ最終日です。

フィルハーモニーでのオルガンコンサートがはねた後は、夜のベルリンシュターツオパーまで時間があるので、少しだけベルリン市内観光を楽しみました。まずは、フィルハーモニーの向かいにある「絵画館」に行きました。

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特別展示の「ボッティチェリ・ルネサンス」はラッキーでしたが、私たちのほんとうのお目当てはフェルメールの「真珠の首飾りの女」でした。紛らわしいのですが「真珠の首飾りの少女(青いターバンの少女)」は、すでに一昨年、オランダ・デン=ハーグの美術館で観ています。

絵画館の後は、夫婦別行動。

というのも、私にはどうしても訪ねてみたかった場所があるのです。

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地下鉄を乗り継いで、市の中央から南西の郊外ダーレムに向かいます。ベルリン・フィルの野外コンサートが開かれるヴァルトビューネにほど近い、自然豊かな閑静な住宅街にその教会があります。

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ここはカラヤン時代に数々の名録音を残したイエス・キリスト教会。

大きな教会ですが、外観はごくふつうのモダンなもの。何の案内もありませんが、中に入ると見覚えのあるステンドグラスの列が眼前にあります。

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それでも内装も質素でふつうの教会です。中ではクリスマス・イブに演ずるのでしょう、子供たちのクリスマス劇の練習中でした。そのおかげで、多少なりともここのアコースティックを体感することができました。

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教会といっても、残響はそれほど長くはなく、ほどよく抑制されたクリーンでバランスのとれた響きです。録音会場としては理想的な響きだったのでしょう。竣工間もないフィルハーモニーのデッドで貧しい響きに満足できなかったカラヤンが録音場所としてここにとどまり続けたのもよくわかります。

さほどスペースがあるとは思えないのですが、椅子を後方に片づけると大編成のオーケストラもすっぽりと収まってしまうのです。容量としても、十分かつ大きすぎず録音には最適だったというわけです。

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白黒写真は、1972年1月のヴェルディ/レクイエムの録音セッション。ミレッラ・フレーニ、クリスタ・ルートヴッヒ、カルロ・コッスッタ、ニコライ・ギャウロフらが参加しました。

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今でもここで盛んに録音セッションが行われていることは、その響きのよさの証左です。録音会場としていまだに現役なのは、響きのよさとともにそのアクセスの良さと抜群の周囲環境に恵まれているからだと思います。周囲は森や林に囲まれていてほんとうに静かです。地下鉄の駅から徒歩10分ほどでの場所ですし、自動車もほとんど通りません。

テルデックのスタジオも、ここから歩いて2~30分ほどの距離にあるのですが、さすがに徒歩で往復するのは時間もかかります。外観だけでもとは思いましたが、夕闇も迫ってきてさすがに断念しました。

こんなところを訪ねたところで何もないのですが、やはり音楽ファン、オーディオファンとしては、とても豊かな気持ちになります。よい想い出になりました。

さて、いよいよ、今夜は最後のイベント、グノーの歌劇「ファウスト」です。

(続く)
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ベルリン・フィルハーモニーのオルガンコンサート(ドイツ音楽三昧 その7) [海外音楽旅行]

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前日の興奮がまだ醒めやらぬ翌日の午前中、再び、フィルハーモニー大ホールを訪ねます。

これで3度目の訪問になります。これだけくり返し違った角度から聴けば、そのホール音響の理解もずいぶんと進みます。最後は、オルガンコンサートで、ホールの大きな様相のひとつであるパイプオルガンも聴けたということはとてもラッキーでした。

ここのオルガンは、設計当初、設置を予定していなかったので、正面ではなく、ステージに向かって斜め右手のかなり上方に設置してあります。「使いにくい」とカラヤンは終生不満を漏らしていたとのことです。確かに、斜めというのは使いにくかったでしょうが、実際に聴いてみるとその音響はなかなかのものでした。

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席は1階席の左ブロック斜面で、オルガンとは正対するという絶好の位置。

コンサートホールのオルガンはいくつか聴いてきましたが、先日、聴いたような聖トーマス教会のオルガンとは響き方がかなり違います。パイプオルガンというと、一般的には「天上から降り注ぐ」というようなイメージがありますが、それは大聖堂など教会オルガンの響きに特有のものだと言ってよいでしょう。

オルガンの音は、面白いことにそのホールの響きの特徴を実に端的に示してくれるような気がします。

例えば、新潟りゅうとぴあのオルガンは、パイプとほぼ同じ高さの3階バルコニーで聴くのがベストで、ホールを渦のように巻いていく響きがとても印象的でした。ミューザ川崎のオルガンは1階正面で聴きましたが、ペダルの低域がナイヤガラの大瀑布のようにホールフロアへと流れ落ちこちらへと押し寄せ、中高音域は左右に拡がり客席を包み込むように響き、輝かしい高音は頭上に向かって飛び出していきホールを満たすという感覚が素晴らしい。オペラシティ・タケミツメモリアルは、教会の響きに近くて身体を震わすような響きと頭上から降るような残響を感じますが、オルガンから離れてしまうととたんに量感や音色が弱くなります。サントリーホールはソフトで心地よいハーモニー感がありますが立体感が乏しく平板で音が薄く弱い。

意外に音がよいのは、NHKホールのオルガン。バルトーク「青ひげ公の城」では、ちょうど真下の席だったこともあって壮大な響きに熱い高揚感を覚えました。実は、ベルリン・フィルハーモニーと同じカール・シュッケ社製のオルガンなのです。73年製作でベルリンよりひとまわり大きく当時日本最大規模のオルガンでした。放送局の多目的ホールということでほぼ真横という設置位置の不幸も共通です。

コンサートでは、演奏台はステージ上に据えられていました。客席からは演奏者は後ろ向きになりますが、むしろ鍵盤がよく見えて、指遣いやペダルを踏む足、ストップ操作などが見えるようになっています。補助者はおらず、プリセットされたストップキーを瞬時に切り替え、そのたびに演奏台の小さなディスプレイの数字が変わる様子がよくわかりました。

