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ラックの見直し (ウェルデルタ導入記) [オーディオ]

長い間、ほとんど手を入れたことがなかったラックの見直しでびっくりするほどの成果がありました。

きっかけは、昨年末のMさん宅訪問のこと。
https://bellwood-3524.blog.ss-blog.jp/2021-12-22?1647135459

マジコ(MAGICO S1 Mk2)の足元のウェルデルタを見ていてふとひらめいたのです。Mさんはマジコの純正スパイクを特注のチタン製に換えるなどすさまじい追い込みをされていましたが、それ以上にウェルデルタとスパイクとのなじみの良さが印象的でした。

思い出したのが、この記事です。
https://community.phileweb.com/mypage/entry/3111/20211003/68530/
Harubaru_1.jpg

ラックの足元にウェルフロートを入れるという振動対策で、大きな成果を得たというレポートです。特に私の目を引いたのが、重量のある真空管アンプのラックをキャスターごとウェルデルタに載せてしまっている写真。

なるほど…としか言いようがありません。最近では、コンサートピアノの足元用のウェルフロートが導入されて評判になっています。ラックのキャスターを載せるのはピアノ用と全く同じ発想ですね。ラックに、ウェルデルタがこんなにも馴染むとは…。ちょっと目からウロコでした。

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以前からウェルデルタに注目していましたが、実際の導入にはためらっていました。かっこうのセッティングが想像できなかったからです。Harubaruさんの真空管アンプ用ラックは私の鋼製フレーム・ラック(FAPS製 生産終了)とよく似ています。荷重重量が大きいことも共通です。足元は、j1projectのICP 大型ハイブリッドのスパイク/ベースを使用しています。導入当時はこれ以上のものは考えられないと思ったほどしっかりしたものです。これをそっくりウェルデルタに換装することも頭の中ではシミュレーションしましたが、いまひとつしっくりこなかったのです。

それがMさんのマジコの足元でひらめきました。j1プロジェクトをそっくり換装するのではなく、スパイクをそのままにしてベースだけをウェルデルタに換えるという方案です。しかもHarubaruさんによれば、ラックの足元でも効果が大きいという。それで一気に気持ちが動き出しました。

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やってみると、まるであつらえたようにぴったりです。

その成果には、目を瞠るものがありました。ラックでこんなにも効果があるとは想像もできなかったことです。ある程度はあると思いつつも半信半疑というところが正直なところでした。しかし、その効果はそういう予想をはるかに超えるものです。まるで、機器そのものを最上級の最新モデルにグレードアップしたかのような違いがあります。

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しかし…

すんなりこれで喜んでいればよいものを、つい、いつもの悪いクセが出て、いろいろと余計なことをやってしまい散々苦労しました。

結論を先に言ってしまえば、単純に入れ換えるだけで良かったのです。

どんな余計なことをしたかと言えば…

1.御影石の導入
2.ウェルフロート2階建ての簡略化(2階建て→1階建て→ウェルフロート撤去)
3.サンシャイン/オールマグネシウムボードの導入


いずれも、最下段に設置しているGRANDIOSO K1の足元の見直しです。ウェルデルタをラック全体の足元に導入するならば、個々の機器に入れているウェルフロートをリセットできるのではないかと考えたのです。御影石は、重量があってその重量で制振効果を得るもので、リジッドなベースとしてこれまで使い込んできたものです。

失敗だったことをくどくどと詳しく書くことは止めますが、1.の御影石が特有の響きがあって音を阻害していました。中高音帯域、およそ女性ボーカルとかヴァイオリンの中域にあたるところで音を濁らせます。そのことがラック足元のウェルデルタ導入で恐ろしいほどによくわかるのです。

もちろんすぐにわかったわけではなく、1.と2.とで重いラックを何度も外しては組み上げる作業が延々と続きました。最後は、御影石を撤去することが最適とわかりました。2の2階建ての簡略化の試みも全く徒労でした。2階建ての効果も顕著です。音の静かさ、鮮度、濃厚なアナログ的臨場感、バックの音楽的解像度が明らかに違います。

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3.のマグネシウムボードは、バズケロさんが使用していてよい音がしていたので、やもたてもたまらず導入しました。しかし、確かにハイファイ調になるのですが、例によってマグネシウムのハイ上がりの金属臭さが載ってしまいました。マグネシウム嫌いの私としては、またやってしまったと思いました。

いろいろ工夫してみましたが、結局、外してしまいました。これで音がぐっと自然になり落ち着きが出ました。

しかし、しかし…です。

外してしばらくすると、どうしてもあの高域の線の美しさ、シンバルの抜けや力強さが忘れられないのです。解像度アップの確かな手応えとともに、ああいう音が出たということは確かにマグネシウムボードの良さなのです。これもまた、ツィターを換えたりスーパーツィターを加えたりといった効果を超えるものがあります。そのことが、別れた女のようにどうしても忘れられない。

それでまたよりを戻すことに。どうもマグネシウムのインシュレータ―などでは、接面の接触歪みが問題のようです。いろいろ試しました。最終的にはウェルフロートとの間にコルクシートを敷き、さらに、GRANDIOSO K1のインシュレータ―の底面にもコルクをかませることで、マグネシウム独特のハイ上がりの聴感や白濁感がようやく解消し質感のバランスもよくなりました。けれども、コルクやフェルトなどの材質やその厚みでも音がころころ変わります。実験検証のたびに半日がかりでラックと機器を組み直すので、時間と労力が大変でした。結局、材質としてはコルクが最良で、しかも薄いほどよい。厚いと音が鈍く緩くなって、せっかくのマグネシウムボードの効果が相殺されてしまう。1㎜厚という最も薄いシートがベストというのが結論です。

それにしても、ラックでこれほど音の違いに振り回されるとは思いもよりませんでした。それだけウェルデルタがもたらした音の純度の高さがすごいということです。

特に印象的なのはピアノの音です。背景の静かさ…というのか、空間そのものの透明度というのか…、その音の純度の高まりと音色のリアリティが半端ではなくて、ピアノの弦の打音、弦の共鳴、鋼製フレームや筐体の響き、録音現場のステージフロアやアンビエンスなどがたまらないほどの臨場感とともに聴きとれるようになります。録音の良さ、ハイフォーマットの優位性が遺憾なく発揮される。

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最近、入手したこの素晴らしい演奏との出逢いはタイムリーでした。

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