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バベルの塔 (Harubaru邸訪問記) [オーディオ]

Harubaruさんのお宅を訪問しました。 そこで目にしたのは… tower.jfif 天にも届く神の領域にまで手を伸ばそうという、あのバベルの塔。 いや、神話のことではなく、ジークレフ音響から新たに登場した「バベル」のこと。 10707-2-1030x800.jpeg 「吊り構造」を4層多段、3基点、小型ウェルフロートメカを12機(3機 ×4層)内蔵しているというとんでもない代物。 picture_01 Babel.jpg その多段振り子のメカは、重力波の検出にも用いられているとのことで、分子レベルまでの振動を制御するとか。ウェルフロートシリーズの究極のモデル。もはや、インシュレーターとかアクセサリーというジャンルの次元を超えた音響製品です。 訪問前日に前触れのようにあげられた日記では、Harubaruさんはその効果に驚喜、あっという間にお買い上げになったのだとか。 それを、Esoteric K-01にあてがい、そのお披露目の比較試聴という栄誉に浴することになったというわけです。 実際のところ、まさに驚異的なパフォーマンスでした。 比較は、以下のように行われました。 1)Esoteric K-01(+Babel) ディスク再生 2)Esoteric K-01(+Babel) トランスポート → Asoyaji DAC 3)MFPC/FormulaPC(Roon) → Asoyaji DAC IMG_3488_1.JPG まず最初に一通り1)での試聴です。 以前は、Harubaru邸の基準となっていたK-01です。それは、Asoyaji DACの導入、MFPCの導入からクァッドへの導入進化があっても、その位置づけは変わらなかったのですが、昨年末にお伺いした時に聴かせていただいた時には、MFPC/Asoyaji DACでのファイル再生とはだいぶ差が開いてしまい、もはや聴く気がしなくなったと仰っていたのです。 実際に聴かせていただいた私の印象でも、比較してしまうと薄く平板な印象が否めませんでした。 ところが… 今回はのっけからノックアウト。音が厚く濃くなって印象が一変しました。 We're All Together Again_02.jfif 古い録音(アナログ)のリマスタリングですが、バリトンサックスの太い音が実にリアル。熱気がこちらに伝わってくる。 中音域の厚みとか低音などが一変したというのも大げさではないほどに感じます。Harubaruさんも、「低音が難しい。最も違いがでる。」と。このことはMFPCを聴いたことのある人は共通して仰っています。それは大型のB&W 800D3でも同じ。むしろ、だからこそ、よくわかると言えるのでしょう。 しかも今回は、CDプレーヤーという上流のデジタル機器へのBabelの効果――振動対策の飛躍――がもたらしたものなのです。 Shoji Suzuki.jpg これも同じアナログ音源ですが、クラリネットの音色が鮮度高くとらえられていて、それが焦点ピタリと再生されると胸がすくような爽快感があります。 IMG_3495_1.JPG パワーアンプは、出川式電源の出川氏とアンプビルダーのN氏とのコラボ。前回訪問でその素晴らしさに感服したアンプです。今回はチョークや手巻抵抗などの電源強化があったそうですが、バベル効果があまりに大きくてよくわかりません(汗)。 IMG_3490_1.JPG 2)に切り替えました。 音は明らかに違います。でも… どちらが良いかどうかはなかなか判断がつきません。この違いはDACチップのキャラクターの違いなのでしょうか。 K-01は、かつてのフラッグシップ機ですがもはやディスコン。使用しているのは旭化成 AK4399 という32bit第二世代のチップです。それに対してAsoyaji DACは、最新の4499を搭載。Harubaruさんは、もともとの4495を4497に変更し、最終的には電流出力の4499にまで改造アップグレードされています。Asoyajiさんの大変な労作、まさに遺作と言えるもの。 AK4399(K-01)はとても素直で聴きやすい。対するAK4499(Asoyaji DAC)は、輪郭がはっきりしていてコントラストが明瞭で音像がしっかりしていて、ディテールがよく見えます。そういうDACチップの違いだけが聞こえるというのが実感です。 IMG_3492_1.JPG 3)に切り替えると… ここでは、やはり2)ではあまり感じなかった情報量の違いを感じます。 K-01の光学読み取りのトランスポートと、MFPC/FormulaPCによるオールデジタルの送り出しの違いが感じ取れるのです。けれども、半年前のように勝負あったというような単純な印象ではありません。K-01なりの良さも感じてしまうのです。Harubaruさんは「ふだんのリラックスして聴くのはK-01に戻ってしまいディスクを聴くことが多くなった」という言葉にも思わずうなずいてしまいます。 Alexeev_Shostakovich#5.jpg 聴かせていただいたものでは、ショスタコーヴィチの5番が印象的でした。 編成規模の小さめの室内オーケストラであることがリアルに体感できる。小さいのにパワフルで音楽的パトスが際立ち、楽器の細やかな質感がリアルで美しい。とても現代的な演奏でありながら、かつてのロシア的演奏の肌合いがけっして失われていない。 Hisaishi_Beethoven.jpg 面白かったのは、ベートーヴェン。 ヴァイオリンを左右に配置する、対抗両翼型で低音弦は中央右手配置。まるでスコアを見るように各パートを浮き立たせていて、それだけに聴き手もそちらのほうに耳立ててしまう。一方で、和声の響きの融和とか深みが感じ取りにくくなってしまう。長らくアニメ音楽などポピュラー音楽的な録音現場とその発想になじんでいる指揮者の注文なのでしょう。かえってそういう録音の作為が見えてしまって音楽が素直に伝わらない。 Saki Tozawa_Mozart.jpg 同じことは、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタでも起こりました。 素敵なヴァイオリンなのですが、ピアノも素晴らしい。ところが録音は明らかにヴァイオリンが主役としてクローズアップして、ピアノは背景に遠目にとらえます。思わず「ピアノの音も素敵なのにもったいない…」とつぶやいてしまいました。そういう録音の作為が聞こえてしまいます。 Mutter_Tchaikovsky.jpg これも聴いてみましょう…と、最後に1)と3)の共通音源でのガチ勝負。 まず3)で聴くと、つい先日、我が家で味わったウィーン・フィルの圧倒的なステージ感と、繊細極まりないムターの美音と豊穣な技巧が目の前に拡がります。 1)にすると、やはり3)に比べるとステージが小さめになります。そのことは我が家の体験でも同じ。ところが気になったのは、3)ではムターのヴァイオリンの線がややぼやっと膨らんでいたこと。1)では、筋が通り音の芯が出ています。そこがまるで別のマスタリングじゃないかと思えるほど。確認すると同じディスクからのリッピングとのこと。 Harubaruさんは、Asoyaji DACにもバベルを当てないと、比較としては公平じゃないのかもしれないと笑っています。どうやら心中には、すでに2台目の塔を思い描いておられるようです。

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