1曲目は、バッハの「前奏曲とフーガ 変ホ長調」。「クラヴィール練習曲集第3集」の劈頭と掉尾を飾る「前奏曲」と「フーガ」フランス風序曲の華麗な開始に続く流麗華麗な長大なプレリュードと、聖なる十字を切るかのような上下に交差する音型が絡まっていく堂々たるフーガ。最初からその素晴らしいオルガンにやられました。

音源となるパイプそのままに音があちこちへで明滅する分離のよい中高域、より高い音域は上へ上へと昇っていき、ペダル音は見た目のパイプの位置よりも低い位置で堂々と鳴り響きます。音の「流れ」や「渦」はないのですが、オルガンのある壁面がまんべんなく鳴る感覚であり、そこからホールの広い空間へと響きが拡がっていく感覚です。分離のよさと糸を引くように音の粒子が拡散していく感覚は、まさにこのフィルハーモニーザールの「響きの形」だと思うのです。

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この日は、ベルリン・フィルのオーボエ奏者クリストフ・ハルトマンが共演。

バッハやフランクなどのオルガン独奏曲以外に、クレーブス、ラインベルガーらのオーボエとのデュエットや、バッハのトリオ・ソナタの編曲版などを聴かせてくれました。ハルトマンのオーボエは、ほんとうに豊かで暖かな艶っぽい音。至福の時でした。

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オルガン奏者のウォルフガング・ルブサムは生粋のドイツ人ですが、マリー・クレール・アランに師事しアメリカのダラスの大学で学んで後、シカゴのノースウェスタン大やシカゴ大のチャペルのオルガン奏者を長く務めるなど国際性の豊かなオルガニスト。バッハなどの演奏であっても、やはり、明晰な対位線と華麗で技巧的なストップ操作など現代的な気質は明らかで、いかにもこのベルリン・フィルハーモニーにふさわしい流麗でスケールの大きな演奏で魅了。

最後のバッハ「パッサカリア ハ短調」では、大変なフットワークで、その壮大な重低音によるフーガでは両足を足鍵盤上で大きくひろげての壮大な超低域和音を聴かせてくれて、大興奮でした。




ベルリン・フィルハーモニー オルガンコンサート
2015年12月20日 11:00
ベルリン・フィルハーモニー大ホール

ウォルフガング・レーブサム(オルガン)
クリストフ・ハルトマン(オーボエ)





Wolfgang Rubsam Organ
Christoph Hartmann Oboe

Johann Sebastian Bach
Prelude and Fugue in E flat major BWV 552

Johann Ludwig Krebs
Fantasy in F minor for organ and oboe

Johann Sebastian Bach
Choral Prelude Wachet auf, ruft uns die Stimme BWV 645

Josef Rheinberger
Andante pastorale in F major for organ and oboe after the 2ns Movement of the Organ Sonata op. 98

Cesar Franck
Pastorale op. 19

Josef Rheinberger
in D flat major for organ and oboe after the 2nd Movement of the Organ Sonata op. 127

Johann Sebastian Bach
Choral Prelude In dulci jubilo BWV 608

Johann Sebastian Bach
Andante from the Trio Sonata in E minor BWV 528 (arr. for organ and oboe by Wolfgang Rubsam)

Johann Sebastian Bach
Passacaglia in C minor BWV 582

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ラトル/ベルリン・フィル/セラーズの「ペレアス」(ドイツ音楽三昧 その6) [海外音楽旅行]

怒濤のドイツ音楽三昧の旅は、いよいよ終盤のクライマックスを迎えます。

ライプツィヒからベルリンまでは1時間ほど。私たちは、ベルリン中央駅でロッカーに荷物を預けるとそのままSバーンでポツダムへ向かいました。音楽中心の観光旅行は1時間たりとも時間を無駄にしたくないのです。

私たち日本人にとっては「ポツダム宣言」で知られるポツダムの町は、ベルリンからSバーンで40分ほど南にある小さな町ですが、ここは17世紀以来プロイセン王家の宮殿がおかれた美しい郊外地。

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見所はポツダム会談の会場となったツェツィーリエンホーフ宮殿などいろいろあるのですが、時間も限られている私たちはまっすぐにあのフリードリヒ大王が愛したサンスーシ宮殿へ向かいました。言うまでもなくバッハゆかりの場所のひとつ。バッハをここを訪ねた際に大王からテーマを与えられ、それをもとに曲集『音楽の捧げもの』を作曲し献呈しています。あの「6声のリチェルカーレ」はこの曲集のひとつです。

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大王は、文弱ぶりが過ぎて父王の激しい怒りを買ったにもかかわらず長じては名君としてプロイセンの国運を大いに高め版図拡大に成功するのですから面白いものです。戦争に明け暮れながらもフルートだけは肌身離さず持ち歩き、戦場の野営地でも吹いていたそうです。宮殿は、謁見などの公式の部屋がない居住区のみの「離宮」なので簡素ながらも本当に愛らしい美しさに満ちていました。あの「音楽の間」にはその木製のフルートが展示されていました、。

さて、再びベルリンに戻ってきた私たちは、再度、フィルハーモニーを訪れることになります。いよいよラトルが指揮するベルリン・フィルをその本拠地で聴くことになります。

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プログラムは、ドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」という大作。演奏会形式とはいいながら、演出家ピーター・セラーズが監督する本格的なものであり、大きく立体的なフィルハーモニーの客席を縦横に使った演技と演奏は20世紀オペラの前衛性にふさわしいもの。

ドビュッシーは、俗に「印象派」の音楽家と呼ばれますが、むしろ、文芸上は「象徴主義」に心酔していました。出世作となった「牧神の午後への前奏曲」は、象徴主義の詩人マラルメの詩にもとづいたものですし、象徴主義の劇作家メーテルリンクの傑作「ペレアスとメリザンド」の戯曲をそのまま使用したこのオペラの成功によってドビュッシーは大家としても名声を確立したのです。

