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「大人気カルテット現る!」 (芸劇ブランチコンサート) [コンサート]

清水和音の名曲ラウンジに、いま、大人気のクァルテット・アマービレが登場。

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クァルテット・アマービレは、2015年に桐朋学園大学在籍中に結成、2016年に難関の第65回ARDミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門で第3位に入賞、19年にはニューヨークのヤングコンサートアティスト国際オーディションでも第一位を獲得。その他内外のコンクールで第一位を獲得している。

20年よりハクジュホール“BRAHMS Plus”シリーズでは清水氏とも共演。このシリーズでの収録映像・音声がNHKで放映・放送されています。ここでは彼らの師ともいうべきチェロの堤剛、ヴィオラの磯村和英とシェーンベルク「浄夜」などを共演。鮮烈な印象を受けました。

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いよいよ生アマービレが聴けると期待を持っていました。

女性3人の衣装は、デザインはそれぞれですが、色を統一するというのが流儀のようで、この日はひときわ鮮烈な真紅。男性ひとりのチェロ笹沼樹だけが長身、他の女性3人はほぼ同じ背丈ということもあって、これもまたアンサンブルの一糸乱れぬ隊列感を醸し出します。

1曲目は、ヴィオラの佐々木亮が加わってのモーツァルトの弦楽五重奏曲。

ヴィオラ2本という特異な編成で、弦楽四重奏曲とは違った雰囲気の響きで、音の綾が複雑。モーツァルトらしい明るい稚気に富んだ活気もあるし、塗り込まれた油絵のような厚みもある。その分、ヴァイオリンが引き立ちにくいところがありました。ヴァイオリンが主役のところはもっと華やかに活気づいてほしいという不満が残りました。

2曲目のドヴォルザークでは、そういう主役不在の様相が一変。

ピアノと弦楽四重奏という構成は、ロマン派の時代になって一気に開花したアンサンブル形式です。さすがすでに共演を重ねてきた清水とアマービレは息もぴったり。ピアノはもちろんのこと、四重奏でも、2人のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが対等に渡り合い、そこかしこソリスティックな持ち場もあり、互いの粋なやり取りや、裏に回ったときの洒落た居ずまいも満載です。聴いていて一気に目が覚めました。

どうもそれとなく見ていると、司令塔としてのリーダーシップは中央のヴィオラの中さんが握っているようです。第1楽章はチェロの長いソロで始まるのに、メンバーの準備を確認してからピアノの清水さんに目でキューを送ったのは中さんです。アンサンブルのただ中でもそういう細かい仕草がつい目に止まるのです。モーツァルトでは、先生の佐々木さんの横でやりにくかったのかもしれません。四人が解き放たれたように自由闊達に動き出しました。これはもうさすがというしかないアンサブル。

スピーチでは、清水さんと佐々木さんが「弦楽四重奏団の活動は続けることが難しい。是非4人を応援してあげてほしい」と応援演説。

確かに、独立した小規模の室内楽は、常設のアンサンブルとして活動を続けるのは、興行収入面でも練習場所の確保という面でも困難です。ロンドンのウィグモアホールのように“レジデント(Artists in Residence)”として、一定期間の客演者として指名し、公演とリハーサルの場を保証するレジデント制を日本のホールもどんどん取り入れて欲しいと思います。

日本の若手アンサンブルがどんどんと活躍を始めています。クラシックファンも室内楽にどんどんと目を向けて楽しむようになってきました。企画ものではない、名実ともに充実した世界レベルの常設アンサンブルの先頭ランナーとしてクァルテット・アマービレは応援しがいのある期待の若手スターグループです。

夢のふくらむ素晴らしい演奏でした。


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芸劇ブランチコンサート
清水和音の名曲ラウンジ
第34回「大人気カルテット現る!」
2022年2月16日(水) 11:00~
東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
(1階N列12番)


モーツァルト:弦楽五重奏曲 第6番 変ホ長調 K.614
クァルテット・アマービレ
【篠原悠那 北田 千尋(Vn)中 恵菜(Va)笹沼 樹(vc)】
佐々木 亮(Va)

ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲 第2番 イ長調 op.81
クァルテット・アマービレ
【篠原 悠那 北田 千尋(Vn)中 恵菜(Va)笹 沼樹(vc)】
清水 和音(Pf)

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