一時はワーグナーに心酔したドビュッシーは一転して反ワーグナーに変じます。このオペラはいわばアンチ「トリスタンとイゾルデ」。同じような三角関係を中軸としたメロ・ドラマそのものなのですが、激しい憎悪の応酬から陶酔的な熱情へ転じ死へと昇華していくワーグナーとは対照的に、現実逃避の王子ペレアスと謎めいた存在も希薄なメリザンドとのつかみどころのない不倫に翻弄されて破滅していくゴローだけが惨めなほどに現実的であとは夢うつつの世界。

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その音楽は、実に精妙で、微妙に移ろう色彩と音色がほのかに明滅し流転していくような音楽です。

そのことで私たちはベルリン・フィルの音に圧倒されてしまったのです。歌もそうですが、オーケストレーションもまるで「フランス語を語るよう」な音色と響き。それはワーグナーの分厚い響きとうねるようなライトモチーフの旋律と大音響…といったものとは対照的に、小音量で、人物やその言葉や心理を象徴しながらもどこか空疎でつかみどころのない淡い万華鏡のような音楽。そういう微妙な音楽が、いったいこの2400席の大ホールで聞こえるのだろうかという心配をよそに、第一幕冒頭から実に見事に会場の隅々にまでに行き渡るのです。部分が明晰に分離しながらも全体の響きがまろやかで、まるでビロードのような滑らかな手触り。おそらく今この世界でパリ以上にフランス的な音響。

そのことに驚愕しました。

とにかく金管も柔らかく深みがあるし、弦のアンサンブルはこの世のものとも思えぬほど美麗で艶っぽい。オーボエもファゴットも精妙で美しく歌うのですが、ひと際目立ったのがフルートのパユ。フランス人だからというのではないのでしょうが、この巨大な編成のなかで明滅しながらも色彩感豊かで洗練された艶があってドビュッシーを聴く喜びを感じさせてくれる。この大スターが淡々と自分のパーツをこなしている姿に感動したのです。

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ヴィンヤード型のフィルハーモニーは、伝統的ホールのように平土間・バルコニーなどとレイヤーがなく、全て客席がつながっているのが特徴です。そのことを存分に活用していて、ステージ上の前面に第一Vnと第二Vnの間に割って入るように設置された大きなベッド程度のメイン舞台を中心に、ステージの後面、二階席から最上階まで縦横無尽に演技が立体的に展開します。

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私たちは2階右手のブロックに座っていたのですが、その目の前のスペースに三人の黒人女性の黒ずくめの歌手たちがいつの間にか入ってきて伏していたのですが、実は、そこが第二幕最後の海の洞窟の場面となり、私たちの目の前に、ペレアスとともにメリザンド役のコジェナーが現れて歌うのです。三人の歌手たちは「三人の乞食」というわけで、彼女らが不吉な影のように急に立ち上がり、風のように去っていく…。そういう驚きの連続です。

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コジェナーは、3人の子持ちの母とは思えないような、相変わらずの美貌とスリムな体型で、その長い金髪と細めの美声もあいまって、これ以上ないとさえいえるほどメリザンドがはまり役。とにかく、終始、私はコジェナーにうっとりと魅入られ続けていました。あまりに素晴らしくて、かえって、メリザンドとしてはその妖しいほどの儚さにやや不足を感じたほど。

ゴローの息子イニョルドには、ボーイソプラノが起用されていました。

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以前に初台で観たときにはあまり印象に残らなかった役どころですが、それはおそらくメゾソプラノだったからでしょう。ステージ頭上の最上階右手から、ゴローとともにペレアスとメリザンドの情事を覗き見し、ゴローから苛め立てられる場面は鮮烈でした。そしてこのボーイソプラノのうまいこと。

唯一残念だったことは、私たちがフランス語もドイツ語も解さないこと。字幕は小さくて見えにくくドイツ人聴衆にとっても難解だったかもしれません。とにかく休憩をはさんで3時間以上の長丁場。この日は、収録の関係もあって7時と開演が早かったほうですが、他の日のように8時開演ではなかなか持たなかったのではないでしょうか。

このような公演の難しい大作であり、ラトル会心の演奏だったに違いなく、おそらく今後とも語り草になるような歴史的公演だったのではないでしょうか。そういう演奏に立ち会えてほんとうに幸せでした。

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それにしても、先だってのドイツ・ベルリン響のときの響きは何だったのでしょうか。あのオーケストラだって十分に一流のオケでした。それが、ベルリン・フィルになるとまるで別のホールのように響くのです。

名オーケストラは、名ホールが育てると言われます。しかし、このフィルハーモニー大ホールはベルリン・フィルによってのみよい響きとなるのです。ここだけは、オーケストラがホールを育てたという希有な逆ケースと言えるのではないでしょうか。

フィルハーモニーは、ベルリン・フィルで聴け! でした。









ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団定期公演
ドビュッシー:歌劇「ペレアスとメリザンド」(演奏会形式)
 サイモン・ラトル(指揮) ピーター・セラーズ(演出)
2015年12月19日(金)
ベルリン・フィルハーモニー大ホール





Berliner Philharmoniker
“Pelleas et Melisande” with Simon Rattle and Peter Sellars

Berliner Philharmoniker
Sir Simon Rattle Conductor

Magdalena Kozena Mezzo-Soprano (Melisande)
Christian Gerhaher Baritone (Pelleas)
Peter Sellars Staging

Claude Debussy
Pelleas et Melisande Semi-Staged Performance

Magdalena Kozena Mezzo-Soprano (Melisande)
Christian Gerhaher Baritone (Pelleas)
Bernarda Fink Contralto (Genevieve)
Franz-Josef Selig Baritone (Arkel)
Gerald Finley Bass Baritone (Golaud)

Soloist of the Tolzer Knabenchor
Boy Soprano (Yniold), Jorg Schneider
Bass (Doctor), Sascha Glintenkamp
Bass-Baritone (Shepherd)
Rundfunkchor Berlin, Nicolas Fink Chorus Master
Peter Sellars Staging

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ブロムシュテット/ゲヴァントハウス管(ドイツ音楽三昧 その5) [海外音楽旅行]

怒濤のドイツ音楽三昧の旅は、いよいよゲヴァントハウス見参となります。

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歌劇場と広場をはさんで向かい合うように建っている現ゲヴァントハウスは、1981年に建て直されたもので、歌劇場とは対照的に現代的な外観をしています。地元のひとに道を聞くと「ああ、あたらしいゲヴァントハウスね」といささか冷淡な言い方が返ってくるのは、やはりここも先代のゲヴァントハウスが空襲を受けて破壊されてしまった記憶が消えないのでしょうか。その廃墟は20年以上にわたって保存されていたそうです。

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大ホールの中に入ると、ここもベルリンのフィルハーモニーと同じようなヴィンヤード型で、席数はやや少なめで1920席。色合いの違いからか、サントリーホールというよりは横浜みなとみらいとかすみだトリフォニーを連想させますが、客席はしっかりとステージを取り囲むような野外劇場のようんで六角形の形をしています。正面には東ドイツ時代最大といわれる6638本のパイプを持つパイプオルガンがそびえています。

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その響きは現代的で明晰で透明度の高い素晴らしい音響効果を持つものでした。席数からするとちょうど横浜みなとみらい・ミューズとすみだトリフォニーホールとの中間ぐらいの大きさでほとんど変わらないのですが、ステージがとても近く感じられて、それだけ音楽がストレートに伝わってきます。

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ブロムシュテットが、かくしゃくとして登場。とても88歳とは思えません。

カペルマイスターを7年務めたブロムシュテットは人気があるらしく、彼が現れた途端に客席はわき返り大拍手で迎えられました。オーケストラとの相性もよいらしく演奏も素晴らしく闊達で明快、これが本来のブロムシュテットのサウンドだと胸のすくような思いがしました。

この日のプログラムは、ベートーヴェンとシベリウスのふたつの交響曲。ともに2番でニ長調というのが面白い。

ベートーヴェンは、ここ数年聴いたベートーヴェンのなかでもベスト。久々に心の底から快哉を叫びました。

ブロムシュテットのスタイルというのは、細部のデフォルメや意味ありげなポーズに満ちた過度なロマンチシズムを戒め、速めの快適なテンポと推進力、アウフタクトのアクセントを強調した活力と闊達さ、構築のしっかりとした安定した造築というところでしょうか。そのことが、ゲヴァントハウスの現代ドイツを代表するといってよいような歯切れの良い明快な響きとも相まって、若く野心に満ちていたベートーヴェンの新鮮な意匠をみごとに表出していました。

後半のシベリウスは、まさに白熱の名演。

2015年は、生誕150年というシベリウスイヤーでした。北欧出身のブロムシュテットにとっては得意のお国もの。

実は、私は、7年ほど前にN響を振ったブロムシュテットの同曲の演奏を聴いています。それは私の心に残るN響の名演のひとつで、民族の誇りと情熱がたぎるような演奏でした。今回の演奏は、民族的というよりももっと人類普遍の生きることへの情熱とか誇りのようなことなのでしょうか、生命力の強さという点では7年前を上回るもの。あの時のN響は木管群が北欧の森林や澄んだ空気を思わせるような透明な響きでしたが、ゲヴァントハウスの管楽器群は、そういう透明な空気をひき裂き、白光が輝くような熱を帯びたようなサウンドです。

ここでもゲヴァントハウス管の機能性が高くスリムな音のフォルムと軽快な運動性という資質が冴えわたります。壮大なコーダが響き渡ると、それこそホールを揺るがすような大喝采となりました。何度も呼び出して北ドイツでは珍しい会場総立ちのスタンディングオベーション。

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外の空気は、北ドイツの12月とは思えぬ穏やかなものでしたが、興奮で火照った顔を冷ますにはとうてい適うようなものではありません。ドイツまでやって来た充実感で胸が満たされる思いがしたのですが、翌日のベルリンではこれがまだまだということを思い知らされたのです。

(続く)


ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団定期公演
2015年12月18日(金) 20:00
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス

ヘルムート・ブロムシュテット(指揮)

ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調作品26
シベリウス:交響曲第2番ニ長調 作品43

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聖トーマス教会のオルガン(ドイツ音楽三昧 その4) [海外音楽旅行]

怒濤のドイツ音楽三昧の旅も中盤にさしかかりました。第四夜は、ライプツィヒに連泊して歌劇場とは広場をはさんで対面するゲヴァントハウス。前夜にオペラ・ピットに入っていたゲヴァントハウス管によるシンフォニーコンサートです。

…と、その前に。

昼間は日帰りで、ワイマール観光。

ワイマールは、小さな地方都市ですが、かつてはザクセン=ヴァイマル公国の首都でゲーテやフリードリヒ・シラーらが活躍したドイツ古典主義の中心でもありました。また、ワイマールの名は、第一次大戦で敗北し帝政が崩壊した後に成立したワイマール憲法とワイマール共和制として私たちにもなじみがあります。ワイマール憲法は、基本的人権の尊重を定めた民主主義の嚆矢として名をとどめる一方で、戦後の苛酷な賠償や混乱を極めた経済復興のためにその脆弱な土台が揺るぎ続け、やがてナチの台頭を許した悲劇の共和国家としても歴史に名をとどめることになりました。

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市の中心にあるゲーテハウス。公国の宰相としても活躍したゲーテの広大な邸宅が市の中心にほぼそのまま残されています。

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ゲートハウスからほど近いところにある国民劇場。ゲーテやシラーが自作の演劇作品を上演した劇場であるというとともに、1919年、ここで国民議会が開催され、ようやくドイツ革命と戦後体制をめぐる騒乱に終止符が打たれ、新たな憲法が制定されます。これがワイマールの名がその憲法と共和体制に冠される根拠となった建物です。

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もちろん、ここはバッハのゆかりの地でもあります。バッハの初就職はワイマール宮廷楽団のヴァイオリン奏者。オルガニストなどを経て最終的には楽師長まで出世しますが若いバッハの生活は決して楽ではなかったそうです。いわばバッハの新入社員時代がこのワイマール時代なのです。

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我々のもうひとつのお目当てはバウハウス。大戦直後にここにグロピウスらが学校を設立。合理主義的・昨日主義的な20世紀のモダン建築や美術に大きな影響を与えた教育運動のメッカです。グロピウスとともに日本の桂離宮を称賛しその簡素な意匠美と深い精神性を再発見したブルーノ・タウト、美術面でも吉田秀和が愛したカンディンスキー、あるいはパウル・クレーなどもここで学んでいます。

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モダニズムを徹底的に嫌ったナチスによってこのワイマールの拠点を追われたために、今はバウハウス大学のキャンパスとしてその遺構をとどめるだけですが、バウハウス建築が大好きな家人としては有名ならせん階段の実物を見ただけで十分に満足できたようです。

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そのバウハウスのすぐそばに、フランツ・リストの住居(リスト・ハウス)があります。リストは、私たちが夏に訪れたバイロイトで没しますが、自身が最後の棲家としていたのはこちらでした。リストは、ワイマール宮廷楽長を辞した後もここに住み続けていたのです。とても簡素で無駄のない空間と質実な内装は、ワーグナーが岳父のために建てたバイロイトの寓居よりも質素なほどで、リストの誠実な姿勢と深い精神性にあらためて感銘を受けました。

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一室には、音の出ない可搬型の小さなピアノ。リストがツアーに持ち歩き、これで指慣らしをしたそうです。

さて、ライプツィヒに戻り、いよいよ音楽の夜なのですが…、

コンサートは8時とまだ間があるのでバッハゆかりの聖トーマス教会のオルガン・コンサートに足を運びました。

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オルガン・コンサートといっても、《金曜オルガン晩課》とでも訳すべきもので、オルガンの演奏とともに聖歌を歌ったりする日没時の典礼のかたちをとっています。私たちのような観光客も少なくないのですが、みなさん、ちゃんと聖歌を歌っているので感心しました。

パイプオルガンは2台あって、最初は祭壇に対して側面側に設置された新しいオルガンでの演奏。私たちの席からは正面真下にあたりその豪壮な音色に圧倒されました。いわゆる天から降ってくるようなというのではなく、空気そのものが震えるような音に身体ごと包み込まれる感覚です。側面なので壁が向き合っているせいか定在波がむき出しのところもあってある意味では音の迫力というのは歪みと紙一重なのだということを実感しました。

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中間は、祭壇に向き合う形で設置されているオリジナルのパイプオルガン。すなわちバッハが弾いたオルガンです。典雅で優しい音がします。こちらも天から降るという響きではありませんが、空間にさわやかに拡散していくという感覚です。教会の空間も大きさや形が違い、また、同じ空間環境であっても楽器の音色の個性ばかりではなく、響きそのものの動的な《形》があるのだと実感しました。

さて、いよいよゲヴァントハウスでのコンサートです。

(続く)



2015年12月18日(金) 18:00
ライプツィヒ 聖トーマス教会 金曜オルガン晩課
オルガン:ダニエル・バイルシュミット
        J.S.バッハ:幻想曲とフーガ イ短調 ほか

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ライプツィヒ歌劇場「ラ・ボエーム」(ドイツ音楽三昧 その3) [海外音楽旅行]

ベルリン、ドレスデン、ライプツィヒを巡る怒濤のドイツ音楽三昧の第三日です。

ドレスデンは一泊だけでしたが、ベルリンからの到着当日とライプツィヒ出発までの午前中と十分な時間があって市内観光も楽しみました。

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ゼンパーオーパーと同じように瓦礫の山から復元された聖母(フラウエン)教会や、まれに見る暖冬で天候に恵まれてエルベ河岸のテラスからの眺望も素晴らしいものでした。

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また、ツヴィンガー宮殿の陶器博物館の唐代や柿右衛門からマイセンに至るまでの膨大な陶器コレクションには圧倒されます。

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私たち夫婦のヨーロッパ旅行のもうひとつの楽しみは、世界に30数点しかないフェルメールの絵。各地に少数ずつ点在しているのでその所在を細やかに拾ってひとつひとつ見ていくのはちょっとしたお楽しみ。この宮殿でも2点展示されていてます。「窓辺で手紙を読む女」はいかにもフェルメールらしい構図ですが、岩絵具に限りがあったせいか色彩がやや地味ですが、それだけに哀愁がより引き立つ印象でした。

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妻のたっての希望で、中央駅に向かう道筋で少年合唱隊で有名な聖十字架教会にも立ち寄りました。歴史の古い教会ですが何度も戦禍や火災を受け、やはりドレスデン大空襲で破壊されてしまいました。現在の建物は戦後に再建されたものですが、それにしても中は素っ気ないもの。プロテスタントの教会の内部はとても簡素です。

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見学中にパイプオルガンが鳴り出して期待を抱かせましたが、ほんの点検目的ですぐに終わり。内部を照らす灯りもぷっつりと消されてしまいました。やはり、ここで少年合唱を聴きたかったと残念な思いがしました。ちなみに、前回の日記で紹介したシュライヤーもここの合唱隊の出身なのです。

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さて、私たちの旅第三日目は、ドレスデンとならぶ旧東ドイツの中心都市ライプツィヒです。ICEで一時間ほどの距離。古い街並みは「リング」と呼ばれる環状道路に囲まれた地域で意外にこぢんまりしています。中央駅近くのホテルにチェックイン。オペラまでの時間をやはりクリスマスでにぎわう街中を散策しながら歌劇場やゲヴァントハウス、バッハゆかりの聖トーマス教会などの確認です。歌劇場とゲヴァントハウスは、クリスマスマーケットの中心となるアウグストゥス広場をはさんで向かい合っています。ゲヴァントハウスでは翌日のオーケストラコンサートのチケットをピックアップ。

歌劇場は、ヨーロッパ最古の歴史を誇りますが、やはり第二次世界大戦で破壊され、現在の建物は1960年に再建されたもの。ドレスデンとは違って特に復元にこだわらなかったようで外観はともかく内部は意外にすっきりとした現代的な意匠となっています。

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ここの歌劇場は、専属の常設オーケストラを持たず、ピットに入るのは現存する最古のオーケストラであるゲヴァントハウス管弦楽団。倍近い定員を擁してローテーションを組みシンフォニーとオペラをフルにこなしているので、結局、ドレスデンやウィーンとは立場は逆ですが実質的には超一流の専属オーケストラを擁しているということになります。

この夜の出し物は、やはりクリスマスシーズンものの「ラ・ボエーム」。とはいえ内容は期待以上に充実していてほんとうに素晴らしいものでした。

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現代的な意匠の内部ですが、ここも意外なほどこぢんまりとしていて席数はおそらくドレスデンと変わらないという印象でした。それに対して、ステージの奥行きがとても深くてステージの床面積だけでも客席側の面積を上回る印象です。両側に隠れた空間を考えると大変ぜいたくな歌劇場です。

この歌劇場のもうひとつの魅力は、首席演出家をあのペーター・コンヴィチュニーが務めていること。この「ラ・ボエーム」も彼のプロダクションで、オーソドックスな演劇性のなかにも、あっという驚きや、情景の空間的躍動、細やかな言葉と所作のはっとするときめきの連続。

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私たちの席は、前二列目中央のはずだったのですが、中に入ってみるとなんと最前列でした。というのも、オーケストラピットの客席側には席を一列分潰して特設の花道のようなエプロンステージが設置されているのです。座ってみるとそのステージは手を伸ばせば届いてしまうような距離で、敷き詰められた赤い絨毯の植毛のひとつひとうまで見えるほど。

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おかげで、私たちは、文字通り「あっという驚き」の体験をすることになりました。


(続く)
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ゼンパーオーパー『ヘンゼルとグレーテル』 (ドイツ音楽三昧 その2) [海外音楽旅行]

ベルリン、ドレスデン、ライプツィヒを巡る怒濤のドイツ音楽三昧の第二日です。

ベルリンから鉄道で2時間ほど。ドイツ東部の古都ドレスデンに到着です。夏の南ドイツ旅行では散々な目に遭いましたが、冬場の北ドイツの鉄道はかつての正確な運行のままでした。中央駅から旧市街にあるホテルまで徒歩で20分ほどかかりますが、荷物ひとつの私たち夫婦はゴロゴロとスーツケースキャスターを転がしながら市街散歩です。

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途中にはアルトマルクト広場があって、昼前からクリスマスマーケットが大にぎわい。クリスマスシーズンともなると、ドイツ国中の街でマルクトが開かれていますがドレスデンはそういうクリスマスマルクトの発祥の地と言われてひときわにぎやかです。

聖母(フラウエン)教会のあるノイマルクト広場近くのホテルにチェックインすると、さっそく旧市街見物です。家人はやっぱりクリスマスマーケット巡りでいろいろな屋台ショップを冷やかしてまわるのに夢中。この時期はどこにもシュトレンを売っていて、大きさやスタイルもいろいろ。土産のひとつはこれにしようと言うわけで研究怠らないという風です。

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ドレスデンはエルベ河両岸に拡がる美しい古都ですが、第二次世界大戦の爆撃で徹底的に破壊されました。のべ1300機の爆撃機が参加し計3900トンの爆弾を投下するという大空襲による死者は2.5万人とも15万人とも言われていて、ドイツ敗色濃厚ななかでの非人道的破壊は、広島・長崎への原爆投下、東京大空襲とならび連合国側の汚点として今も語り継がれています。当時ソ連軍のドイツ東部への侵入により避難民や負傷兵が殺到して混乱のさなかにあっただけに、その無差別爆撃はいっそう悲惨な混乱を招いたとされています。

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実は、美しいゼンパーオーパーの建物もこの爆撃でがれきの山と化し、復元再建されたのは1985年のことでした。戦後復興の苦難に東西分裂、ソヴィエト・ロシアの専政下のなかでドレスデン市民が幾多の苦難を乗り越えての再興でしたが、その完成は皮肉なことに東西冷戦終焉間近だったというわけです。再興の年にここで行われた、シュライヤーとリヒテルの「冬の旅」の録音を聴くと、そういう再興にかけた執念と戦争の悲劇の記憶と平和への祈りがある種の霊気となってぞっとするような感動を覚えます。

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内部は、新しく復元されたものとは思えぬ歴史的意匠の美しさです。席数1310とこぢんまりとしていて、一方でステージの高さと奥行きがとても深くて、その内装の美しさだけではなく観劇としてもとてもぜいたくな空間となっています。

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もうひとつのぜいたくは、ここの専属の管弦楽団。シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)と呼ばれるオーケストラは、シンフォニーオーケストラとしても超一級で、現在、首席指揮者のティーレマンが『ドイツ語圏で伝統の響きを保持している楽団はドレスデンとウィーン・フィルだけ』とその伝統のサウンドに称賛を惜しまないほど。私たちの席は前2列目中央でしたが、間近のピットから立ち昇る芯がしっかりしてなおビロードのような深みのある肌触りの音色に、そのドイツ伝統の響きを感じ取ったのです。

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フンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」は、クリスマスものの出し物で、実際、子供を連れた家族が多かったのですが、ワーグナーの高弟だったフンパーディンクの書法はとても充実したもので演奏が始まると、これがドイツ的なサウンドだと大いに納得しました。そういうドイツ伝統のサウンドとともに魅力的なメロディラインが聴けるこの歌劇は、決して子供向けの軽い歌劇ではなく本格的なものだとということにも納得させられました。

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第2幕で、森のなかで野いちごを食べて眠ってしまったヘンゼルとグレーテルの兄妹が夢見る幻想的なおとぎ世界は、ステージを立体的に使ったサーカスと夜空の星々による視覚的演出で、まるで「シルク・ドゥ・ソレイユ」ばりのアクロバチックなショーになっていました。まさに大人のファンタジック・メルヘン。第一幕開始や第三幕で多用される影絵の効果とともに、これがこのプロダクションの最大の見せ場になっていました。

その分、第3幕のお菓子の家はまるで段ボールハウスのようにちゃちで竈に投げ込まれる魔法使いの老婆の最後もあっけない。一方では、解放された大勢の子供達の合唱が楽しくて、まあ、こうやってさらりとシンプルに終幕するのが現代演出の粋というものかもしれません。

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キャストは、新進気鋭というべき顔ぶれで勢いとかフレッシュさの反面でどうしても軽輩という感じも免れませんが、なかなかの熱演。指揮者のミケル・キュトソンは、実に手際よく音楽をまとめてバランスもよく、この名門オーケストラから魅力的で充実したサウンドを引き出してくれました。エストニア出身だそうでアンサンブル金沢の2013年ヨーロッパ公演を率いて故郷のリガでも好評を得たとか。

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ヘンゼル役のガラ・ハディディは、エジプト出身。この歌劇場で『カルメン』のタイトル・ロールをやって大好評だったとか。エジプト人の本格的なオペラ歌手というのはまだまだ珍しく、快挙と評判になっているそうで、難しいズボン役ですがなかなか楽しい歌唱演技でした。

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グレーテル役は、ナジャ・マッキャンタフ。フーズム/シュレースヴィヒ = ホルシュタイン州生まれの若手ソプラノ。とてもチャーミングなグレーテルでした。

DSKの本格的なシンフォニー・コンサートも聴きたかったのですが、スケジュールがどうしても合いませんでした。とはいえ、クリスマスマーケットでにぎわう古都ドレスデンを堪能するにはこれ以上ないというクリスマス・メルヘンの出し物。美しいゼンパーオーパーで私たち夫婦はとても幸福なひとときを過ごすことができました。

(続く)



ドレスデン州立歌劇場 エンゲルベルト・フンパーディンク「ヘンゼルとグレーテル」
2015年12月16日(水) 19:00

MUSICAL DIRECTOR
Mihkel Kutson
STAGING
Katharina Thalbach
SET DESIGN & COSTUME DESIGN
Ezio Toffolutti
LIGHTING DESIGN
Jan Seeger
CHOREOGRAPHY
Erica Trivett
DRAMATURGY
Hans-Georg Wegner

HANSEL
Gala El Hadidi
GRETEL
Nadja Mchantaf
PETER(VATER)
Matthias Henneberg
GERTRUD(MUTTER)
Sabine Brohm
HEXE
Tichina Baughn
SANDMANNCHEN
Tuuli Takala
TAUMANNCHEN
Tuuli Takala

Children's choir of the Saxon State Opera Dresden
Members of Sinfoniechor Dresden -Extrachor der Semperoper
Children of the Palucca Hochschule fur Tanz Dresden
Staatskapelle Dresden
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ベルリン・ドイツ響をフィルハーモニーホールで聴く(ドイツ音楽三昧 その1) [海外音楽旅行]

ベルリン、ドレスデン、ライプツィヒを巡る怒濤のドイツ音楽三昧の第一日、ベルリンの初夜です。

ヘルシンキ経由の空旅は極めて順調で、ベルリン・テーゲル空港に到着したのは予定の18:00より少し早めでした。空港からバス(TXL系)に乗って中央駅近くのホテルにチェックインしたのは19時前。着換えもせずにその足で地下鉄(Uバーン)に乗ってポツダム広場へ。そこから徒歩5分ほどでベルリン・フィルハーモニーに到着です。

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さすがに今回は到着当日のチケットは購入していませんでした。窓口で当日券を求めて、さっそくベルリン・フィルの本拠地フィルハーモニー大ホール初見参です。

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ヴィンヤード型の代表的なホールとして有名なこの大ホールは、建築としてもいまでもその空間構成のモダンな機能美の輝きは色あせることがありません。ホール座席下の空間をホワイエとして構成する構造は、横浜・神奈川県立音楽堂(1954年、設計:前川國男)に見られますが、こちらははるかに規模が大きく洗練されています。とはいえ、あまりに立体的なデザインはホールへの入口が階段で入り組んでいて初めての私たちにはちょっとわかりくいものでした。

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ホールに入った印象は、どうしても同じヴィンヤード型のサントリーホール(1986年)との比較になってしまいますが、こちらは2440席と大きく、1階席の傾斜もきつくてステージを取り囲む空間的なふところの深さを感じさせます。照明や音響設備など後から設置されたものも多いせいか細部を見ると多少雑然としたところもありますが、建設後50年を経たとは思えないほど磨き込まれた艶と輝きです。世界的名ホールの席についた昂揚感は抑えがたく、ホールの隅々を見渡すと思わず深呼吸をくり返してしまったほどです。

この日は、お目当てのベルリン・フィルではなく、ベルリン・ドイツ交響楽団。指揮は常任指揮者のソキエフ。ソリストはアックスと申し分のない顔ぶれ。かつて西ベルリンのアメリカ軍占領地区放送局(RIAS放送: Radio In the American Sector)のオーケストラとして創設され、初代首席指揮者フェレンツ・フリッチャイのもとでの活躍は私のような世代にはなじみ深い名門オケ。近年は、東ベルリン側の放送交響楽団であったベルリン放送響が躍進し、一時はこのベルリン・ドイツ響を吸収合併するとの話しもあったようです。

アックスのピアノは、ほんとうに優しく暖かい。

私には、パールマンやヨーヨー・マらとのデュオやアンサンブルでなじみ深く、ソリストとして聴くのは初めて。このブラームスの難曲をこともなげに弾いてしまう確かな技巧がありながら、過度な表現はなくオーケストラとの対話を楽しみながら丁寧に音を紡いでいく。それだけにともすれば凡庸な印象も拭えず、オーケストラも音楽的につかみどころがないと感じるのか、多少とも頼りない印象でした。

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後半は、ショスタコーヴィチの大曲。

ブラームスでは14型だった編成は、フル編成にまで拡張されます。

この休憩時間でのステージ転換はなかなか興味深いものがありました。ステージ前面に張り出したサブステージ上には、前半のコンチェルトではソリストのピアノが設置されていたのですが、ここがエレベーター式になっていてピアノごと沈められ舞台下へと片づけられていきました。

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さて…

オーケストラの機能性と物量が遺憾なく発揮される大編成による熱演は、このオーケストラの技量を大いに感じさせる好演でした。何よりも音が明晰でトゥッティでも音が飽和したり音色が濁ることがないのはホールのアコースティックのよさと空間容量の大きさを示すものだと感心しました。むしろ残響は短めで響きがクリーンであることもあってヨーロッパの伝統的なホールとは一線を画す現代的な響き。ホール全体に音が行き渡る感覚も十分です。

その反面、やや響きが寂しく、味気ない印象も受けました。そのことは指揮者やオーケストラの力量ということもあったかもしれませんし、曲のせいもあったのだろうと思います。『1917年』というレーニンに主導された十月革命(ロシア革命)を象徴する副題とともに紹介されることの多い曲で、いささかプロパガンダと社会主義的リアリズムに徹した作風で、他の作品に見られるようなひねりやユーモア、音楽の響きに深みや厚みが欠けているという印象です。

この演奏を聴いていると、30年ほど前に聴いたシカゴ響による第7番『レニングラード』を思い出してしまいました。当時、客演したスラトキンの指揮によるショスタコーヴィチ・ツィクルスが進行していたのですが、ただただ大音響を叩きつけるような音楽にいささか辟易したものです。スラトキンは、ショスタコーヴィチの他の交響曲の演奏も凡庸で、以来、すっかり聴く気が失せてしまいました。この指揮者は、数年前、メットで大失態を演じたのですが、さもありなんという気がしました。今回の12番は、曲そのものの本質なのか、あるいはオーケストラや指揮者の音楽的力量不足のせいなのかはよくわかりませんが同じ印象を受けたというわけです。演奏そのものはミスもなく、リズムのキレとダイナミックやボリュームもあって文句のつけようがないのですが、感動に乏しいのです。これなら、何もベルリンまでやって来て聴くほどのものではないという気がしました。

ベルリンのフィルハーモニー大ホールの響きは、アムステルダムのコンセルトヘボウや、プラハのドヴォルザークホールのような圧倒的な名ホールというほどの印象ではないと感じました。…けれども、後日、これはとんでもない間違いだったと思い知らされたのです。

(続く)






ベルリン・ドイツ交響楽団定期演奏会
2015年12月15日(火) 20:00
ベルリン・フィルハーモニー大ホール

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番ト短調 Op.112

エマニュエル・アックス(ピアノ)
トゥーガン・ソキエフ(指揮)

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ドイツ音楽三昧の旅 (プロローグ) [海外音楽旅行]

この夏に引き続きドイツ音楽三昧の旅に行ってきました。

今回は、北ドイツ―ベルリン・ドレスデン・ライプツィヒという旧東ドイツの街を訪ねて回る8日間の旅となりました。

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8日間といっても、実際にドイツに滞在して自由に過ごせるのは6日です。しかも初日は、夕方の6時にベルリン空港に到着なので、実働5日半。そのあいだに、でかけたコンサートは8回。実に密度の高い音楽旅行でした。

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費用は、航空運賃、現地交通費(ドイツDBパス)、宿泊費とチケット代で約30万円でした。オペラが3回、オーケストラコンサートも3回を含めて、コンサート1回あたりのコストが4万円弱ということになります。例えばこの1月のムーティ・シカゴ響の来日公演の東京文化会館S席が3万9千円ですからほとんど変わりません。

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一方で海外観光旅行としても十分に楽しんで元は取っています。もっとも音楽会優先なので食事の楽しみはごく限られます。夕食はスーパーやデリで買ったサンドイッチの類いをミネラルウォーターで飲み込んでおしまいです。その分、コスト安に貢献というわけです。

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クラシック音楽は現地で観てこそのもの。オペラもオーケストラも劇場やコンサートホールが育てるものだからです。引っ越し公演といってもハコ(歌劇場)ごと来日するわけではありません。ゼンパー・オーパーなどの歴史のある名歌劇場は建物そのものも素晴らしいし、あるいはベルリン・フィルハーモニー、ゲヴァントハウスといった名ホールは、ファンならずとも一度は訪れてそのサウンドを実際に体験したいもの。

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そう考えれば安いものです。そういうコストパフォーマンスの良さは、航空運賃の安さということもありますが、何よりもドイツのコンサートチケットの値段の安さがあると思います。ベルリン・フィルのコンサートが、しかも、超一級のソリストたちを迎え合唱も加わった大規模な公演にもかかわらず97ユーロという安さでした。もちろんいずれも特上の席ばかりです。

もちろん時間的な余裕があってこそですが、海外ものにバカ高いチケット代を払って端席で聴くよりも、元気と時間さえあれば思い切って海外に出かけるべきだとつくづく思いました。ほんとうにパフォーマンスの良い音楽旅行を楽しんできました。

それぞれの演奏感想記は、これから順を追って書いていきたいと思います。



15日(火)●ベルリン・ドイツ響 (ベルリン・フィルハーモニー)
       指揮:トゥガン・ソヒエフ
        ブラームス:ピアノ協奏曲第2番(Pf:エマニュエル・アックス)
        ショスタコーヴィチ交響曲第12番「1917年」

16日(水)●ドレスデン国立歌劇場 (ゼンパー・オーパー)
       指揮:マイケル・クゥストン
        フンパーディンク:ヘンゼルとグレーテル

17日(木)●ライプツィヒ歌劇場
       ライプツィヒゲヴァントハウス 指揮:クリストフ・ゲドショルド
        プッチーニ:ラ・ボエーム

18日(金)●聖トーマス教会 金曜オルガン晩課
       オルガン:ダニエル・バイルシュミット
        J.S.バッハ:幻想曲とフーガ イ短調 ほか
       
      ●ライプツィヒゲヴァントハウス
       指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
        ベートーヴェン:交響曲第2番
        シベリウス:交響曲第2番

19日(土)●ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
       指揮:サイモン・ラトル
        ドビュッシー:ペレアストメリザンデ(演奏会形式)
        マグダレーナ・コジェナー(ソプラノ)ほか

20日(日)●ベルリン・フィルハーモニー・オルガンコンサート
       オルガン:ヴォルフガンク・リュプザム
       オーボエ:クリストフ・ハルトマン(ベルリン・フィル)
        J.S.バッハ:パッサカリア ハ短調 ほか
        
      ●ベルリン国立歌劇場
       指揮:シモーネ・ヤング
        グノー:ファウスト
        ルネ・パーペ(バス)、クラッシミラ・ストヤノヴァ(ソプラノ)ほか
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